診断書が実態に合わない

診断書が実際の状態と違う

障害年金の請求に関してお話を聞くと、

「診断書が実際の状態よりも軽く書かれていて、年金が不支給になってしまった」

というケースが意外に多いです。

とくに、目には見えない「精神の障害」で、そのような話をよく聞きます。

原因は、日々の生活状況について、医師に伝えきれていないことにあるようです。

お医者さんは、エスパーではない

目には見えない、機械で調べても血液検査をしても分からない病状をきちんとわかってもらうには、患者が自分で伝えなければなりません

お医者さんはエスパーではないので、言ってくれないものを透視することはできません

問診でいろいろと聞かれると思いますが、

・ いつから
・ どんな時に
・ どんなことで困っているのか

詳しく説明してください。

問診の時ははっきりと伝えましょう

受診前にはメモを作成する

限られた診療時間の中で、説明しきれないこともあると思います。

また、緊張してしゃべれないこともあります。

そんなときのために、受診前にはメモを作っておきましょう

何ができなくて何が困るのか

日頃から思い付いたときに書き留めておき、受診前にはそれを箇条書きにまとめて、そのまま先生に渡せるようにしておきます。

同伴受診のときもメモは必要

症状をメモする

精神科を受診するときは、家族など身近な人が同伴するケースが多いと思います(障害年金の手続きを代行する社労士が同伴することもあります)。

本人はうまく伝えられなかったり、ちょっとしゃべっただけで疲れてしまうこともあったりしますから、医師のほうでも同伴者に詳しい話を聞きたいと思っている場合が多いです。

その場合でも、メモを用意しておくことをおすすめします。

先ほどもお話しした「伝え漏れ」を防ぐことのほか、診断上必要なことなのに本人の前では言えないこともあるからです。

たとえば、本人に病気や障害の自覚がない場合など。

知的障害や発達障害などでお母さんが同伴したとき、

「この子は、これができなくて困っています」

と言ったら、本人にもプライドがあって

「ぼく、できるもん!」

と怒られてしまった、ということもあります。

そんなときのためにも、メモはそのまま医師に渡せるような形にして、自分用にコピーを保存しておきましょう。

診断書を依頼するときは、生育歴から整理しておく

障害年金請求用の診断書は、障害の部位別に専用の様式があり、年金事務所または市区町村の国民年金課で入手できます。

精神の障害用の診断書は、下記のとおりです。

障害年金の診断書類

(7)、(9)の欄など、生育歴から書く部分もあります。

記入するのはすべて医師ですが、転院している場合はとくに、医師は生育歴までは知らないので患者側(保護者)が伝えなければなりません

治療歴も、整理してメモ書きにしておきます。

これは、患者側で作成する「病歴・就労状況等申立書」を記入するときにも必要な作業です。

「病歴・就労状況等申立書」については、次の機会にお話しします。

「日常生活状況」は、一人暮らしを想定して判断する

障害の程度(日常生活に制限を要する度合い)を判断するうえで、最も重要で書き方も難しいのは(10)欄です。

そのため厚生労働省では、(10)欄を中心とした「障害年金の診断書(精神の障害用)記載要領(pdf)」のパンフレットを作成しています。

障害年金の診断書10

とくに注意が必要なのは、診断書裏面の「日常生活状況」で、一人暮らしをしたときに自分できちんとできるかどうか、4段階でチェックするものです。

たとえば「(1) 適切な食事」の項目をチェックするときは、栄養バランスを自分で考えて、食材をそろえるまたは外食するなどして適量の食事を適時に摂ることができるかどうかで判断します。

「日常生活状況」を4段階でチェック

お母さんが配膳してくれた食事を口に運ぶだけの場合は「できる」とは言えません

しかし、いつも患者さんが一人で受診していて、

医師「ご飯は、食べていますか?」

患者「はい」

というようなやり取りで終わってしまうと、本当の障害の状態が伝わりません

「現症時の就労状況」は、援助の状況や意思疎通の状況の記載が大事

診断書の裏面左側に「エ 現症時の就労状況」という欄があります。

診断書の裏面の現症時の就労状況

「働いていたら障害年金はもらえない」と必ずしも決まっているわけではなく、働いているときの具体的な状況次第になります。

その欄の一番下に「仕事場での援助の状況や意思疎通の状況」という項目があります。

そこには「単純作業で、コミュニケーションを要しないものに限定している」とか、会社側の配慮や家族の援助があって初めて成り立っている事実があれば、そのことを書いてもらえるように伝えます

診断書の依頼は、何度か受診してからのほうが良い

精神疾患で定期的に通院している人はその病院で診断書を依頼すればよいのですが、知的障害や発達障害など子どもの頃からの障害で20歳になって年金を請求する場合は、主治医がいないケースが多いものです。

ある程度成長したら受診は必要なくなりますから。

そういう人の場合も、障害年金を請求するには診断書を書いてくれる医師を探す必要があります。

初診でいきなり診断書を持って行っても、書いてくれる先生はいないでしょう。

20歳になる半年くらい前から準備にかかり、何度か受診して医師と信頼関係を築いてから診断書を依頼するようおすすめします。

子どもの頃に通っていた病院があり、今でも通える環境にあるなら、そこに頼んでみてはいかがでしょうか。

診断書の中身は、必ず確認する

糊付けされていても開封する

医師から診断書を受け取ったら、必ず中身を確認してください。

記入漏れや記載誤りがあると返戻されますし、実態に合った障害認定が受けられないこともあります。

記載内容を訂正するときは、必ず二重線で消して書き直し、訂正印を押してもらいます。

病院によっては、文書窓口で封筒に入れ、糊付けして渡されることもあります。

その場合でも、必ず封を開けて診断書の内容を確認しましょう。

進学や就職のときの調査書とは違いますので、封を開けても問題はなく、むしろ開けるべきものです。(執筆者:服部 明美)