老後資金の資産運用に「iDeCo」より「つみたてNISA」をすすめる明快な理由 FPが分かりやすく解説

今年も早いものであと2か月です。

マネープランの観点では、いわゆる老後資金2,000万円不足問題をきっかけとして「老後の生活資金の準備」が注目された1年でした。

この老後の生活資金の準備のポイントは、次の2つです。

【老後の生活資金の準備のポイント】

1. 毎月コツコツとためていくことが必要

貯蓄ができる家計にしておくことが必須

2. コツコツためた資金をどのように増やしていくか

定期預金では、減ることはありませんがその利息だけでは増えません

特に、2つ目の「コツコツためた資金をどのように増やしていくか?」については、長期的に考えると資産運用で増やしていくことが考えられます。

基本的におすすめは「つみたてNISA」 iDeCoを利用した方がいいのはこんな人

そして、長期的に運用していく制度として「iDeCo(個人型・確定拠出年金)」と「つみたてNISA」の2つが候補に挙げられます。

どちらも投資信託で運用して、その運用収益に対して非課税となる制度です。

それ以外の制度面で見た場合には、どちらが有利でどちらを選択すべきなのでしょうか。

「iDeCo」ではなく、「つみたてNISA」を利用すべき

「iDeCo」に注目が集まりがちですが、「iDeCo」の利用を検討または加入しても問題ない方は以下に限られます

【「iDeCo」の利用を検討または加入しても問題ない方】

・ 60歳までのライフプラン(住宅、教育、その他大きな支出)に関する資金の計画と準備がしっかりとできている。

・ いつでも解約や引き出しができるとなると、ついつい誘惑に負けて使ってしまう

・ 自営業の方でご自身の退職金をご自身で準備しなければならない

言い換えると、上記の3つすべてに該当しないのであれば、「つみたてNISA」の方を検討しましょう

積立金を「引き出せない」VS「いつでも売却して引き出せる」

「iDeCo」は原則60歳まで積立金を引き出せないのですが、「つみたてNISA」はいつでも積立金を売却して引き出すことができます。

老後の生活資金を目的とするならば、原則60歳まで引き出せないのは理にかなっていると言えるでしょう。

一方で、もし60歳までに急な出費が必要になった場合でも、「iDeCo」の積立金を使うことはできません

「iDeCo」以外の貯蓄などでも対応できない際に、最悪の場合、運用収益の非課税分が吹っ飛ぶほどのキャッシングの利息を支払ってお金を調達しなければならない事態に直面する可能性もあります。

一方、

「つみたてNISA」は、その時点の価額でいつでも売却して現金を引き出すことが可能

※売却時点の価額によっては元本割れの可能性あり

です。

前述の通り、「iDeCo」の出口は1つだけです。

「つみたてNISA」の運用期間は最長20年ですが、それまでの出口はいくつもある訳です。

いくら老後の生活資金の準備が目的であっても、今後、別の方法でも準備を行えるようにするなど選択肢は多い方がその分だけ自由度が高まります。

ちなみに、

どちらにしろ、老後資金を準備しなければならないので、原則60歳まで引き出せなくても問題ない

という意見も聞きますが、みなさんはその意見に対してどのように思われますか。

違和感を持たれた方は、「iDeCo」の加入は避けた方がよいでしょう。

なお、「iDeCo」では掛金は所得控除の対象ですが、課税の繰り延べ(課税の先送り)と考えることもできますので、比較検討の材料に入れていません。

口座管理手数料が「発生する」VS「発生しない」

手数料がかかってしまう

「iDeCo」は口座管理手数料が発生し、「つみたてNISA」では口座管理手数料は発生しません。

「iDeCo」も「つみたてNISA」も両方ともに投資信託で運用していきますので、投資信託にかかるコスト(信託報酬など)は発生します。

しかし、それ以外の部分で両者には大きな違いがあります。

「iDeCo」では、加入手続き時に2,829円(税込)の手数料が発生します。

これは、加入時のみなので、それほど問題はないと言えるでしょう。

注目したいのは、毎年2,052円~7,500円(税込)程度の口座管理手数料が発生することです。

口座管理手数料の金額は金融機関によって異なります。

なお、「つみたてNISA」では、加入手続き手数料や口座管理手数料は発生しません

資産運用するのであれば、運用収益に対する税金だけではなく、口座管理手数料の有無にも注目すべきでしょう。

【参考】「iDeCo」の積立金に課税される特別法人税は凍結中

特別法人税とは、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)や企業年金の積立金(拠出金・運用益)に対して、年1.173%(国税1%、地方税0.173%)を徴収される税金です。

しかし、2020年3月末まで凍結中ですので、現在は特別法人税は課税されていません

この特別法人税の凍結は1999年からであり、その期間は実に20年にも及びます。

今後も課税凍結が継続されるという予想が多いようですが、万が一、この凍結が解除されてしまった場合には、単純計算ですが年1.173%以上の運用利回りを出さなければ自動的に積立金が目減りすることになるのです。

なお、「つみたてNISA」の積立金は、特別法人税の課税対象にはなっていません

現在凍結中ですので、あくまで参考としての扱いですが、政府がこの特別法人税を課税するつもりが今後一切ないのであれば、特別法人税の制度を廃止しているでしょう。

「凍結」という言葉は不気味です。(執筆者:岡田 佳久)

この記事を書いた人

岡田 佳久 岡田 佳久(おかだ よしひさ)»筆者の記事一覧 (49)

株式会社オーブレイン 代表取締役
(講演実績)一般向けセミナー、民間企業、高等学校、大学、資格専門学校、社団法人、NPO法人、商工会議所、男女共同参画センターなど(累計約1,000回以上)。(執筆実績)産経新聞、神戸新聞、Yahoo!JAPAN、ダイヤモンド社、わかさ出版など多数
≪保有資格≫CFP、FP技能士1級、キャリアカウンセラー(CDA)、 1級DCプランナー(金融財政事情研究会) 、第二種証券外務員(未登録)、住宅ローンアドバイザー(金融検定協会)
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