銀行員が見た不動産の瑕疵 第2回:法律的な瑕疵「選挙結果の影響で消えた道路」

手に入れた土地は目の前を立派な道が通るはずだったのに、選挙の影響を受けて大変なことになったという「法律的」な瑕疵の事例です。

アパートからつながる道が…

アパートの目の前に道ができる予定の土地を買った

資産家の人が相続対策として土地を買ってアパートを建てることになりました。

購入予定の土地は道路(建築基準法上の道路)につながっていませんでしたが、半年以内には目の前を市道が通る計画になっていました。

ところが選挙があり、その結果与野党の勢力が逆転して市の予算も大幅に見直しとなり、市道の計画も無期限延長となってしまいました。

道路の計画というものは、白紙撤回になることはあまりないようですが、その反面で延長や凍結はよくあると役所の職員に聞いたことがあります。

結局、その土地には道路がないので建物は建築できなくなってしまいました。

道路計画が延長されたのは土地購入後、融資を受けたあとです。

重要事項説明書にはしっかり記載されていた

「借金して土地を手に入れたが建物を建てることができない」

「道路の計画は立ち消えにはなっていないが、いつになるかわからない」

本来の予定では1年後にアパートが完成して家賃で返済する計画でした。

しかし重要事項説明書に「道路の計画は延長あるいは変更される場合もあります」という説明があり、それを承知のうえで契約していましたので、売主に落ち度はない(瑕疵担保責任がない)ということで、どうすることもできなかったそうです。

銀行は瑕疵を承知のうえで担保にする場合もある

気の毒だけど さぁぁぁ~

道路のことは私も事前に承知していましたので「道路がつながるという前提でこの土地を〇〇万円で評価します」と、私からお客様に説明してありました。

銀行は物件に瑕疵があっても、解消される目処がある場合は担保にすることもあります。

その場合はお客様と定期的に連絡をとり瑕疵の解消(このケースでは道路)まで厳正に管理していきます。

お客様が意図的に約束を守らなかった(古い物置はアパート完成までに壊すと約束したけど、気が変わってそのまま使いたいというのは絶対だめ!など)場合には、最悪の場合全額返済を求めることもあります。

このケースでは当分のあいだ道路がつながらなくなったなくなったので、担保価値はゼロになりました。

滅多にないことなので同情する気持ちもありましたが、銀行員として毅然とした対応をしました。

お客様は土地を誰かに売ることもできず(買う人はいないでしょう)いつか道がつながることを待ちながら、銀行がゼロと評価した土地の融資返済を続けたそうです。(執筆者:加藤 隆二)

この記事を書いた人

加藤 隆二 加藤 隆二(かとうりゅうじ)»筆者の記事一覧 (44)

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。
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