【かんぽ生命の不正販売】18万件は今後増加の可能性「不正契約をされていないか」確認するポイントを解説

かんぽ生命保険は令和1年7月10日、保険の不正販売問題で記者会見を開き、顧客に対して不利益な販売があったことを謝罪しました。

「かもめーるの販売ノルマに苦しみ局員が自腹購入」という新聞社への1通のメールがきっかけとなり、

「高齢者をだまして保険の販売が行われている」

などの内部告発が多数投稿され、不正販売問題が明るみに出ました。

かんぽ生命 「不正契約をさせられて いないか」 確認するポイント

不正契約件数は今後増える可能性

しかし記者会見後は、全社員向けに「ソーシャルメディアへの機密情報等の書き込み禁止」が文書で通達されたことが明らかとなり、全容解明よりも経営陣が内部告発を警戒している姿勢が鮮明になっています。

約3,000万件の契約のうち18万件が不正契約の疑いとされていますが、この数値はあくまでも過去5年間の調査であり、8月以降はさらに増えていく可能性があります。

かんぽ生命保険の契約のすべてが不正というわけではありません。

契約者の意向に沿って真面目に営業活動をされている社員が大多数ではありますが、18万件という数字から、一部の不心得者の不正ではなく組織として問題があったことは明らかです。

今回は、かんぽ生命保険と契約している方が今後どのようにしていけばよいのか考えてみたいと思います。

かんぽ生命保険とは

かんぽ生命保険は大正5年に創設された国営の簡易保険が母体で、小泉政権の郵政民営化方針を受けて、2007年(平成19年)10月1日に株式会社かんぽ生命保険として日本郵政株式会社傘下の民間企業となりました。

国営の簡易保険の時代は国民に身近で加入時の審査も簡単でわかりやすい保険を販売するという役割を果たしていました。

国営ですから、簡易保険が破綻することがあっても政府が保証することになっていました。

しかし、民営化後は他の民間の生命保険会社と同じように生命保険保護機構により保護されることになりました。

どのような不正が行われたのか

生命保険証書

当初、7月10日時点では、契約の乗り換えにより顧客が不利益を受けた可能性のある契約が9万件を超えていることが明らかとなりました。

その後の調査が進み、7月末には18万件に増える見通しと報道されています。

では、実際にどのような不正な契約がされたのでしょうか。

報道されている主な事例を以下に紹介します。

1. 新契約に切り替えの際、故意に旧契約を解約せず、6か月を超えて新契約と旧契約を二重払いさせていた:7万件

2. 新契約に切り替えの際、旧契約を解約をして、故意に3か月を超えて無保険(保障がない)の状態で、その後新契約に切り替えていた:4.6万件

3. 旧契約を解約しなくても、特約の切り替えで対応できるところを旧契約を解約して新契約とした:2.5万件

特に、かんぽ生命保険の契約者は高齢者の割合が高く、今でも

「郵便局員は公務員、不正な販売などするはずがない」

のような意識の方が多数おられます。

2013年10月以降は70歳以上の高齢者に保険の勧誘をする場合は、原則として家族の同席を求める社内規定がありますが、高齢者が家族の「同席拒否」に同意した場合は、同席拒否でも勧誘できることを悪用し、よく理解できないままに契約させる事例もあります。

こうした代表的な事例にとどまらず、本人が契約した覚えのない契約書類の偽造という非常に悪質な事例まで報告されています。

不正の温床となった背景

では、なぜこのような不正販売が行われたのでしょうか。

その背景には過剰なノルマの存在があります。

新規の契約を獲得し続けなければ営業成績が上がらない仕組みになっています。

しかしながら、新たに1件の契約を取ることは至難の業です。

手っ取り早く新規契約を取る方法が、既契約をいったん解約させて新たに契約を結ぶことだったわけです。

代表的な事例にあるように6か月超の二重払いや3か月超の無保険(保障がない)の期間を作ることによって、社内では新規契約とみなされ営業成績に反映されます。

その期間が満たされていなければ新規契約とはみなされず、営業成績が半分になる或いはまったく反映されないという、契約者にとっては何の関係もない事情によるものです。

本当に必要な保険であったか、すぐに確認を

不正契約させられていないか確認を

かんぽ生命保険と契約している方は、すぐに保険証券などを見て本当に必要な保険かどうかを確認してください。

不正な勧誘の場合や不正と認定できなくても不要な契約である可能性もあります。

確認のポイントは以下の通りです。

1. 2~3年以内の短期間に頻繁に契約と解約を繰り返していないか

2. 契約件数が同時に3件以上ないか

3. 収入に比べて生活が圧迫されるほど保険料の占める割合が高くなっていないか

今後、不正販売の可能性がある約18万件の契約については、電話や訪問による確認が行われるようです。

それ以外の全契約については文書による確認などが行われるようですが、不審に思った契約について問い合わせをしない限りそのまま継続になってしまいます

契約者本人は不正な勧誘を受けたことに気づかない場合もあります。

本当に必要な保険であったのか、生活を圧迫するような多額の保険料を支払っていないか等、家族や親戚・知人など保険に詳しい方や専門家に相談してください。

かんぽ生命保険がとるべき対応

かんぽ生命保険には、少なくとも、不正な販売の可能性がある約18万件に対して次のような対応をとって欲しいものです。

・ 相談窓口(コールセンター)を設けて相談に応じる。

・ かんぽ生命保険による費用負担で、利害関係のない第三者(弁護士等)に無料で相談できる。

こうした体制を1日も早く整えていただきたいと思います。(執筆者:後藤 誠道)

この記事を書いた人

後藤 誠道 後藤 誠道(ごとう せいどう)»筆者の記事一覧 (45)

後藤FP事務所 代表
会計事務所・企業にて経理労務関係を中心に20年間勤務後、平成14年にFPとして独立する。大阪府・兵庫県を中心にセミナー講師、個人のライフプランを中心に家計の見直し・貯蓄・年金・生命保険・相続・資産運用・住宅ローンなど特定の金融機関に所属せず中立公平な相談・アドバイスを行っています。保険のセンンドオピニオンとしてご相談のみ(保険の勧誘を受けたくない)をご希望の方もお問い合わせ下さい。
<保有資格>1級ファイナンシャルプランニング技能士(厚生労働省)、証券外務員二種(日本証券業協会) 、簿記検定1級(日本商工会議所)
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