高額療養費の改定

平成30年8月、高齢者(70歳以上)に適用される高額療養費の負担限度額が改定されました

具体的には、「現役並み所得者」というカテゴリーが改定され、ザックリ言って69歳以下の人たちと同じ負担を負うことになりました

高額療養費の改定

70歳以上の高齢者といっても、ライフスタイルはさまざまです。

いまだ現役として働いている人もあれば、すでにリタイアしている人もいらっしゃいます。

70歳以上の人に適用される公的医療保険制度は、70歳から74歳までが「協会けんぽ」または「国民健康保険」です。

75歳になると全員そろって後期高齢者医療制度に入ります

現役並み所得者とは?

「高齢者も現役世代と同じように医療費を負担せよ」ということであれば、段階を踏んで、まずは協会けんぽに加入している人(70歳から74歳)から始め、国保加入者の「現役並み所得者」へと広げていけば良さそうな気がします

というのも、国保加入者に適用される高額療養費限度額は当然、後期高齢者も含まれるからです。

わざわざ、後期高齢者医療制度というものを設定して、いわば「特別扱い」をしているわけなのですから、分けて考えても違和感はありません。

なぜ、後期高齢者を特別扱いしなかったのか?

いくら健康寿命が伸びたからといって、75歳を超えて現役で働いている人は、少なくとも現段階ではまれです。

実行された改定の内容は、要するに、現役並み所得者の医療費負担は年齢を問わないということです。

「なぜ、後期高齢者を特別扱いしないのか?」というのは、改定以来の疑問でした。

どうして後期高齢者を特別扱いしないの

巧妙に仕組まれたワナ

この疑問に答えてくれたのが年金額倍増計画の報道です。

年金額倍増計画というのは、年金の受給開始を75歳まで繰り下げして、受給額を65歳時点の倍にしようというものです。

上記改定のターゲットは、年金額を倍増または増額した高齢者である可能性が高いです。

無計画に年金額を増やした高齢者は、「現役並み所得者」に分類され重い負担を背負うことになります

場合によっては、増額分をゴッソリ持って行かれるということにもなりかねません

増額された年金額は一生続きます。当然、負担も一生続く可能性があります。

病気にかかる確率は加齢とともにアップし、人生の医療費負担のピークは70歳代にやって来ます。

社会保障関連法リテラシー

年金額倍増計画が実際に法案化の上、施行されるのは2~3年後です。

一見オトクに見える法改正も上手く使いこなさないと、このような巧妙なワナが隠されていることが多いです

対策としては、増額前の年金額をふまえつつ、現役並み所得者に入ってしまう前に途中で繰り下げを意図的に中止するとかいった微調整が必要です

上記の一部始終、逆に言えば、年金額倍増計画がいかにオトクであるかを裏付けするエピソードに他なりません。

必要なのは、法改正や制度改定の意味を読み取る「社会保障関連法リテラシー」です。

年金のハタンを信じて疑わない人は、年金額倍増計画そのものが選択肢にありません。(執筆者:金子 幸嗣)