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保険会社が違っても「保障内容が同じ」なら料金も同じ 計算基準や保険の選び方について解説

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保険会社が違っても「保障内容が同じ」なら料金も同じ 計算基準や保険の選び方について解説

今、日本で営業している保険会社は、生命保険会社42社・損害保険会社54社もあります(令和元年7月1日現在・金融庁)。

各社それぞれにいろいろなタイプの保障を出して、保険料もピンキリです

実は、保険料の計算方法は法律によって決められて、保障内容であれば、だいたい同じ金額になります。

ではなぜ、金額に違いがあるのかを、詳しくご説明します。

保険料の内訳は、どの会社も同じ

保険料の内訳は、どの会社も同じ

契約者が支払う保険料の内訳は、次の2つに分けられます。

純保険料

支払事由が生じた場合のために、準備されている部分
 

付加保険料

保険会社の運営のために、使われる部分

まず、純保険料の計算についてお話しましょう。

純保険料を決める「予定死亡率」と「予定利率」

(1) 予定死亡率

死亡保険金を支払う事由が発生する確率です。

予定死亡率は、金融庁からの委託で「日本アクチュアリー会」が算出しています

計算に使うデータは、各保険会社の保険金支払い実績を「生命保険協会」が集積したものです。

ここでは、死亡保険金について話していきますが、例えば「40代の男性ががんになる確率」や「50代女性が子宮筋腫になる確率」など、それぞれの保障に必要な計算をする場合のデータも各社共通のものを使っています

つまり、(1)については、どの保険会社もどの商品も、全く同じ数値を使用しているのです。

(2) 予定利率

予定利率も、「日本アクチュアリー会」が算出しています。

国債の利回りを基準としているため世の中の金利と連動しており、残念なことにここ数年はずっと低金利が続いています。

全く同じ数値を使う義務はありませんが、独自に計算したところで差が出るものでもないでしょう。

また、保険業法という法律で定められた制度により、契約者にきちんと支払えるだけの資産を準備しておかなければならないため、堅実な利率での運用を求められます

つまり、結局どの会社もほとんど同じ数値を使用していることになるのです。

次に、付加保険料を決める数値について説明します。

付加保険料を決める「予定事業費率」

付加保険料を決める数値について

(3) 予定事業費率

保険会社を運営するために必要な費用はどのくらいか。

予定事業費率は、各社それぞれが計算する部分です。

大きな会社ほど、運営費用はかかります

関わる人数が多い分、人件費や経費がかかり、CMを制作するたびに大きなお金が動きます。

例えばネット販売専門の会社であれば、運営費用はかなり安くできるでしょう

一方で、大きな会社ほどサービスが良いということもあるでしょう

相談窓口が多くその都度しっかりと説明を受けられたり、何かあったときの対応が素早く丁寧だったり、無償で受けられる弁護士相談や医療相談があったり、可愛いキャラクターグッズがもらえたりもするでしょう。

また、大きな会社では保険以外の事業での収入がある場合もあります

ホール経営や不動産賃貸料等で経営状態が安定している部分もあるでしょう。

小さな会社では、そういった余力に乏しいところは否めません。

各社どのくらい差があるのか

実は、保険料の中の「(3) 予定事業費率」を、どのくらいの割合にするか、はっきりとした決まりはありません。

会社によっては、「〇%のせています」と明らかにしているところもありますが、ほとんどの会社は公にしていません。

ですが、それぞれに「価格競争」というものがありますから、この部分についてそうそう大きな差はついていないのが現状です。

「同じ人のために計算した同じような保障」を設計してもらった場合、A社とB社の保険料の違いが数十円~数百円程度であれば、(3) の差かもしれません。

でも、もっと大きな差がつく場合は、(3) の差ではありません

それは、「似ているけれど違う」保障です

似ているけれど違う保険

違いは保障内容です。

いくつか例を紹介していきましょう。

補償内容が違います

死亡保険金の場合

【死亡保険金支払事由】

A社「死亡時のみ」
B社「死亡時、あるいは高度障害時」

高度障害時には介護状態になっていることが想定されますので、そのタイミングで保険金がもらえるもののほうが使いやすいでしょう。

がん保険の場合

【がん診断給付金支払事由】

A社「がんと診断された場合のみ」
B社「がん診断時、あるいは死亡時(死亡理由不問)」

A社の保障は、がん以外の病気やケガでは一切保障がありません。

その分安価なので、追加の保険としては適していますが、メイン保障にするには不安です。

「死亡する確率」対「死亡する確率+高度障害になる確率」では、後者がすこし高くなります。

「がんで死亡する確率」対「がんやその他の病気・ケガで死亡する確率」は、後者が圧倒的に高くなって当然です。

似ているけれど違う保障は、先ほど説明した「(1) 予定死亡率」の時点で別モノなのです

最も差がつくのは、介護保障

「何を介護状態とするのか」は、各社で全く基準が違います。

A社「手足の麻痺が半年以上続くこと」
B社「『寝たきり』かつ『自立歩行不可能』なこと
C社「事故での入院が一定日数続くこと」

また、受け取る形もさまざまです。

A社「毎月一定額 × 指定年数(末子成人まで等)」
B社「一時金」
C社「毎月一定額 × 2年間」

別モノ同士を「お得な保険はどれか?」と比較しても、根本的に違いすぎて答えが出せません。

ただ確実に言えることは、「もらいやすいものほど保険料は高く、なかなか該当しないものほど保険料は安く」なります

これは、計算基準「(1) 予定死亡率」を考えればあたりまえのことなのです。

「同じなのに安い」は、あり得ません。「違うから、安い」のです

ただ、安いから悪い保険ということでもありません。

保障内容をしっかり理解して、賢く使い分けてください。(執筆者:仲村 希)

《仲村 希》
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仲村 希

仲村 希

国内大手保険会社にて生命保険募集人と損害保険代理店を兼務、外資大手生命保険会社では顧客相談室クレーム対応係に着任。たくさんのお客様のお話をうかがって、保険に対する誤解が根深いことを痛感しました。退職後は「保険ってわからない。めんどうくさい」を少しでも解消できればと、保険記事の執筆を開始。ファイナンシャルプランニング2級技能士。 寄稿者にメッセージを送る

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