雇用保険の中に、「傷病手当」という給付があります。

健康保険の中にも「傷病手当金」という給付があり、名前はよく似ているのですが実はまったく違うものです。

今回は、雇用保険の「傷病手当」について解説していきます。

雇用保険の「傷病手当」の受給要件・期間・金額

雇用保険の「傷病手当」とは

雇用保険の「傷病手当」とは、失業中に病気やケガにより求職できない場合に失業保険の「基本手当」の変わりに支給されます。

ポイントは失業中であることで、会社に在職している場合には支給されません

雇用保険の「傷病手当」の受給要件

「傷病手当」の受給要件は、まずは失業保険の「基本手当」の受給要件を満たしていることです。

「基本手当」の受給要件

「基本手当」の受給要件は以下の通りです。

(1) 就職する意思と能力があること

(2) 失業状態であり求職活動をおこなっていること

(3) 離職した日より過去2年間で雇用保険の被保険者期間が12か月以上あること

失業保険の「基本手当」を受給するには求職活動を行いながら失業の認定を受ける必要がありますが、病気やケガにより求職活動ができない場合には受給できなくなってしまいます

その時に代わりに受給するのが「傷病手当」です。

「傷病手当」の受給要件

「傷病手当」の受給要件は以下の通りです。

ハローワークで求職の申し込みをした後に15日以上引き続いて病気やケガのために求職活動ができない状態にあること

「傷病手当」の受給期間

雇用保険の「傷病手当」を受給できる期間は、失業保険の「基本手当」の所定給付日数からすでに「基本手当」を受給した日数を引いた残りの日数です。

「傷病手当」の受給金額

「傷病手当」の受給金額は、「基本手当」と同額で退職前6か月の賃金日額と退職前の年齢で計算されます

退職前6か月の賃金日額は次の数式で計算されます。

退職前6か月間の給料の総額 ÷ 180日 = 退職前6か月の賃金日額

年齢ごとの受給金額

退職時の年齢ごとの受給金額は以下を参考に求められます。

基本手当日額の計算式

≪画像元:厚生労働省「基本手当日額の計算式及び金額(pdf)」≫

受給上限額

「傷病手当」の受給金額は、退職時の年齢によって賃金日額の45~80%が支給されますが、年齢による上限額が決まっています

失業保険の受給金額(「基本手当」日額)の上限額(令和元年8月1日現在)は次の通りです。

「基本手当」日額の上限額

健康保険の「傷病手当金」との違い

このように雇用保険の「傷病手当」は、病気やケガで求職や就職ができない場合失業保険の「基本手当」の代わりに支給されます。

一方、健康保険の「傷病手当金」は、在職中に病気やケガのため働くことができない場合に支給され、健康保険制度に基づく支給のためまったく別です。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)