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老後に「リバースモーゲージ型ローン」という選択は正解か 融資条件、メリット・デメリットを銀行員が解説

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老後に「リバースモーゲージ型ローン」という選択は正解か 融資条件、メリット・デメリットを銀行員が解説

人生100年時代、老後資金2,000万円が足りなくなると言われている昨今ですが、資産形成をどうするか思案している方は多いでしょう。

昨今は、リバースモーゲージ型ローンという融資を最近よく耳にします。

自宅などの不動産を担保に入れて、生きている時には利息だけの支払いで済むというものです。

その借り方とメリット・デメリットを解説します。

「リバースモーゲージ型ローン」という選択は正解か 融資条件、メリット・デメリット

リバースモーゲージ型ローンとは

リバースモーゲージ型ローンとは、自宅などの不動産を担保にローンを借入するものです。

生きている間は元金の返済をせず(もちろん利息は支払いますが)、死んだときに担保不動産を売却して返済する融資のこと

をいいます。

利息だけの支払いですから負担が少ないうえに、住み慣れた自宅に死ぬまで住み続けられるわけです。

欧米で産まれたこのローン商品は、日本ではなじまないものでした。

日本の場合、融資を借りたら最後の1円まで返済するものだという固定観念があるからかもしれません。

「リバースモーゲージ型ローン」融資の条件

リバースモーゲージ型ローンの条件

あなたはいつ返済してもらえるかわからない相手にお金を貸しますか。

先ほど利息の支払いしかしなくてよいと言いましたが、この融資では融資の返済は借主が死んだ時です。

人生100年時代などと言われていますし、いつ死ぬかなんてわかりませんよね。

将来かわからない不確実性が多いからこそ、この融資はかなりハードルが高いのです。

つまり、不動産を持っているなら誰でもOKというわけではありません。

いくつか重要な条件があります。

条件1:収入がある

利息の支払いが必要ですから、ある程度の収入がないと借りられません。

条件2:担保とする不動産が確実に売れる物件である

不動産を売却して返済するのですから、確実に売れそうな不動産でなければ借りられません。

たとえば、大都市圏に立地し、評価額が最低でも数百万円以上の物件などです。

条件3:担保評価額はかなり減額される

55歳の退職時に借入し100歳で死んで返済する場合、借入期間は45年と極めて長い期間です。

このことから、不動産が将来どのような価値になるのか不確実性が高いため、担保評価はかなり減額されます。

銀行にもよりますが30~50%程度ともいわれています。

従って、1億円のいわゆる億ションを当時即金で購入したので、このローンでも1億円借りようといあんばいにはいきません。

せいぜい3,000~5,000万円程度と考えておいたほうがよいというわけです。

条件5:ある程度の金融資産がある

利息だけは支払わなければならない訳ですから、もしものことを考えるとまとまった金融資産があることが重要です。

数十年後の不動産の価値などわかりませんし、万一担保評価を融資残高が割り込むような場合には、銀行が「一部返済」を交渉してくるかもしれません。

その際に無一文だと返済もできないからです。

銀行にもよりますが、預金残高1,000万円以上が条件というところもあるそうです。

条件6:けっこう金利が高い

返済を死ぬまで猶予する訳ですから、将来のリスクを考えると銀行側はある程度高金利にせざるを得ません。

いくつか条件を挙げましたが、これらをクリアすることは容易ではありません。

手軽に借りられるものではないということを覚えておいてください。

「リバースモーゲージ型ローン」のメリット・デメリット

リバースモーゲージローンのメリット・デメリット

ここからは、リバースモーゲージ型ローンで借入するメリットとデメリットについて解説していきます。

借入するメリット

まずは、メリットから見ていきましょう。

メリット1:住み慣れた自宅に住み続けられる

自宅を売却することなくまとまった資金を調達できます。

返済は自分が死んだ後ですから、生きている間は住む場所に不自由はしません

メリット2:担保評価の範囲で反復して借入できる

評価は厳しく抑えられますが、

・介護が必要になってからのバリアフリー化のリフォーム

・子息の自宅購入や、孫の教育資金を援助

・夫婦で豪華客船世界1周旅行

など、まとまった資金調達を年齢を気にせずにできるかもしれません。

メリット3:住宅ローンを返済できない際の手段の1つ

現在借入している住宅ローンの返済が困難になった時に、リバースモーゲージ型ローンに切り替えるという手段があります。

元金の返済を猶予し利息の支払いのみとなるため、返済めどがつく場合もあります。

もちろん自宅を売却しないと返済ができないケースが多いため、あくまで救済手段のひとつと言えます。

借入するデメリット

よいことばかりではありません。

ここからは、デメリットです。

デメリット1:子供との不和の火種

子供が、将来は自宅を相続したいと思っているかもしれません。

まずは、子供の意思の確認も兼ねて、死んだら売却されることに納得できるかどうか、じっくり話しあう必要があります。

デメリット2:自宅に住み続ける意味を失うリスクがある

住まいをそのままに、子育てを終えて夫婦水入らずの余生に好きなことを思う存分やりたいと思って借りたものの、子供には自宅相続の意思がないということもあります。

子供に残す必要のない資産にそこまでこだわる必要はあるのでしょうか

住み慣れた自宅に住むことがそこまで大事なのことなのか、借りる前によく考えてみるべきです。

どのような人に向いているのか

「リバースモーゲージ型ローン」で借入する際のハードルの高さ、借入の際のメリット・デメリットは理解いただけたと思います。

では、ここまでのことを考慮したうえで、このローンに向いている人とはどのような人なのでしょう。

1. 退職後、年金受給者となり住宅ローンの返済が困難になった人

ただし、担保評価額はかなり減額されますから、ある程度の返済が進んでいることが前提です。

2. 子どもに財産を残さないと決めた、あるいは引継ぎ後継者がいない人

このような方の場合は、生きている限り、保有資産の価値を最大限に活用し必要な資金調達が可能です。

選択肢の段階で家族とも話し合う

「リバースモーゲージ型ローン」がベストの選択肢かどうかは、自分だけで決められるものではありません。

配偶者、子供など後継者の意思の確認が極めて重要です。

そのなかで今の自宅を手放すという選択肢もあるかもしれません

自分が死んだ後のことは知らないという姿勢は相続時の遺族にとって揉め事の火種にもなりかねません。

家族とじっくり話し、まず自分の考え方、意思を明確にすることが肝要です。(執筆者:番場 正志)

《番場 正志》
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番場 正志

現役メガバンクの銀行員。法人担当および富裕層個人、地権者を主に担当し融資拡大、新規開拓、ファイナンシャルプランナーとして25年以上の実績あり。金融ビジネスにおいて幅広い分野で提案やアドバイスが可能。知らなかったと後悔してもらいたくありません。常に読者の側に立ってわかりやすく紹介することをモットーにしています。 <保有資格>証券外務員1種、内部管理責任者、生命保険募集人、損害保険募集人、2級ファイナンシャルプランニング技能士、AFP、2種衛生管理者、防火防災責任者、小型船舶2級 寄稿者にメッセージを送る

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