※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

【弁護士が解説】夫の金銭トラブルで離婚するとき「慰謝料」はとれるのか

ライフ 離婚
【弁護士が解説】夫の金銭トラブルで離婚するとき「慰謝料」はとれるのか

先日、某女優が夫と離婚予定であると報じられました。

理由は「夫の金銭トラブル」のようです。

実際、一般人でも夫の借金や金銭トラブルに悩む方は多数います

そもそも相手の金銭トラブルを理由として離婚できるのか、また慰謝料を払ってもらうことは可能なのでしょうか?

今回は、金銭トラブルを起こした夫と離婚する際に問題になることを弁護士の視点から解説していきます。

夫の金銭トラブルで慰謝料をとれるのか

1.金銭トラブルは離婚原因になるか

今回、某女優の夫は、自分の経営するクリニックのお金を1億数千万円分も使いこみ、さらに某女優の父親の介護費用まで着服していたようです。

配偶者が金銭トラブルを起こした場合、それを理由に離婚できるのでしょうか?

協議離婚、調停離婚なら可能

日本で離婚する場合、協議離婚や調停離婚などの「話し合いによる離婚」が原則です。

これらの離婚方法の場合、理由が何であっても当事者が納得すれば離婚が成立します。

相手の金銭トラブルが理由でも両者が合意すれば問題なく離婚できます。

裁判離婚は認められない可能性もある

金銭トラブルを起こしたというだけでは夫婦関係が破綻したとみなされない可能性があるためです。

たとえば「相手が秘密でサラ金から借金していた」場合、離婚を希望する方もおられます。

しかし生活費をきちんと入れており家庭生活に悪影響を与えていなかったら、「借金している」という事情のみで離婚は認められません。

夫の金銭トラブルで離婚できるのは、

夫が必要な生活費まで使い込んで生活費を入れてくれない場合

夫の浪費による借金トラブルで家族にまで迷惑がかかっている場合

金銭トラブルが原因で夫婦が不和となって別居し、長期間が経過している場合

などです。

このように金銭トラブルで離婚できるかどうかについては、個別のケースごとの検討が必要となります。

某女優の場合、夫は、自分の経営するクリニックのお金を1億数千万円分のみならず、某女優の父親の介護費用まで着服していたとの話であり、この話を前提にすれば、裁判でも、夫の金銭トラブルによって夫婦としての信頼関係が破壊され、婚姻関係は破綻しているとして離婚は認容される可能性が高いです。

また、離婚が認容された場合、夫は、有責配偶者になり、慰謝料も認容されるでしょう

2.金銭トラブルで慰謝料をとれるか

金銭トラブルで慰謝料をとれるか

夫の金銭トラブルが原因で離婚する場合、「迷惑をかけられた」という気持ちも強いです。

離婚時に慰謝料を払ってもらえるのでしょうか?

夫が「有責配偶者」なら慰謝料を払ってもらえる

離婚慰謝料は「離婚原因を作ったことに責任のある配偶者(有責配偶者)」に支払い義務が認められます。

金銭トラブルで慰謝料が発生するかどうかについては、トラブルの内容によって異なります

金銭トラブルによって夫が「有責配偶者」となれば慰謝料が発生しますし、そうでなければ発生しません。

また、そもそも夫の金銭トラブルがあっても、夫婦生活への影響が低い場合や、夫の借金の原因が家族の生活費の不足分を補うためなどの場合には、離婚が認められるかどうかもわかりません。

以下でそれぞれのパターンを説明していきます。

金銭トラブルが離婚理由にならないし慰謝料もとれない場合

・ 夫がサラ金などでこっそり借金しているが、生活費などはちゃんと入れてくれており、破産に至るほどの借金の額ではない場合

・ 夫に浪費やギャンブル壁があるが、生活費などはちゃんと入れてくれており、家計全体としては赤字になっていない場合

金銭トラブルで離婚できるけれども慰謝料をとれない場合

・ 夫が勝手に消費者金融から借金したので信用できなくなり、別居した。婚姻費用はずっと払ってもらっていたが長期間が経過したので離婚訴訟を起こした

夫に浪費癖があり、借金はないが、結婚してから一度も貯金ができないため、けんかが絶えず、夫婦関係が冷え切ってしまい、離婚することになった。

上記のような場合には離婚はできますが、相手に有責性が認められにくいので慰謝料までは払ってもらえないでしょう。

金銭トラブルで離婚できて慰謝料も支払ってもらえる場合

夫がギャンブルで浪費し、家のお金までつぎ込んでしまい、生活費も渡してくれない

・ 夫が借金取りから逃げるために相談もなしに家出をして音信不通となった。もちろん生活費は渡してくれていない

夫が不倫相手との交際費に家のお金を使い込んでいた

上記のような場合、夫に有責性が認められます。

生活費を渡さなかったり家出したりするのは「悪意の遺棄」になる可能性もあります。

不倫は「不貞」であり、夫が「有責配偶者」となるので、慰謝料が発生します。

ひと言で「夫の金銭トラブル」とは言っても、ケースによって結論が大きく異なってきます

3.借金のある夫が「慰謝料を払うお金がない」と言ったらどうなるか

慰謝料を払うお金がない

金銭トラブルを抱えている夫は、たいてい「お金がない」ものです。

慰謝料を払ってもらおうにも「お金がないから支払えない」と言われるケースが多いでしょう

そのようなとき、慰謝料は諦めるしかないのでしょうか?

夫に収入があれば分割払い・強制執行できる可能性がある

多額の借金があっても「お金を払えない」とは限りません。

たとえば不倫する人には、それなりの収入のある方が多いです。

不倫にはデート代やプレゼント代などのお金がかかるからです。

相手に収入があれば、そこから分割払いしてもらえる可能性があります

その場合、慰謝料の支払いを公正証書で約束しておけば、相手が支払いを怠ったときに給料を差し押さえて取り立てることもできます

自己破産されたら慰謝料はとれない

夫が多額の借金で火の車になっていて「自己破産」を検討している場合には注意が必要です。

自己破産されると、基本的に離婚慰謝料も免責対象になって支払い義務がなくなってしまうからです。

たとえば夫が不倫していたために発生する慰謝料や、夫が浪費してしまい生活費を払ってくれなかったために発生する慰謝料は、原則として自己破産されると免責されて支払い義務がなくなります。

配偶者が金銭トラブルを起こしたら

「そもそも離婚すべきか」
「慰謝料を払ってもらえるのか」
「財産分与はどうなるのか」など

検討すべき問題が山積みです。

お一人で悩まれていてもなかなか良い解決にはつながりにくいので、困ったときには弁護士にご相談されることをお勧めします。(執筆者:安部 直子)

《安部 直子》
この記事は役に立ちましたか?
+1

関連タグ

安部 直子

安部 直子

弁護士法人法律事務所オーセンス 弁護士(東京弁護士会 所属)。東京(東京八重洲・新宿・六本木・北千住)、神奈川(横浜)、千葉、大阪に拠点を置く、弁護士法人法律事務所オーセンスにて勤務。離婚問題を数多く取り扱う。離婚問題を「家族にとっての再スタート」と考え、ご依頼者様とのコミュニケーションを大切にしながら、ご依頼者様やお子様が前を向いて再スタートを切れるような解決に努めている。弁護士としての信念は、「ドアは開くまで叩く」。 <保有資格>: 弁護士資格 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集