今回は、「PER(株価収益率)」の正しい活用法について、その平均値に着目して解説していきたいと思います。

目次
「PER」とは
「PER(Price Earnings Ratio)」とは、株価収益率のことを意味し、現在の株価を「EPS(1株当たり利益)」で割ることで求められます。
リーマンショック以降の日経平均の平均「PER」は15倍であり、これを大きく下回ると割安、上回ると割高と判断されます。
メジャーな指標であることから、ほとんどの投資家が当たり前のように使っているのがこの手法です。
しかし、個別銘柄にこれを素直に当てはめると誤った投資判断につながってしまう可能性があるため、その活用法には正しい知識が要求されます。
一般的なものほど注意が必要なのです。
個別銘柄で「PER」を正しく活用するための注意点
前述では市場全体の割高・割安について触れましたが、個別銘柄で「PER」を正しく活用するためには2つの注意点があります。
注意点1:同業他社と比較する
一般的に言われているのが、
手法です。
そもそもの利益率が大きく異なるがために収益力にも大きな差が生まれる異業種間で、安易に適当な銘柄で比較することは好ましくありません。
また、同業他社と比較する際には、対象銘柄の合計「PER」を対象企業数で割り平均値を求める必要があります。
この平均値と比較して対象銘柄の割高・割安を判断するように心掛けましょう。

注意点2:個別銘柄ごとの平均「PER」を算出する
銘柄によっては、常に「PER」が高い水準で推移しており、割高か割安か判断しにくい場合があります。
そのような場合には、個別銘柄ごとの時間軸を意識した平均「PER」を算出する必要があります。
これは、対象とする期間の合計「PER」を対象日数で割ることで求めることができます。
この手法は、ヒストリカルデータより「PER」の過去データを抽出する必要があり、手間暇がかかるため一般的な手法ではありません。
しかし、このひと手間を加えることで投資確度をさらに高められるのです。
また、この手法は「PER」水準銘柄以外にも有効となるため、積極的に採用するようにしましょう。
投資の確度を上げるには手間暇を惜しまない
個別銘柄で「PER」を正確に用いるためには、「異業種間」、「銘柄ごと」の平均「PER」の2つを参考にする必要があります。
投資をする際には、この「平均値を用いる」という考え方が非常に重要となるため、手間暇を惜しまず、少しでも勝率を高められるよう自己研鑽に励む心掛けが大切です。(執筆者:白鳥 翔一)