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「#ていねいな暮らし」に憧れ実践してわかったインスタ映えの裏側 私が落ちた3つの穴

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「#ていねいな暮らし」に憧れ実践してわかったインスタ映えの裏側 私が落ちた3つの穴

この記事の最新更新日:2020年8月12日

以前、「ていねいな暮らし」に憧れて1年間ほど実践してみたことがあります。

ちょうどフルタイムの仕事を辞めたばかりの頃でした。

分刻みで家事育児をしていた反動もあったと思います。

雑誌やインスタグラムで見かける、天然酵母を使ってパンを焼いたり、麻のワンピースをゆったりとまとい、ナチュラルなインテリアの部屋で子どもに絵本を読んであげるお母さんにとても憧れていました。

家電や便利グッズに頼れば早く済む家事をあえて自分の手で行うことで、電気代や雑貨代の節約にもつながるのではないかとも思っていました。

丁寧な暮らしにあこがれて

「ていねいな暮らし」のために行ったこと

・ 炊飯器を使わず、土鍋でごはんを炊く

・ 掃除機を使わず、ほうきで床を掃く

・ 乾燥機を使わず、洗濯物は外で天日干しする

・ パンを生地からつくり、焼く

・ 身体の不調があれば、病院へ行く前にまずハーブや民間療法を試す

・ ナチュラルなテイストのインテリアを心がける

しかし、早々に挫折してしまいました。

「ていねいな暮らし」を実践してみてわかった、「ていねいな暮らし」の意外な落とし穴を3つ紹介します。

落とし穴1:お金がかかる

ほうきやはたきは出したままでも様になるおしゃれなものを新しく買い求めました。

ほうき:天然素材で5,000円

はたき:インテリアショップで2,000円

手持ちのオーブンではパンを焼くには容量が小さかったので、2段同時に焼ける最新型のオーブンに買い替えました。

最新型オーブン:買い替え費用6万円

冷え性解消のために靴下を重ね履きする「冷えとり健康法」を実践するため、大量の靴下を購入しました。

冷えとり健康法用の靴下:(4枚セット×3組)計1万2,000円

洗剤類をエコ洗剤に切り替えました。

以前は特売でお得に購入できていたのが、限られた店舗に出向き定価で買わざるを得なくなりました。

エコ洗剤フロッシュ:1ボトル420円

他にも天然素材のワンピースや体調不良時に飲むサプリメントやお茶など、「ていねいな暮らし」に必要だと感じたものをどんどん購入した結果、1年間で10万円ほど浪費してしまいました。

落とし穴2:時間と体力が足りない

思っていたのと違う

ドラム型の洗濯乾燥機を持っていたにも関わらず、「洗濯は天日干しに限る」と思い込み、毎日せっせと洗濯物を干していました。

化繊の服を避けた結果、乾燥機は使えなくなったのです。

しかし当時は産後間もなく、夜中の授乳のせいで睡眠も十分にとれていませんでした。

洗濯から乾燥までボタンひとつで済むものに、毎日30分程の手間をわざわざ費やしたことを思うと、「あの時間で少しでも寝ておけば良かったのではないか」と今は思います。

土鍋でご飯を炊くことも、慣れないうちは火加減が分からず、鍋の前に張り付いていなければなりませんでした。

赤ちゃんをおんぶしてあやしながら、鍋の火加減を何十分も見ているのは大変でした。

土鍋で炊いたごはんはたしかにおいしいのですが、炊飯器を使えば全く掛からない時間と労力を費やしたことを考えると、ここまで大変な思いをする必要があったとは思えません

落とし穴3:価値観の違いから、自分以外の家族と衝突する

子どもが遊ぶおもちゃ1とっても、ナチュラルなインテリアの統一感を損ねないために、天然木でできたおもちゃに限るなどのルールを家族に強いるとします。

すると、高確率で衝突が起きます

また他人の価値観が入り込む「お下がり」は、よほど自分と趣味の合う人からでない限りまず活用できません。

筆者宅も、子供が好きなキャラクターものを否定することはできず、どんどん色数が増えてゴチャゴチャした印象になりました。

当初考えていたシンプルでナチュラルなテイストからかけ離れていきました。

「ていねいな暮らし」の達人たちは、決して「ズボラ」ではない

インスタや生活系の雑誌で見かける「ていねいな暮らし」の達人たちが

「自分は本来ズボラな性格で、楽をしたいからこのように家事を効率化している」

と言います。

達人は決してズボラな性格ではないと思います。

達人の中には子育てをしながら、さらにフルタイムで仕事をしている人もいます。

こんな忙しい生活の中で、家の中をスッキリ清潔に保ち、手作りパンを焼いたり、土鍋でご飯を炊いている人は、それをやり切るための意志と体力があります

しかし「がんばってやっています」と表明してしまえば、読者はついて来ません。

「みんなできるよ、マネしてみてね」というメッセージを伝えるために、「自分はズボラ」と言っているのではないでしょうか。

同じだけの強固な意志と人並み以上の体力が無い一般的な主婦が、このような生活を実践できなくても落ち込む必要はないと思います。

忙しい生活の「負い目」から「ていねいな暮らし」に憧れた

「ていねいな暮らし」は厳選した質の良い道具を長く使い、家事にひと手間をかけ、環境にも配慮する印象があります。

どうしてこんなに憧れたのか、振り返ってみると、忙しい日々をおくる中で、自分や家族に手間をかけられない「負い目」があったように思います。

少しでもこの気持ちを払拭したくて、ひと手間をかけることにこだわっていました。

しかし本当に豊かな生活というのは人それぞれで、その人や家族に合った、必要なだけの体力とお金があれば良いのではないかと思います。

時短節約ゴチャゴチャ生活も悪くない

幸せの価値観はみんな違う

「ていねいな暮らし」のマイブームが去ったあとは、家電や便利グッズ、冷凍・レトルト食品もどんどん使い、時間を捻出するようになりました。

捻出できた時間を使って少しでも休息を取ったり、仕事をして少額でも稼ぎを得る方針に転換しました。

家の中は以前よりごちゃごちゃして、食事も出来合いが並ぶ日もありますが、幸せの度合いは変わっていません

コロナ禍で「ていねいな暮らし」へ揺り戻し

コロナ禍により、在宅時間が増え、また少し「ていねいな暮らし」時代に行っていたことを何度かやってみました。

例えば、パン作りや、古布を再利用したマスク作りなどです。

手作りマスクは不織布マスクの品切れの影響で必要に迫られて取り組みました。

筆者と同じ理由で取り組んだ人も多かったことでしょう。

しかし、不織布マスクが流通するようになった今でも、手作りの布製マスクを身につけたり、製作を続けている人が一定数いるようで、手芸用品店に行くとマスク紐がまだ品切れを起こしている日があります。

また、パン作りはコロナ禍で世界的に流行したようで、CNNの配信記事によるとアメリカでもパン生地の発酵に用いるイースト菌の品切れが続出しているそうです。

日本でもパン作りが流行し、製菓・製パン用の材料・レシピなどを取り扱うECサイト「cotta(コッタ)」によると、パンの材料が定期的に届くサブスクリプションサービス「コッタベーカリー」は、モニター募集の結果、定員の22倍の申し込みがあったそうです。

筆者もパンの材料を買いにスーパーの製菓コーナーへ行くと、強力粉やドライイーストが棚から消えており、入荷も未定という状態をよく目にしました。

2015年頃からインスタグラムなどで目にする機会が増えてきた「#ていねいな暮らし」は、源泉した道具を使って家事にひと手間かけ、環境や体に配慮するというおおもとのイメージは変わりませんが、そういった「暮らし」をおしゃれなイメージとともにSNSで発信することありきではなくなってきている印象があります。

コロナ禍で、飲み会やレジャーなど大多数の人が息抜きや楽しみとしてやってきたことができなくなり、自宅の中での楽しみや純粋な自己満足として、パン作りやマスク作りが流行しているのではないかと思います。

コロナのあともていねいな暮らし

1杯のビールも無料マンガも「ていねいな暮らし」

インスタグラムで見る「#ていねいな暮らし」のようなライフスタイルは、発信する側も受け取る側も双方が楽しめるうちには、とても有益です。

特にコロナ禍で、自宅で過ごす時間が長くなっている今、家の中に楽しみを多く見つけようとする人々が発信するアイデアは、同じことを願っている受け手側には必要不可欠なものです。

ただし、以下のような観点で、「#ていねいな暮らし」への憧れを定期的に見つめ直す必要があります。

・ 精神的、金銭的な負担になっていないかどうか

・「#ていねいな暮らし」を求める理由は何か

「暮らし」ですので、快適なことが1番大事です。

家計が苦しくなったり、嫌な気分で取り組んでいたら本末転倒ですので、その場合は距離を置いた方が良いでしょう。

また「#ていねいな暮らし」に憧れる背景に、日々の疲れや心の余裕のなさがあるとしたら、インスタグラムで実践されているようなパン作りや料理などの具体的な取り組みをそのまま真似する必要はありません。

子どもを寝かしつけたあとに1杯ビールを飲むことも、ベッドの中で無料のマンガを1話スマホで読むことも、明日への活力を生むためという目的は同じです。

こうした行動もまた、立派な「ていねいな暮らし」だと思います。

今「きちんと暮らしたい」という目標に縛られて疲れている方は、何のためにその目標が必要なのか見直してみてください。

少し気持ちがラクになると思います。(執筆者:石田 彩子)

《石田 彩子》
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石田 彩子

執筆者:元地方テレビ局記者の主婦ライター 石田 彩子 石田 彩子

新卒で地方テレビ局の記者を経験し、人材サービス会社のウェブ担当や、広告代理店でテレビショッピングの考査担当などを経て、3年前から退職し専業主婦になりました。戦略的な家庭経営を目指しています。世帯年収が200万円ダウンしても、貯蓄ペースは退職前の額を維持。特技は食洗機に食器をきっちり収めること。趣味はフィギュアスケート観戦で、最近は子供といっしょにリンクで滑ることも。 寄稿者にメッセージを送る

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