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新型コロナウィルスが世界経済に及ぼす影響は 過去の感染症の例にとって解説

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新型コロナウィルスが世界経済に及ぼす影響は 過去の感染症の例にとって解説

収束時期が読めない新型肺炎

昨年中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウィルスによる肺炎(新型肺炎)は、世界各国に広がりパンデミック(広範囲におよぶ流行病)といえる状況になっています。

日本時間の2月7日午前1時に中国政府が公表した結果によると、中国本土での死者は636人になり、感染者数も前日から3,143人増加し3万1,161人となっています。

2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の全世界感染者数が8,096人であったのと比較しても、今回の感染拡大がいかに広範囲に広がっているかが分かるところです。

この新型コロナウィルスの厄介なところは、本人に咳や発熱等の自覚症状がなくても第三者に感染する点であり、今後も感染者数は増加するものと思われます

一部では、感染者数が30万人を超えるとの予測まで出ている状況です。

中国の感染者の増加数は、ここ2日減少に転じていますが、世界保健機関(WHO)は「まだ深刻な感染拡大のさなかにある」と言っており、細心の注意を払う必要があるでしょう。

「新型肺炎」が 世界経済に及ぼす影響

経験則では景気変調にはつながらない感染病

新型肺炎の拡大に伴い、1月末から2月初めにかけて世界の株式市場は大きく調整しました

これは、株式市場の下落に備えた投資家が株式から安全資産に資金を移したことに基づくもので、企業の業績が急に悪化したためではありません。

過去の経験則からいえば、感染病や軍事紛争、災害が起こった際には、株式市場はリスク回避の動きから一時的に調整しますが、景気に変調が生じる前(企業業績が悪化する前)に収まり、すぐに回復するということを繰り返してきています。

SARSや豚インフルエンザ、MERSが発生した際にも、半年程度で株式市場は回復しています

そのため、新型肺炎による市場調整局面は、買いのチャンスとみなし、株式等のリスク資産に資金を投じている投資家も少なからずいることでしょう。

今回の新型肺炎とSARSがはびこった2003年との決定的な違い

足元の株式市場は、日米ともに大きく株価を戻している状況です。

中には、上記のように買いのチャンスとみなして資金を投じている投資家も存在するでしょうが、基本的には短期筋(ヘッジファンド等の短期志向の機関投資家)の買いであると思われます。

2003年のSARSの際には、半年程度で株価は回復しており、今回の新型肺炎でも同じような見方をしている向きもあります。

しかし、2003年は中東での地政学リスクが顕在化している時期でもあり、これから株式市場が上昇に転じていくという時期でした。

また、当時の中国の実質GDPの世界シェアは4.3%に過ぎなかったのに対し、現在は16.3%と中国の世界経済に与える影響度合いは全く異なっています

加えて、現在は2003年と異なり、サプライチェーン網が世界中に張り巡らされており、その中心に中国がいると言っても過言ではない状況です。

従って、

感染病は一過性のものであり、景気の変調まではもたらさないといった過去の経験則は、今回の新型肺炎には通用しない可能性

もあります。

株式投資を行う際には、最新の情報を入手したうえで、景気に与える影響をしっかりと分析して行っていただきたいと思います。(執筆者:土井 良宣)

《土井 良宣》
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土井 良宣

土井 良宣

元日本銀行員で、現在独立系のファイナンシャルプランナーとして活躍しています。一般的なファイナンシャルプランナーと異なり、マクロ経済分析をベースとした運用アドバイスを独立した立場から行っています。また、相続や保険・家計の見直しのご相談も承っております。 寄稿者にメッセージを送る

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