FP(ファイナンシャルプランナ-)として保険の相談を受けることがよくあります。
ご相談は女性の方が多いですが、多くの保険会社が取り扱っている「女性向けの医療保険」に加入すべきかお悩みの方も増えています。
今回は女性の医療保険はどのように加入していけばいいのか考えてみたいと思います。
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目次
保険会社や保険代理店の言葉を鵜呑みにしない
まず保険の相談をする時に、特定の保険会社や特定の保険会社の保険のみ取り扱っている専属の保険代理店、それに加えて複数の保険会社を同時に取り扱っている保険代理店(保険ショップ)などでご相談される事が多いと思います。
保険会社や保険代理店は基本的に営利目的ですので「保険に加入しない方がよい」という提案がされることはまずないと考えてください。
取り扱える保険商品の中から何らかの提案がされるはずです。
ご相談者の立場で最適な保険を提案してくれた場合はいいのですが、中には「一番儲かりそうな保険商品」を提案してくる場合もあります。
ですから、自分の家計状況や保険に加入する目的などをしっかり考慮したうえで加入する保険商品を選びましょう。
そもそも医療保険は必要か
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女性向けに限らず、「そもそも医療保険は必要か?」という疑問が生じます。
もしあなたが入院や手術の必要がある場合に医療機関への支払いはどのぐらいの金額になるでしょうか。
あなたが公的な健康保険に加入もしくは配偶者の扶養家族として公的な健康保険が使える場合は一部高齢者や子供を除いて、窓口で支払う自己負担は原則的に3割です。
100万円の医療費がかかったとしても窓口負担は30万円です。
しかし、公的な健康保険では月単位で年収などに応じて高額療養費の自己負担限度額が定められています。
サラリーマンの多くの方が適用対象となる年収が約770万円未満であれば実質的な自己負担は月10万円未満に抑えられます。
過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は多数回として4回目からはさらに軽減されます。
あなたがサラリーマンであれば、業務外の病気やケガが事由で仕事に就くことができず、会社から給与の支払いが受けられない場合は、4日目から最長1年6か月まで標準報酬月額の約3分の2が傷病手当金として支給されます。
このように高額療養費や傷病手当金などの公的な制度が使えれば、過度に医療保険の加入を考える必要はないと思います。
どのような人に医療保険が必要か
高額療養費や傷病手当金といった公的な補助制度によって高額な医療費がかかった場合も限度額があり、会社からの給与も約3分の2が程度が支給されます。
しかし裏を返せば、高額療養費限度額があるにしても、限度額までは自己負担が生じる事や傷病手当金も3分の1は支給されない事になります。
特に、自営業の場合は国民健康保険ですので高額療養費の制度はありますが、傷病手当金の制度はありませんので注意が必要です。
1. 使途が限定されていない100~200万円程度の自由になる貯蓄ができていない人
2. 自営業者など国民健康保険に加入し、入院などで収入がなくなる可能性がある人
⇒ 傷病手当金の制度自体が使えない
3. そもそも公的な健康保険に加入していない人
⇒ 高額療養費や傷病手当金などの制度自体が使えない
4. 健康に不安があり入退院の繰り返しが予想される人
5. どうしても差額ベッドを利用したい人
⇒ 公的医療保険の補助対象外
女性向け保険は必要か
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女性向け医療保険とは文字通り女性のみ加入できる保険で、子宮筋腫や乳がんなど「女性特有の病気の保障が厚い保険」で、
普通の医療保険に比べて保険料も高くなっています。
では、女性特有の病気は男女共通の病気と比べて医療費が余分にかかるか考えてください。
窓口負担割合、高額療養費や傷病手当金といった公的な補助制度など男女共通の病気と同じで違いはありません。
相談者に女性が多いため、保険会社の単なるネーミングによる販売促進策と考えてよいでしょう。
次回は女性が必要であれば検討に値する医療保険や筆者自身が加入している医療保険についてご説明します。(執筆者:後藤 誠道)