一般家庭も納める「相続税」 基礎控除額・財産ごとの算出方法、相続税対策も詳しく解説

「相続税なんて、資産家だけの悩みでしょう」

などと思っていませんか。

実は2015年の税制改正で、より多くの人が相続税を納めなければならない可能性が出てきました。

いざという時に慌てないために、今のうちから考えておきましょう。

その昔、相続税はお金持ちだけの悩みでした

一般家庭も納める「相続税 基礎控除額、財産ごとの算出方法

日本に相続税が導入されたのは、明治38年のことです。

日露戦争の戦費調達が目的でした。

その後、大きな改革や小さな改正を重ねてきましたが、その間も「そこそこの資産がある家の家督相続時に発生する問題」だと思われていました。

それは、遺産相続時の「基礎控除額」が高めに設定されていたからです。

基礎控除額とは、相続財産からあらかじめ除かれる金額で、要するに相続税がかからない範囲の目安でもあります。

平成期との「基礎控除額」比較

明治時代と比較しても金銭価値が違いすぎますので、平成期の税制と比較してみましょう。

平成6年度の遺産に係る「基礎控除額」は、

5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人(民法で定められた相続人。一般的には配偶者と子)の数

でした。

平成6年度「基礎控除額」計算例

例えば、亡くなった人に配偶者と成人した子が3名いる場合の「基礎控除額」は以下の通りです。

5,000万円 + 1,000万円 × 4 = 9,000万円

つまり、遺産額が9,000万円よりも多かった場合に、初めて「相続税どうしようかしら」という悩みが発生していたのです。

平成27年改正と「基礎控除額」計算例

ところが、平成27年1月の改正により、

3,000万円 + 600万 × 法定相続人数

と大幅減額されました。

全くうれしくない40%Offです。

前述の例の「基礎控除額」を計算すると、

3,000万円 + 600万円 × 4名 = 5,400万円

です。

5,400万円でも十分に大金です。

まだまだ「我が家は関係ないわ」と思う方も多いでしょう。

しかしながら、相続する財産をざっと計算してみてください。

意外と身近に迫っていることに気づくはずです。

相続財産の計算方法

相続税の算出方法

相続財産の価値は、どうやって決めるのでしょうか。

現金・預貯金

現金や預貯金などは、金額 = 財産価値です。

「現金は自己申告だから、亡くなる前に預金口座からたくさん引き出しておくといい」

とアドバイスする人もいますが、銀行には引き出した記録もしっかりと残りますので減税対策にはなりません

ただし、亡くなった人の口座は、死亡届提出後から相続手続き完了後まで、動かすことができません

そのため、病院の支払などで必要な分はあらかじめ引き出しておき、使用分の領収書と一緒に補完しておきましょう。

外貨、株式などの有価証券

基本的には、相続開始日の取引価格などを基準に計算します。

家庭用財産など

いわゆる家財は、一式まとめて○万円といった計算です。

1点5万円以上の物、自動車や貴金属、美術品・骨董品などは、それぞれ個別計算します。

相続開始時日以降に、買取業者や鑑定業者が査定した金額が相続財産価格です。

市場査定価格とは違う建物や土地の価値

気をつけなくてはならないのは、住居です。

住居

住居の建物部分は、「固定資産税評価額」が相続財産としての価値です。

この価格は、毎年5月頃に届く固定資産税納付書の明細に記載されています。

賃貸物件に暮らしていた場合は、相続財産に含まれません。

賃貸契約を終了させても、契約者を配偶者や子に変更して賃貸契約を継続させても、相続税に影響はありません。

しかしながら、「土地を借りて、家を建てていた」場合は別です。

その借地権が相続財産です。

土地・借地権

土地の価値を計算する方法は、2通りあります。

「路線価方式」

毎年7月頃に発表される路線価(該当地域の1平方メートルあたりの価格)を基に計算する方法です。

実際の申告時には、土地の形状や周辺環境等の補正が入りますが、

路線価 × 土地の広さ

だいたいの評価額を計算しておくことができます。

「倍率方式」

路線価が定められていない土地は、

固定資産税評価額 × 倍率

で計算します。

所有地の場合は、評価額がそのまま相続財産に加算されます。

借地の場合は、その地域ごとに定められた借地権割合を乗じた金額が評価額です。

路線価も倍率も借地権割合も、国税庁の公式サイトに載っていますので、一度目を通しておくことをおすすめします。

路線価図・評価倍率表

≪画像元:国税庁

相続税対策としてできること

相続税は、原則として相続開始日から10か月以内に現金で納めなくてはなりません

例え換金できそうな相続財産があったとしても、相続手続きが終わるまでは手がつけられません

まだ、故人の所有物なのです。

延納や物納といった方法もありますが、厳しい条件や制限が設けられています。

例えば、家は残したままで美術品を物納といった都合のいい納付方法は選択できません

最も効果的な対策は、生命保険を利用すること

生命保険の死亡保険金は、手続き後すぐに「受取人の口座」に振り込まれます。

また、法定相続人1名あたり500万円分が非課税扱いとなり、相続財産の計算から除外されます。

受取人は配偶者でも、子が3名いれば自動的に

500万円 × 4名 = 2,000万円

までの死亡保険金が「すぐに動かせる現金」となるのです。

相続税が2,000万円も必要なケースは、3億円相当の相続財産がある場合なので、そこまでの死亡保険金を用意する必要はありません。

まずは、相続財産の価値を調べておくことをおすすめします。

相続税対策としてできること

相続税は身近な悩み

前述の例は、「亡くなった人に、配偶者と成人した子が3名いる場合」でした。

既に配偶者が亡くなっていて

子が2名だった場合の「基礎控除額」は、3,000万円 + 600万円 × 2名 = 4,200万円

子が1名の場合の「基礎控除額」は、3,000万円 + 600万円 × 1名 = 3,600万円

です。

持ち家があって、土地があって、老後資金としての預貯金があったら、それはもう「相続税は資産家だけの悩み」とは言えない時代なのです。(執筆者:仲村 希)

この記事を書いた人

仲村 希(なかむらのぞみ)»筆者の記事一覧 (12)

国内大手保険会社にて生命保険募集人と損害保険代理店を兼務、外資大手生命保険会社では顧客相談室クレーム対応係に着任。たくさんのお客様のお話をうかがって、保険に対する誤解が根深いことを痛感しました。退職後は「保険ってわからない。めんどうくさい」を少しでも解消できればと、保険記事の執筆を開始。ファイナンシャルプランニング2級技能士。
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