2019年は政治的にも経済的にも、世界中でイベントが多い年になります。
イベントがあると、株式相場は乱高下します。最近では2016年の6月にイギリスEU離脱につながる国民投票、同11月に現トランプ米国大統領が当選した選挙がありました。
2016年はこれらイベントを境に株式相場が上昇したので良かったのですが、2019年はイベントが多くかつ株式相場が下落に向かう転換期になる可能性もあります。
そこで株式相場が下がる時、逆に上がる指数を紹介しましょう。
VIX指数、通称「恐怖指数」と呼ばれる価格変動の大きさを現す指数の使い方を理解すると、下落基調の株式相場でも利益を上げやすくなります。
目次
VIX指数はボラティリティ(不安定さ、変わりやすさ)を現す

VIX指数とは「Volatility Index」の略称、読み方は「ヴィックス指数」です。
米国のシカゴ・オプション取引所(CBOE)が、米国株価指数の1つ「S&P500」を対象として算出しています。
ここでは算出方法の詳細は省きますが、「株価の不安定さ、変わりやすさ=ボラティリティ」を現す指標だとご理解ください。
ボラティリティとはこういうこと
先ずは株式投資では重要な用語、ボラティリティを解説していきましょう。
例えば、5日間で次のような値動きをする2つの銘柄があったとしましょう。
銘柄B:初日+5%、2日目-3%、3日目+2%、4日目-1%、5日目+7%で10%上昇
この場合、2銘柄ともに5日間で+10%の値動きですが、ボラティリティ(変動率の大きさ)は銘柄Bが高くなります。
つまりボラティリティとは価格の変動の大きさを示す指標です。
株価が大きく動けば動くほど、ボラティリティも大きくなり、株価の動きが小さくなればボラティリティも小さくなります。
•相場が不安定だとボラティリティが高い
•相場が安定しているとボラティリティが低い
価格変動が大きいということは、株式相場の先行きに不安を持つ投資家が増えたことを指し、特に急下落する時に注目されます。
S&P500と日経平均の連動性

VIX指数は米国株価指数S&P500を対象とした指数ですが、ご存知の通り米国の株価と日本の株価、S&P500と日本の株価指数(日経225やTOPIX)との連動性はとても高い関係性があります。
経済ニュースでは米国株価指数を対象としたVIX指数が一般的に取り上げられますが、これは指数算出の歴史が長いことと、米国株価が世界的に影響を及ぼすからと思ってください。
なお日経225を対象とした日本版VIX指数と言える「日経VI指数」が存在しますので、詳細はこちらを参考にしてください。
VIX指数はいつも注目される訳ではない
VIX指数は「20」を下回っている場合、相場が平穏だと言われる水準と覚えてください。
これは1日に上下1%未満の変動が、当面1か月程度(20営業日)続くと考える投資家が多いことを指します。
年にも依りますが、年間を通じて8割以上は平穏な相場が続くことがあります。
また20~30の間にある場合、近々の相場急落への警戒が必要な状況を指します。更に30を越えると、追加投資には慎重にならざるを得ない相場環境と言えます。
株式相場は上下するものなのですが、リスクオン(投資するのに適した環境)の場面なのか、リスクオフ(乱高下する不安定な環境)の場面なのかを判断する指標となります。
もちろんリスクオフの場面が終盤に近付くとVIX指数が低下してくるので、その時が最大の投資タイミングであるとも言えますね。
VIXが天井から下がり出したら、投資のタイミング

VIX指数の推移を見ると、乱高下の中でも投資タイミングを捉えて、負けない投資の仕込みが可能となります。
恐怖指数と呼ばれるVIX指数が長期間高いままであることはなく、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」というようにいずれ平穏に戻ります。
2009年のリーマンショック時は「80」を越えたこともありますが、ここまでの上昇は稀な環境です。
昨年末の急下落した時は36まで上昇しました(2018.12.24)。
ここ数年の経験則では「30」前後まで上昇する場面があれば、そこから下がり出すタイミングで投資してみましょう。もちろんタイミングの分散も大切な手法ですよ。
ここぞとばかりにVIX指数を活用しよう
このVIX指数は世界を代表する株式相場(米国S&P500)と、動きが逆になる指数です。
株式相場の推移ばかりを見るより、逆の動きをする指数を知っているとより多面的に投資タイミングが判断できると思います。
今年2019年は、年に数回のVIX指数上昇の場面があるでしょうね。
VIX指数、日経VI、日経225などが一覧で閲覧できるサイトはこちらです。
恐怖指数 [VIX・日経VI・VSTOXX] 日経平均比較チャート
以上です。(執筆者:中野 徹)