昨年の8月に5年に1度の公的年金の財政検証が公表されました。

経済成長と労働参加が進み、賃金上昇率が1.6%、運用利回りが3.0%などといった、どこの国の予測なのかと疑うような内容であっても、将来的に公的年金の受給を抑制しなければならないと公表しています。

また、経済成長と労働参加が進まず、賃金上昇率が0.5%、運用利回りが0.8%などの条件になった場合には、2052年には国民年金の積立金が枯渇してしまうといった予測を出しましたが、昨年のいわゆる「老後2,000万円問題」と比べるとあまり注目されませんでした。

国が今後の公的年金の受給を減額していくことが確実な状況ではありますが、今後のセカンドライフにおいては、年金受給額だけに注目するのではなく、それ以外の健康保険、税金の部分などにも注目しておく必要があります。

もし、公的年金の受給額が大きく減少しなかった場合でも、それ以外の負担増でセカンドライフの生活が厳しくなる可能性が十分にあるからです。

まだまだ先のことだと思ってしまいますが、既にその予兆は始まっていると言えるかもしれません。

後期高齢者医療制度(75歳以上)の窓口負担は1割~3割

75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度は、現役並みの所得がある人は自己負担割合が3割ですが、それ以外の方は1割負担でした。

この「現役並み所得」とは、同一世帯に属する被保険者の「住民税課税所得額(各種所得控除後の所得額)」が145万円以上となっており、現状はほとんどの方が1割負担です。

ところが、昨年末に公表された全世代型社会保障検討会議の中間報告では「75歳で一定以上の所得」がある方は自己負担割合が2割に引き上げられる方針が盛り込まれています。

この一定以上の所得は今後、詰めていくようです。

誰も聞いて驚かないどころか予想されていたとはいえ、当初は2割負担を原則とする案もあったことから、将来的には75歳以上の方も自己負担割合が2割になっていく可能性が高いでしょう。

1割負担から2割負担と聞いても、数字が小さいだけに大きな支出にならないのではないかと思われるかもしれませんが、2倍になることを意味します。

生活費の中で医療費の負担割合が今以上に大きくなることを織り込み済みにしておく必要があります。

公的年金等控除(所得税・住民税)の上限額設定

年金は 「公的年金等控除額」の上限設定を注視

公的年金の所得税額などを計算する際に、年金受給額から公的年金等控除を差し引くことができます。

いわゆる、税金を計算するうえでの必要経費の考え方です。

この公的年金等控除額は今までは上限額の設定はありませんでしたが、2020年分以降の所得税における公的年金等控除額については

公的年金等の収入金額が1,000万円を超えると195.5万円の上限が設定

されます。

公的年金や企業年金の受取額が年間1,000万円を超える方は極々稀でしょう。

しかし、一足早く上限額を設定した所得税の給与所得の給与所得控除額では、この上限額の給与水準が当初は2013年時点で年収1,500万円超を上限の基準としていたのが、

2020年からは年収850万円超を給与所得控除額の上限の基準とする

ことになっています(一部例外あり)。

かなり速いスピードで上限額の基準が引き下げられているのです。

従って、この公的年金等控除額の上限の設定基準が今後、徐々に引き下げられていく可能性は十分に考えられます。

つまり、

年金支給額には変化がなかったとしても、年金に対して課税される所得税・住民税が上昇していく

可能性もあるのです。

支給金額と負担増の両方の情報を押さえておく

このように、良い・悪いに関係なく、将来の生活において、年金額がいくら支給されるのかも大事ですが、課税される税金や健康保険の負担増、健康保険制度の保険料の改定が行われた際の増加額なども含めて、情報を入手しておく必要があります。

公的年金の支給額が大きく変わらない場合でも、今と比べて生活費に回せるお金が少なくなるのであれば、それに対する対策が必要だからです。(執筆者:CFP、FP技能士1級 岡田 佳久)