先日近所のスーパーでカレールーを買おうとしてふと気づきました。
以前より扱っているルーの種類がとても少なくなっています。
バーモントカレー、こくまろカレー、ジャワカレー、ゴールデンカレーの4種類しかありませんでした。
一方、棚の大半を占めるのはレトルトカレーです。
筆者の見た限り、スーパーの棚はこれくらい売り場面積の違いがありました。

数年前までこんなにレトルトカレーの売り場面積は大きくなかったはずです。
節約料理の代表と言える「カレー」に、今何が起きているのでしょうか。
目次
ルーとレトルトの売上が逆転していた
(株)インテージが2018年に公開した調査によると、カレールーとレトルトカレーの売上は2017年に逆転し、レトルトカレーがルーを抜いています。

カレールーとレトルトカレーの購入者層を比較すると、レトルトでは単身者の占める割合が大きくなっています。
しかしながら、レトルト購入者のうち80%は「複数人の家族で住んでいる人」です。
この割合が意外と大きく、家庭のカレーと言えばルーを使って大鍋でつくるイメージでしたが、これからは家族人数分のレトルトのパウチが鍋で温められている風景が、家庭料理の定番となるのかもしれません。

購入者層別にルーとレトルトの購入率の違いを見ますと、夫婦2人以上の世帯ではまだルーの方が多く選択されています。
しかしその差も随分縮まってきています。

コスパが高いのは? 手作りカレー VS レトルトカレー
家族でレトルトカレーを食べる場合、気になるのはそのコストです。
ルーを使って作る手作りカレーは節約料理の代表格です。レトルトカレーは便利なものの、割高なイメージがあります。
家族4人分のカレーを食べるのに、実際コストはどれくらい違いがあるのか試算してみました。
ルーを使った手作りカレー
【4人分(4杯分)の材料費】
・カレールー1/2箱…99円
・にんじん1本…68円
・じゃがいも2個…98円
・たまねぎ1個…48円
・豚こま肉150g…237円 合計550円 → 1杯あたり138円
※材料価格は筆者による近隣スーパー調査
レトルトカレー
売上の高い4種を比較してみました。

※価格はスマートショッピング調べ 全て「中辛」の価格
なんとプロクオリティビーフカレーと咖喱屋カレーが、手作りカレー1杯分のコストを下回ってきました。
記事執筆のために初めて「プロクオリティビーフカレー」を食べました。
本当においしく、手作りカレーへの決意が揺らぐレベルでした。
最近のレトルトカレーはおいしくなっていますし、さらに作る手間もほぼなしとなれば、レトルトがルーの売上を上回るのも納得です。
イチロー選手や東大生もカレー好き
東京大学のOBで「なぜ、東大生はカレーが好きなのか」(祥伝社)の著者である医師の吉田たかよし先生によると、東大のキャンパス周辺はカレー店が多く、カレー好きの東大生が多いそうです。
また、先日引退を表明したイチロー選手も、試合で力を発揮できるよう朝からカレーを食べる「朝カレー」のエピソードが有名です。
実際、カレーに含まれるスパイスには脳に良い働きをもたらす成分が含まれていると言われています。

カレー味のおかず入り弁当で、手軽に「育脳」
脳に良いからと言って、日本人が毎日カレーライスばかり食べるのは難しいです。
そこで、カレー粉を活用するのはいかがでしょうか。
カレー味のおかずをお弁当に詰めれば、程よいアクセントになります。
作り方は簡単
ふだん塩コショウで味付けしている炒め物に、カレー粉をふりかけるだけです。
・ひき肉とピーマンとコーンのカレー粉炒め(写真下)
・ソーセージとポテトのカレー粉炒め
・ちくわのカレー粉焼き

「ちょい足し推奨」が新しい「業務カレー」も面白い
コスパ対決では手作りカレーがレトルトに負けてしまいましたが、筆者はやはりカレーはルーを使って手作りするのが好きです。
最近は業務スーパーのカレールー「業務カレー」を愛用しています。
給食で食べたような懐かしい素朴な味のカレールーですが、箱の裏面を見ると興味深いことが書いてあります。


「ちょい足しを推奨しているところ」が他のメーカーと一線を画しています。
多くの食品メーカーが推奨する作り方は「箱に書いてある手順どおりに作ること」だそうです。
つまり「余計なものは入れないでください」ということです。
しかし、いろいろな工夫が楽しめるところが手作りカレーの良さだと筆者は思います。
レトルトは便利な上に高コスパですが、筆者はこれからも節約カレーを作り続けたいと思います。(執筆者:石田 彩子)