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「国民年金を支払っても損はしない」 3つのメリットを知って、未来のために納付しよう

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「国民年金を支払っても損はしない」 3つのメリットを知って、未来のために納付しよう

参議院選挙の際に、「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」の内容から、いわゆる「年金2,000万円問題」が話題になりました。

ここで、年金だけで老後資金を用意できないなら、「年金を支払っても損をするだけ」といった話を、ときどき耳にするようになりました。

この話は本当でしょうか?

年金を支払っても損をするだけ?

この話は年金制度に関する知識不足からきている誤解ではないかと考えています。

実際には、年金を支払って損はしません

以下、年金を支払うメリットという切り口から、1つ1つ解説していきます。

メリット1 :年金の原資を国や勤務先が一部負担してくれている

自営業者やフリーの方の場合

自営業者やフリーの方であれば、国民年金の第一号被保険者となります。

老後に老齢基礎年金を受け取ることができます。

公的年金は、自分が納めた保険料を積み立てておいて老後に受け取る方式(積立方式)ではありません。

現役世代が支払う保険料を今の年金受給者が受け取る「世代間の仕送り方式」(賦課方式)をとっています

高齢化が進むと、現役世代の負担が大きくなります

とすると、今、現役世代の方が老後を迎えるときは、より少ない現役世代の保険料からしか年金を受給できずに、損をするのではないかと感じてしまうかもしれません。

しかし、国民年金に加入すると、老後に受給する基礎年金の半分を国が負担してくれます

基礎年金の給付費の2分の1は税金(国庫負担)でまかなわれています。(参考元:厚生労働省

会社員の方の場合

会社員の方であれば、勤務先を通じて厚生年金に加入します。

厚生年金に加入すると、老後は老齢基礎年金に加え、老齢厚生年金を合わせて受け取ることができます

厚生年金も国民年金と同様に公的年金ですので、国民年金の保険料と同様に、現役世代が支払う保険料を今の年金受給者が受け取る「世代間の仕送り方式」(賦課方式)をとっています。

厚生年金も国民年金と同様に払うと損してしまうと考えがちです。

しかし、厚生年金の保険料は労使折半、つまり、被保険者である社員と会社が半分ずつ負担します

具体的な金額は、厚生年金の保険料率は18.3%ですので、その半分の9.15%です。

さらに、厚生年金にも基礎年金拠出金の額の2分の1に相当する額を国が負担しています。(厚生年金保険法第80条第1項)

さらに、会社員の方に扶養されている配偶者は、保険料を負担しなくてよいという点もあります。

メリット2:国民年金支払い時にも各種保障がある

現役時代から加入メリットはある

国民年金への加入のメリットは老後時代から到来するのではなく、現役時代からあります

また、年金未納で不利益を被るのは、ご自身だけでなく、ご家族にも及ぶことも考えられます。

具体的には、以下の2点です。

障害給付がある

国民年金に加入中に発生した病気やケガで障害の状態になった場合には、障害給付を受けることが可能です。

お子さんがいらっしゃる場合には、人数に応じた加算もあります

この給付を受ける前提として、

初診日の前々月におけるすべての被保険者期間のうち、3分の2以上が保険料納付済期間または保険料免除期間であること

もしくは、初診日の前々月における直近1年間に未納期間がないこと

です。

なお、この対象となる障害の範囲は幅広いために、何かあった際には、年金事務所や市区役所の年金担当窓口などに相談してみるとよいでしょう。

また、病気やケガをした後になって保険料を納付しても、その期間は納付済みとはならないので注意が必要です。

遺族給付がある

また、国民年金に加入中に、万が一のことがあった場合には、遺族に対して遺族給付が行われます

この遺族とは、原則として亡くなった人の収入で生活をしていた家族のことです。

この給付を受ける前提として、亡くなった方が国民年金の保険料を納めていたことが必要で、免除などの申請をせずに保険料未納の期間が一定期間あれば、残された遺族には遺族年金を受け取る資格がありません

メリット3 :老後は長生きするほどたくさん年金がもらえる

20歳から亡くなるまでメリットを享受できる

老後に受給する老齢基礎年金や老齢厚生年金は終身年金です。

ですので、長生きすればするほど、たくさんの年金額を受給することができます

一方で、ご自身で貯金や資産運用等で老後資金を作った場合は、その資金は有限ですので、どこで資金が尽きるかという心配が一生涯つきまといます。

老齢基礎年金や老齢厚生年金に関しては、国の年金制度が万が一破綻しない限り、そういった心配がないので、お金という金額面だけでなく心理的な面でもメリットがあるといえるでしょう。

また、老齢基礎年金も老齢厚生年金もそれぞれ繰下げ受給することで、さらに受給金額を増やすことが可能です。

原則は65歳からの受け取りを最大70歳まで繰り下げることができますので、最高の増額率は42%となります。

ご自身で用意した老後資金では、こういったことをすることは困難でしょう。

国民年金は支払っても損をするというのは誤解です

以上のように、国民年金の保険料の支払いをしている現役時代には、リスクに備えた各種保障を受けることができます。

また、年金が受給される老後時代には、国や勤務先企業が負担した年金額も合わせ終身で受け取ることができますし、受給開始期間を繰り下げることで、その年金額も確実に増やすことも可能です。

このように見ていけば、国民年金の保険料を納付開始となる20歳から亡くなるまで、国民年金を納付するメリットを享受し続けることができると捉えることも可能です。

国民年金は支払っても損をするというのは、国民年金の仕組みの知識不足からくる誤解ではないでしょうか。

それなりに大きい金額の納付が必要なので、毎月の負担は大変かもしれません。

しかし、場合によっては免除や納付猶予も可能ですし、未納分を追納することも可能ですので、ぜひご自身やご家族のためにも国民年金は支払っていってください。(執筆者:佐藤 彰)

《佐藤 彰》
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佐藤 彰

佐藤 彰

全国に営業店を構える対面型証券会社とIT系の証券会社に勤務し、2019年4月に独立しました。金融機関在籍時は、主にコンプライアンス部門に所属し、若手社員教育、コンプライアンス研修、投資信託販売のチェックを主に担当していました。金融機関外での金融教育の必要性を実感し、現在は主に投資信託による資産形成を支援するファイナンシャルプランナーとして活動しています。コーチ資格も保有しており、投資と心理にも着目した情報発信をしています。 <保有資格>AFP、米国CTI認定プロフェッショナルコーチCPCC 寄稿者にメッセージを送る

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