最近、増加する「地面師」

最近あまり聞かなかった「地面師」ですが、東京・五反田の老舗旅館を巡り、積水ハウスが55億円をだまし取られた事件は大きく報道されました。

積水ハウスほどの大企業がなぜという疑問が生じますが、そこには地面師グループと土地を手に入れたい積水ハウスの焦りがありました。

登記済証書

地面師は昔から存在し、特にバブル期には暴力団と絡んで地上げなどに積極的に関与していました。

バブル崩壊後は土地取引が低迷したこともあり犯罪件数自体も減少していましたが、オリンピック需要で土地取引が活発になったここ最近は再び増加する傾向にあります。

地面師の仕事と仕組み

本来の所有者になりすまして土地取引を他人と成立させる

これにより、

・ 地面師は土地代金を手に入れる。

・ 他人は土地の所有権を手に入れる。

ここで1番の被害者は本来の所有者ですが、知らない間に土地の所有権が他人に移転しているため、気づいた時には警察に被害届を出すしかありません。

地面師被害は警察に届け出を

具体的な事例

資産家の家族が海外旅行で長期不在にしている間に地面師が本人になりすまし、所有権移転申請を行って数億円をだまし取ったという事件もありました。

所有者本人からの被害届で警察が動いて詐欺罪で起訴するのが通例ですが、地面師が海外逃亡した場合などは捜査に時間がかかることもあるようです。

最近活発になっている地面師の正体を明らかにするとともに、自宅が地面師の被害に遭わない方法を解説します。

地面師が動いたことを示す、法務局からの通知

以前から地面師の問題があったことや、オンラインで登記申請することを前提に、2005年に改正不動産登記法が施行されました

不動産登記とは

・ 売主である義務者が「登記済証(一般的には権利済証ともいう)」を法務局の「登記官」に提出する。

・ 義務者と買主である権利者とで共同して、法務局に不動産登記を申請することで取引の真正を担保する。

しかし売主である義務者が「登記済証」を無くしてしまった場合などはどうなるのでしょうか。

以前は、次のような流れでした。

1. 「保証書」という、保証人2名が記名押印したものを「登記済証」の代わりに提出。

2. 所有権移転登記の実行前に「普通郵便」で法務局から『権利者から登記の申請があったので、通知書を持って法務局に出頭してください』という通知が届く。

3. その通知書を法務局に提出することで本人からの申請とみなす。

これでは、地面師などが保証人となり「普通郵便」で届く通知を受け取ってしまえば、本人になりすまして所有権移転登記ができてしまいます

2005年に施行された改正不動産登記法新法

・ 「保証書」制度を廃止。

・ 司法書士などが本人と面談の上その確認情報を提供するか、「本人限定受取郵便」で事前通知を行う。

・ 申請前3か月以内に住所移転の登記がされている場合は、旧住所にも通知を行う。

「本人限定受取郵便」での通知や前住所への通知は、なりすましを防ぐための措置ですが、積水ハウスの事件ではこの網をかいくぐった訳で、今後はこの措置がさらに厳格になる可能性があります

法務局から身に覚えのない「本人限定受取郵便」がきたら即行動

法務局から身に覚えのない事前通知が来た場合は、誰かがあなたになりすまして所有権移転登記などを申請したことになります。

この場合は、法務局へ出頭しなくても登記は実行されませんが、それでは不安になると思います。従って、どのような経緯で通知が来たのか確認するために、法務局へ行ってください。

仮に地面師が通知を持ってそのまま法務局へ行った場合、そのグループに所有権が移転してしまいますので、十分に注意して下さい

法務局からの通知には、即行動を起こす

金融機関に勤務していた私は地面師の存在は知っていましたが、一般の方はあまり面識がないようです。

しかし、大都市圏を中心に物件価格が上昇しているだけに、地面師がどの物件に目を付けても不思議ではありません。

法務局からの身に覚えのない「本人限定受取郵便」は、法務局からのメッセージです。

簡単に片づけず、必ず行動するようにしてください。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)