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フリーランスが「国民年金免除」を受けても、思ったほど受給額は減らないなら、「払わないより免除の申請」という選択

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フリーランスが「国民年金免除」を受けても、思ったほど受給額は減らないなら、「払わないより免除の申請」という選択

この記事の最新更新日:2021年10月19日

企業などに所属しないフリーランスは国民年金保険料を自分で納めなければなりませんが、これが馬鹿になりません。

国民年金保険料は、所得によっては申請すれば免除してもらえます。

ただ、免除を受けると老後の年金受給に影響が出るのは当然のことです。

フリーランスとして稼げない間に国民年金保険料の免除を受けると、いったい将来はどうなるのでしょうか

国民年金保険料の免除を受けると どうなる?

免除を受けても将来の受給額は意外に減らない

「国民年金保険料の免除を受けると、ただでさえ少ない将来の受給額が壊滅的に減ってしまう」

このように思っている方も多いのではないでしょうか。

もし本当に、壊滅的に減ってしまうのなら、決して安くはない保険料を毎月支払うのもバカバカしくなり、自暴自棄になってしまうのも無理はありません。

しかし、実は免除を受けても将来の受給額がそれほど大幅に減るわけではないのです。

なぜなら、きちんと免除の手続きを取れば、免除を受けた期間も納付期間(受給資格期間)にカウントされるからです。

しかも、免除期間中も一定の割合で減額されますが、年金はゼロではなく、ある程度の金額で計算されます

それに対して、自暴自棄になって免除の手続きを取らずに未納にしていると、未納期間は納付期間(受給資格期間)にカウントされませんし、年金もゼロで計算されることになります。

未納にはペナルティもある

国民年金保険料の未納が続くと、財産を差し押さえられることがあります。

20歳から60歳までの全ての人は国民年金に加入する義務があり、保険料を支払わない人に対しては、税金と同じように国が強制的に徴収する手続をとることになっているのです。

以前はそれほど厳しく徴収されていなかったのですが、平成26年度から日本年金機構が徴収を強化し、平成29年度には財産差押えが1万4,000件以上も発生しています。

未納になっている保険料がある限り、給料などの差押えなどのペナルティが続く可能性があります。

そう考えると、国民年金保険料の免除の手続きを取ることには大きなメリットがあるのです。

免除を受けた場合の将来の受給額の試算

それでは、免除を受けた場合に将来の受給額がどれくらい減るのかを具体的に試算してみましょう。

20歳から60歳まで40年間国民年金に加入して保険料を納め、受給資格を得たものの、途中の3年間(2016年1月~2018年12月)は経済的に苦しくて保険料を納めることができなかったというケースで考えてみましょう。

年金額は2019(平成31)年度の金額(満額78万100円)で試算してみます。

実際には金額が毎年変更されますので、以下の試算はあくまでも目安として参考になさってください。

20年間保険料を全額納付した場合の受給額は、年間39万50円(78万100円 × 240/480)です。

免除手続きを取らず、未納の場合

未納期間は納付期間(受給資格期間)から除外されるので、老齢基礎年金の年間受給額の計算式は以下のようになります。

78万100 ×(240-36)/480=33万1,543円

全額免除を受けた場合

保険料の全額免除を受けた場合は、免除期間中も年金額が1/2(2009年3月までの期間については1/3)で計算されます。

78万100 ×(240-36)/480 + 78万100×36/480 × 1/2=36万797円

4分の3免除を受けた場合

保険料の4分の3の免除を受けた場合は、免除期間中も年金額が5/8(2009年3月までの期間については1/2)で計算されます。

78万100 ×(240-36)/480+78万100 × 36/480 × 5/8=36万8,110円

半額免除を受けた場合

保険料の半額免除の免除を受けた場合は、免除期間中も年金額が6/8(2009年3月までの期間については2/3)で計算されます。

78万100 ×(240-36)/480+78万100 × 36/480 × 6/8=37万5,424円

4分の1免除を受けた場合

保険料の4分の1の免除を受けた場合は、免除期間中も年金額が7/8(2009年3月までの期間については5/6)で計算されます。

78万100×(240-36)/480+78万100 × 36/480 × 7/8=38万2,737円

以上の計算結果を表にまとめてみます。

単位:円


年間受給額
全額納付との差額

(年間)

全額納付との差額

(1ヶ月あたり)

全額納付 390,050
未納 331,543 58,507 4,876
全額免除 360,797 29,253 2,438
4分の3免除 368,110 21,940 1,828
半額免除 375,424 14,626 1,219
4分の1免除 382,737 7,313 609

免除の手続きを取ることで、減額幅をかなり抑えることができますね。

保険料の支払いが厳しいときは、未納にせず免除の手続きを取らないと大きな損をします

未納・免除があっても追納すれば満額受給できる

追納すれば満額受給できる

国民年金保険料を未納したり、免除を受けたりしても、追納すれば将来満額の年金を受給できるようになります

国民年金の受給額は低いとはいえ、終身もらえるものですから、捨てるわけにはいきません。

可能な限り満額をもらえるように保険料を納付したいところです

起業したばかりのフリーランスで保険料の支払いが厳しいとしても、免除手続きをとって損失を最小限に抑え、収益が安定してきたら追納することを目指しましょう。

ただし、免除または猶予の手続きをとっている場合は過去10年分を追納できますが、未納にしていた場合は過去5年分までしか追納できません

この点からも、きちんと手続きをしておくことは重要だといえます。

国民年金は加入期間10年でもらえる

国民年金というと、長年保険料を支払い続けないと年金がもらえないというイメージがあるかもしれません。

すでに保険料を支払っていない期間がある方のなかには、もう年金をもらうのは諦めているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、これは非常にもったいない誤解です。

以前は国民年金の受給資格を得るための最低加入期間は25年でしたが、2017年に制度が改正され、10年加入していれば年金がもらえるようになっています

年齢の上限もありますが、今からでも10年間、国民年金保険料を納めれば将来年金をもらうことは可能なのです。

救済制度のためにきちんと手続きをしましょう

・ 国民年金を納めないと将来の受給額が減るが、免除手続きをとれば思ったほど減らない・ 未納にしておくと損失が大きくなる

・ 追納することもできるので、10年は頑張ろう

収入が不安定なフリーランスにとっては毎月1万6,410円の国民年金保険料を支払うのが厳しいこともあるかと思いますが、免除や追納などの救済制度があるわけですから、きちんと手続きをとって将来に備えましょう。(執筆者:川端 克成)

《川端 克成》
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川端 克成

約15年間弁護士をしていましたが、人の悩みは法律だけでは解決できないことに悩み続けて、辞めてしまいました。現在はフリーライターとして活躍中です。読んで役に立ち、元気が出るライティングをモットーに、法律問題に限らず幅広いジャンルで執筆しています。これまでの人生では、ずいぶん遠回りをしてきました。高校卒業後は工場などで働いて二部大学に入り、大学卒業後も工場で働いて司法試験の勉強をしました。弁護士を辞めた後も工場で働きながらライティングの修行を重ねました。そんな人生経験にも基づいて、優しい心を執筆を通じてお伝えするのが理想です。 寄稿者にメッセージを送る

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