起業時の資金調達にオススメな「助成金」や「補助金」。

良く似ている2つの言葉ですが、そもそも「助成金」と「補助金」の違いは何なのでしょうか。

国語辞典で調べてみると、

助成…研究・事業の完成をたすけること。
補助…おぎなってたすける・こと(もの)。       
三省堂国語辞典第六版より

と記されていました。

共通するのは「たすける」ということ

今回は起業時に利用したい「助成金」と「補助金」についてご紹介します。

「助成金」と「補助金」の違い

「助成金」と「補助金」の違い

助成金も補助金も国や地方公共団体、民間団体から受けられるもので、借入金とは異なり原則として返済の義務がないお金です

申し込めば誰でも受けられるというものではなく、一定の資格や審査が必要なケースが多くなっています

要件を満たしていれば、比較的受給できる可能性が高いのが助成金です。

申請期間は随時、もしくは長期に渡って受け付けているケースが多くなっています。

一方で補助金は採択される件数や金額があらかじめ決まっているので、応募件数が多くなるとそれだけ狭き門になってしまう可能性があります

また申請期間も助成金と比べると短いものが多いので注意が必要です。

補助金の場合、気を付けておきたいのが申請時の提出書類の内容。

丁寧に記入し、書類の内容に不備がないようにするのはもちろんですが、補助金の必要性をしっかりアピールする工夫も大切です。

起業時に利用できる助成金・補助金の種類は以下の4つとなっています。

・経済産業省の補助金
・厚生労働省の助成金
・それぞれの自治体が独自で実施している助成金や補助金
・企業や財団が実施する助成金や補助金

助成金や補助金は、融資と違って基本的に「後払い」となります。

経費の内訳の報告・確認が完了してから支給されるので、その点は十分注意しておきましょう。

まずは助成金や補助金を受けられる対象になっているかどうかや、その適用期間を確認することが必要です。

アンテナを広げてさまざまな情報の収集や、起業した人の体験談などを参考にするといいでしょう。

経済産業省中小企業庁が実施する補助金事業

経済産業省では「創業時の補助金事業」を実施しています

その対象者や補助金の額などの内容は次のようになっています。

「創業支援等事業者補助金(広域的な創業支援モデル事業)」

都道府県と連携する民間団体等が行う創業機運を醸成する事業(広域的な創業支援モデル事業)を実施するものに対する事業費等に要する経費の一部を補助し、地域の中核企業に育つような成長性の高い創業者を生み出す、広域的かつ先進的な創業エコシステムを構築することにより創業等を促進し、我が国経済の活性化を図ることを目的としています。(引用元:経済産業省 中小企業庁(pdf))

応募資格

応募資格

以下の要件を満たす法人格を有する民間団体等となります。

1. 日本に拠点を有していること。

2. 本事業を的確に遂行する組織、人員等を有していること。

3. 本事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤を有し、かつ資金等について十分な管理能力を有していること。

4. 本業務を推進する上で国が求める措置を、迅速かつ効率的に実施できる体制を構築できること(含む 日本語による意思疎通が可能であること)。

5. 経済産業省からの補助金交付等停止措置または指名停止措置が講じられている者ではないこと。

補助率・補助額

補助率は補助対象経費の3/4以内です。

補助対象上限額は2千万円です。

最終的な実施内容、交付決定額は経済産業省と調整した上で決定します。

「創業支援等事業者補助金」

米国や英国に比べて低いとされる日本の開業率。

日本経済の活性化を進める上でも地域の創業を促進させる施策は必要不可欠となっています。

この創業支援等事業者補助金は、産業競争力強化法に基づき、国からの認定を受けた創業支援等事業計画に従って、市区町村と連携した民間業者が行う、創業支援の取り組みに要する経費の一部を補助することにより、新たな雇用の創出、日本経済の活性化を目的とした取り組みです。

補助の対象となる事業者

産業競争力強化法の認定を受けた、または受ける予定である創業支援等事業計画に基づき、市区町村と民間業者等が連携して実施する特定創業支援等事業(継続的な支援で経営・財務・人材育成・販路開拓の知識が全て身につく事業)及び、創業機運醸成事業(創業無関心者に対し、創業に関する普及啓発を行う事業)。

補助率・補助額

補助率は補助対象経費の区分ごとに2/3以内となっています。

補助対象の上限額は1,000万円(下限50万円)です。

経費区分とその内容

人件費:人件費
事業費:謝金、旅費、設備費、会場借料費、広報費、外注費
委託費:委託費

厚生労働省が行っている「生涯現役企業支援助成金」

厚生労働省では雇用創出をポイントにした助成金事業を行っています。

経済産業省の補助金とは異なり、要件さえきちんと満たしていれば受給される可能性が高いというメリットがあります。

「雇用創出措置助成分」

雇用創出措置助成分

40歳以上の中高年齢者が起業によって自らの就業機会の創出を図るとともに、事業運営のために必要となる従業員(中高年齢者等)の雇入れを行う際に要した、雇用創出措置(募集や採用、教育訓練の実施)にかかる費用の一部を助成します。

1. 起業基準日から11か月以内に「生涯現役企業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出し、都道府県労働局長の認定を受けていること。

2. 事業継続性の確認として以下のa~dの4事項のうち2つ以上に該当していること。

a. 起業者が国、地方公共団体、金融機関等が直接または第三者に委託して実施する創業に係るセミナー等の支援を受けていること。

b. 起業者自身が当該事業分野において通算10年以上の職務経験を有していること。

c. 起業にあたって金融機関の融資を受けていること。

d. 法人または個人事業主の総資産額が1.500万円以上あり、かつ総資産額から負債額を引いた残高の総資産額に占める割合が40%以上あること。

3. 計画期間内(12か月以内)に、対象労働者を一定数以上(※)新たに雇い入れること。

60歳以上の者を1名以上、40歳以上60歳未満の者を2名以上または40歳未満の者を3名以上(40歳以上の者1名と40歳未満の者2名でも可)

4. 支給申請書提出日において、計画期間内に雇い入れた対象労働者の過半数が離職していないこと

5. 起業日から起算して支給申請日までの間における離職者の数が、計画期間内に雇い入れた対象労働者の数を超えていないこと。など

「生産性向上助成分」

雇用創出措置助成分の助成金の支給を受けた後、一定期間経過後に生産性が向上している場合に、別途生産性向上にかかる助成金を支給します

1. 支給申請書提出日において「生涯現役企業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」における事業が継続していること。

2. 雇用創出措置助成分の支給申請日の翌日から生産性向上助成分の支給申請日までに、雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇していないこと。

3. 「生涯現役企業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を提出した日の属する会計年度と、その3年経過後の会計年度の生産性を比較して伸び率が6%以上であること。など

受給額は起業時の年齢区分に応じて、計画期間内に生じた雇用創出措置に要した費用の合計に、以下の助成率を乗じた額を支給します。

起業者が60歳以上の場合:助成率2/3 (助成額の上限200万円)

起業者が40~59歳の場合:助成率1/2 (助成額の上限150万円)

また生産性向上助成分は、雇用創出措置助成分により支給された助成額の1/4の額を別途支給します

自治体独自の企業支援事業~兵庫県の取り組み

各自治体でも起業を支援するさまざまな事業が実施されています。

ここでは兵庫県の取り組みについてご紹介していきます。

「令和元年度クリエイティブ起業創出助成金」

新規性や創造性に富んだビジネスプランを有し、平成30年4月1日~令和2年1月末日までに県内で起業・第二創業した又はする予定の概ね40歳未満の者。

ただし特に優れたビジネスプランを有する場合は年齢を問わない

【助成金額】
上限200万円

【対象経費】
起業に要する経費(事務所開設費、備品購入費、専門家経費、広告宣伝費等)
研究開発に要する経費(人件費、試作・開発費等)
空き家活用に要する経費(空き家改修費)

「平成31年度女性起業家支援事業」

女性起業家支援事業

女性の代表者(実質的な経営者)で、平成30年4月1日~令和2年1月末日までに新たに起業や第二創業をした方又はする予定の方。

【補助金額】
上限100万円

【対象経費】
事業の立ち上げ等に必要な経費として明確に区分できるもので、かつ証拠書類によって発注、納品、支払い等の金額・時期・内容等が確認できる経費

事務所開設費、初度備品費、専門家経費、広告宣伝費等

「平成31年度シニア起業家支援事業」

シニア(平成31年4月1日時点で満55歳以上)の代表者(実質的な経営者)で、県内に活動拠点を置き、平成30年4月1日~令和2年1月末日までに、新たな起業や第二創業をした方又はする予定の方。

【補助金額】
上限100万円(補助率1/2以内)

【対象経費】
事業の立ち上げ等に必要な経費として明確に区分できるもので、かつ証拠書類によって発注、納品、支払い等の金額・時期・内容等が確認できる経費

事務所開設費、初度備品費、専門家経費、広告宣伝費等

「平成31年度ふるさと起業・移転促進事業(一般枠)兵庫県へのUJIターン起業家向け助成金」

平成30年4月1日~令和2年1月末日までに県外から兵庫県へ住民登録を移し、次のいずれかに該当する代表者(実質的な経営者)で、かつ3年以上県内に居住し続ける意思を有する方。

1. 県内に活動拠点を置いて、上記の期間内に新たに起業や第二創業をした方またはする予定の方

2. 上記の期限内に県外の事業所(本社)を県内へ移転した方又はする予定の方

【補助金額】
上限200万円(補助率1/2以内)

【対象経費】
事業の立ち上げ等に必要な経費として明確に区分できるもので、かつ証拠書類によって発注、納品、支払い等の金額・時期・内容等が確認できる経費(上記期間中に物品等の引き渡しや役務の提供及び支払いが完了する経費に限る)。

・ 起業・事務所移転に係る経費(事務所開設費、初度備品費、専門家経費、広告宣伝費等)
・ 移住に係る経費(県外からの引っ越し代、移転後の住宅家賃等)

兵庫県ではこのほかにも

「高齢者コミュニティ・ビジネス離陸応援事業(コミュニティ・ビジネスに新たに取り組む団体向け助成金)」

「ミドル起業家支援事業(起業を目指すミドル層(満35歳以上55歳未満)の起業家向け助成金)」

「若手起業家支援事業(起業・第二創業を目指す若手(満35歳未満)起業家向け助成金)」

など、非常に幅広い内容の支援事業が行われています。

自治体によって支援の内容に違いはありますが、兵庫県だけでもこれだけ多彩な支援が実施されていることには驚きを覚えます。

自治体にとって起業を積極的に支援することは、地域経済の活性化につながるという大きなメリットがあります

今後さらに注目され、どんどん増えていく取り組みになるといっていいでしょう。

起業時はまだ会社の実績として挙げられるものが殆どありませんが、助成金や補助金が支給されたという事実が「会社の信頼性」を高めてくれます

これによりほかの金融機関や融資等の審査でも、優遇される可能性が高くなります

融資を考える際には創業・起業を支援するいろいろな制度があります

創業についての情報提供やセミナー、またさまざまなサポートをしているのが「日本政策金融公庫」や「ミラサポ」。

日本政策金融公庫

≪画像元:日本政策金融公庫

ミラサポ

≪画像元:ミラサポ

資金調達の方法はもちろんですが、新事業の育成や専門家による個別相談、気軽に利用できる各種オンラインサービスなども行っています

また各自治体にも創業・起業を支援するいろいろな制度がありますので、融資を考える際には視野に入れて検討してみることをオススメします。(執筆者:藤 なつき)