日本のインフラ:現在と今後

この記事では、「公的年金」は「生活インフラ」であり、その情報への対応の仕方についてお話ししたいと思います。

生活インフラ

仕事を始めて30年以上になり、この間に驚いたことが2つあります。

1つは、阪神・淡路大震災で被災したことです。

日々の生活を送るにあたって必須となるのが生活インフラですが、大災害の前では一瞬にして止まってしまいます。

こんなに脆いものなのかと驚いたことは忘れられません。

私の場合は生命に関わる状況ではなかったのですが、日本で暮らのであれば、大災害は明日にも発生しておかしくないということを肝に銘じておくべきです。

そして、被災すると復旧にはたいへんな時間がかかるということもです。

SNSは、「生活インフラ」となる途上

2つめは、インターネットの普及です。

私は、ネットの普及前から仕事をしていたわけですが、もはやネットがないと仕事になりません。

情報を得る方法も、ネット以前は新聞やテレビなど、現在オールドメディアといわれるものがほぼすべてでした。

ところが、ネットの普及とともにFacebook、TwitterやYouTubeなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)が登場してから情報環境は激変しています。

SNSは生活インフラの一部となる途上にありますが、利用者が高齢者世代となってくれば、生活インフラの1つになるのだろうと思います。

公的年金:個々人用にカスタマイズされた「生活インフラ」

公的年金は、 個々人用にカスタマイズされた「生活インフラ」

年金は複雑でわかりにくいとよくいわれます。

私は、公的年金が複雑だというのは当たり前のことではないかと思っています。

よく考えていただきたいのですが、例えば、現在年金を受給しているAさんとBさんがいらっしゃるとして、おふた方の受給額はおそらく違っています。

たまたま一致することもあるかもしれませんが、おふた方の支払い保険料も加入期間も違うでしょう。

保険料や加入期間がまったく同じというのは、ほぼあり得ないと思います。

つまり、公的保険というのは、個人単位のものであり、言い方を変えると、

「公的年金は個人単位にカスタマイズされた生活インフラ」である

ということです。

社会保障制度は「人に優しい」ほど複雑になる

個人的には、日本ほど「人に優しい」社会保険制度を持つ国は世界中どこに行ってもないと思っています。

そして、社会保険の1つである年金もそうです。

「人に優しく」なるほど、実は複雑になっていきます

これも当たり前で、個々人の状況に合わせようとするからです。

人に優しすぎると複雑になるというのは、まさにパラドックスです。

このパラドックスを解決してくれそうなのが、ネットではないかと思っています。

ただし、現在の状況は、ゴールまではまだ遠くにあるという感じです。

最新の個人年金記録は、「ねんきんネット」でわかる

ねんきんネットトップページ

≪画像元:日本年金機構

年金に関する積極的な個人情報提供は、2009年からの「ねんきん定期便」の送達から始まりました。

また、2011年に機能改善された「ねんきんネット」があります。

「ねんきん定期便」の配達頻度と記載内容

「ねんきん定期便」は、年に1度、誕生月(1日生まれは誕生月の前月)に送付されます。

35歳、45歳、59歳といった節目年齢の時には、A4判の封筒で届きますが、それ以外ははがきで届きます。

節目に届く「ねんきん定期便」の記載事項は、

・ 加入者の加入期間
・ 見込み受給年金額
・ 加入履歴
・ 過去の全ての厚生年金の標準報酬月額および国民年金の保険料納付状況

などです。

直近1年間の情報が記載されています。

「ねんきんネット」でできること

ねんきんネット」は、インターネットを通じてご自身の年金の情報を手軽に確認できるサービスです。

「ねんきんネット」でできることは、

・ 年金記録の照会で、年金加入記録の確認

・ 受給見込額試算で、受け取るの年金見込額の確認

・ 電子版「ねんきん定期便」の閲覧

・ 日本年金機構から郵送された各種通知書の確認

などです。

24時間いつでもどこでも、パソコンやスマートフォンから確認できます。

つまり、このサービスを利用すると、誕生月に送られてくるねんきん定期便を待つのではなく、最新の個人年金記録を知ることができます

また、これからの働き方によって、将来の年金額がいくらになるのかもシミュレーションできます

見込み受給年金額がわかりますが、現実には、年金を受給する段階になると物価や賃金によってスライド調整されます。

あくまでも現在の目安です。

将来のことは誰にもわかりません。

これからの働き方や年金の受け取り方、税制優遇を使った個人年金をつくっていくなど、自分次第でいくらでも変えていけるはずです。

ねんきんネット

≪画像元:日本年金機構

配偶者の年金の情報確認も重要

とても便利になっていますが、さらに、「いつから、いくら受け取れるのか」自分でしっかりと対応することは必要です。

例えば、ねんきん定期便やねんきんネットは、自分のことのみの記載です。

配偶者の加算は載っていません

配偶者が加算条件に該当していれば、加給年金、振替加算が支給されます。

加給年金は年額約39万円、月額で約3万3,000円です。

これだけの金額が増えるとなると、加算について知っておかないと老後の資金計画に影響を及ぼします。

本当に必要になる年金に関する情報とは

まずは、原則論の確認からしていきましょう。

公的年金の原則

公的年金は法に基いて施行されています。

例えば、年金破綻論はずっと昔からあり、その度に私は「年金制度は日本国民が見捨てない限り、破綻などするわけがない」と言い続けてきました。

国民が年金制度を見捨てるとは、国会で成立し内閣による行政府が施行している年金関連諸法を廃止することです。

または、国が年金を支給しない、大きく減額するというような法改正をしない限りは、制度そのものは行政府によって施行され続けます。

日本は、民主主義に基づく法治国家です。

選挙で選出された国会議員が国会で法律を成立させ、行政府が施行し、判断に疑念があれば裁判所で争われます。

国会で成立した法律を実際に施行するとき、内容に応じて、具体的な行政府による活動に落とし込んで行くわけですが、レベルに応じて閣議決定による政令、大臣に決定による省令や省規則などで詳細な対応が決められていきます。

年金関連法は、社会保険という仕組みを使っているため、あらかた法律で規定されています。

国会での年金関連諸法の改正に注意していればよいだけです

公的年金の仕組み

先進各国の公的年金制度は、いずれも、

現役世代が納めた保険料をその時々の高齢者の年金給付に充てる仕組み「賦課方式}を基本とした財政方式

です。

日本は、将来の高齢化が進むことに備えて相当の積立金を持っています。

積立金を活用しながら、将来世代の保険料の水準が高くなりすぎないように配慮されているのです。

賦課方式を基本としている公的年金は、収入(財源)と支出(年金給付)とともに、賃金水準の変化に応じて変動することになっています。

この仕組みによって、経済変動に対しても一定の安定を確保でき、その時々の賃金水準に応じた年金給付ができるのです。

ゆえに、将来の年金給付水準は、経済環境などによっても変わっていくものなのです。

5年に1度の「財政検証」で年金の未来が修正される

今年は5年に1度の「財政検証」 、年金改革の方向性が 見えてくる

現在の公的年金制度には、将来にわたって制度を安定させるための仕組みが導入されています。

5年ごとに、おおむね100年という長期の財政収支(保険料収入や給付費等の収支)の見通しや、マクロ経済スライドに関する見通しを作成し、公的年金財政の健全性を検証する「財政検証」を行うのです。

5年に1度行われる財政検証は、未来への投影です。

状況を確認しながら、改正を行い続ける仕組みです。

おおむね100年を見通して、持続可能なシステムを、再設計し繰り返していくのです。

年金改革の方向性:今年の財政検証に注視

今年は、財政検証の年です。

さまざまな試算パターンが公表されます。ちょうど本日発表されました。

年金改革の方向性を知るために注目しておきましょう。

膨大な年金に関する情報が溢れていますが、本当に必要なのは、その情報の中のほんの少しだけだと思っています。(執筆者:井戸 美枝)