故人の「賃貸借契約」も相続の対象になる 相続しない契約形態、第三者に迷惑をかけない手続きも伝授

相続は、故人の正の遺産も負の遺産もまとめて引き継ぐものです

正(プラス)の遺産といえば預貯金や不動産など、負(マイナス)の遺産は借金などをぱっと思いつきますが、借家契約も負の遺産となりえるのです。

借家契約も負の遺産となりえる

債務のある契約は相続の対象に

契約は当事者間の意思の合致があれば成立するものですから、当事者のどちらかが死んでしまったら契約も当然に終了する。

ついそう考えるかもしれません。

しかし故人(被相続人)の借金やローンもすべて契約から発生しているものであり、たまたま金銭が絡む契約なので相続になじみやすいだけなのです。

被相続人が亡くなるまで借家に住んでいた場合も、月々の家賃支払いという債務があったのですから当然に相続人がその債務を引き継ぎます。

相続人は家主との賃貸借契約を解約しない限り、家賃を支払い続けなければなりません(代わりにその借家に住むことはできますが)。

もし被相続人が生前借家住まいだったことを何らかの事情で相続人が知らなかったり、知っていても自動的に契約が終わるだろうと放っておいたりした場合、期間がたってからの家賃などの支払い請求が届いて驚くことになりかねません。

相続しない契約形態もある

被相続人が自己所有ではない家に住んでいても、死後相続の対象とならないのが、使用貸借という契約形態です。

使用貸借は、原則貸主が無償で借主に目的物を使用させ、借主は使用後に目的物を貸主へ返還することを約束するという契約です(民法第593条)。

使用貸借契約は借主の死亡によって終了するため(同第599条)相続の対象とならないのです。

貸主はあくまでも被相続人に対し、好意で家を貸したのであり、死亡後に相続人が同様に無償で住むことまで想定していません。

いわば貸主を保護するために規定が置かれているのです。

賃貸借契約は貸主の負担も続く

賃貸借契約も相続の対象です

相続人が被相続人の賃貸借契約解約の手続きを取らないと、家主にも負担がかかります。

家賃が入らなくても貸主側だけで勝手に解約することはできません

裁判などの手続きをへて契約解除が何とか認められても、貸家の中の家具などは、相続人が引き取るか所有権を放棄しない限り、原則家主が保管することになります

特に連帯保証人がいない場合の家主の負担は計り知れません

自己所有の不動産であればしばらく放っておくことも可能ですが(空家問題はあるとしても)、借家だった場合は、第三者に迷惑をかけぬよう、相続人は責任を持って手続きを行いましょう。 

相続放棄をするにしても、最低でも賃貸借契約および、借家における水道や電気などの契約を解約してからにしましょう。

水道や電気などの解約は相続人が相続放棄した後でもできるというのが通説ですが、放棄前に賃貸借契約解約と同時にしておくことをお勧めします。(執筆者:橋本 玲子)

この記事を書いた人

橋本 玲子 橋本 玲子(はしもとれいこ)»筆者の記事一覧 (15)

行政書士事務所経営。相続や遺言関係を専門とする社団法人の理事もしています。アドバイスや業務遂行でお客様の問題が解決するととても嬉しくやりがいを感じます。ライティングもどなたかのお役に立てればという気持ちで取り組んでいます。
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