和定食でおなじみの大戸屋が、はじめて赤字決算の見通しを発表しました。
異常気象や消費税など、外食産業には向かい風が吹いています。
大戸屋の業績から、今後の見通しを確認ました。
目次
和食の憩いの場 大戸屋

定食店「大戸屋ごはん処」を経営する株式会社大戸屋ホールディングスは、1958年1月に創業しました。
2019年3月31日現在で、東京都武蔵野市に本部を置き、社員数660名、店舗数463店舗のジャスダック上場会社です。
海外にも110店舗出店しており、日本食を世界に広めています。
大戸屋は1958年に東京タワーが完成した年に池袋の大衆食堂として始まりました。
4人に1人が栄養不足の時代に、日本の家庭の味をお値打ち価格で提供し、連日大賑わいだったようです。
現在でも、さまざまな外食店がしのぎを削るなか、魚料理をはじめとした和食をお値打ち価格で提供してくれています。
大戸屋は好財務だが利益率が低下中
大戸屋を上場企業としてみてみましょう。
2019年3月期で自己資本比率が約45%、有利子負債倍率が0.32となっており、財務は良好です。
売上高633億円で、売上高営業利益率が2%を切っている点は、やや厳しいと言えます。
特に2017年3月から営業利益率の低下が顕著になっています。
利益率の低い外食産業業界において、お値打ち価格で和食を提供する苦労が伺えます。
それでも、年間の利益はしっかり出し続けており、株式公開以来黒字を続けていました。
しかし、今期は黒字継続が難しくなっているようです。
中間決算を前に半期の赤字見通しを発表
貴重な和食を提供してくれる大戸屋ですが、今期の決算は厳しくなりそうです。
平成13年の店頭市場登録以来、初の赤字見通しとなっています。
会社が発表した主な理由は、消費増税を見越した栄養バランス重視のメニュー改定で値上げした影響により利用客が減ったとのことです。
つまり、単価を上げたところ客が減ってしまったということのようです。
大戸屋は、もともとヘルシーなイメージのある和食を提供しています。
そのイメージに対し、栄養バランス重視の値上げは、受け入れられなかったようです。
これに加え、秋の味覚であるサンマの炭火焼き定食を販売できなかったことも影響しました。
サンマの不漁が原因とは言え、タイミングが悪かったと言えます。
メニュー改定の影響のほかにも、9月の台風15号や香港のデモが長期化したことによる売り上げ減少も業績悪化の要因となりました。

株価下落は優待割安入手のチャンス
和食レストランの大戸屋について、直近の決算見通しから現在抱えている問題を概観しました。
業績の悪化は、値上げと天候不順、海外の政情不安などがまとめて影響したことが要因と言えます。
どれも一過性の問題と言えるため、2020年には業績の回復が見込めそうです。
株主優待も提供しているので、株価を支える要因になります。
参考元:株式会社大戸屋ホールディングス
一度悪材料が出尽くせば、売上と共に株価も底堅さを取り戻せそうです。
当面の株価下落は、株主優待を割安で入手できるチャンスといえそうです。(執筆者:卜部 友二)