昨年(2019年)12月5日に開催された第81回先進医療会議で、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」がすべての評価者から先進医療から取り消すことが適当とされました。

今後これを受けて厚生労働省告示が改正され、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は2020年3月末で先進医療の対象から外される見込みとなりました。

最終的な決定は、2020年3月の厚生労働省告示をもってなされる予定です。

先進医療から外れる 「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」

先進医療とは

先進医療とは、高度な医療技術を用いた治療のうち、厚生労働大臣から承認を受けたもののことで、保険診療との「併用」が認められています(先進医療の技術料は全額自己負担)。

この先進医療の治療は厚生労働大臣が定める医療施設で行われる場合に限ります。

有名な先進医療には、がん治療でよく知られる「重粒子線治療」や「陽子線治療」などがあります。

「健康保険がきかない治療=先進医療」ということではありませんのでお間違えのないようにしてください。

健康保険が適用されない治療には、先進医療の他に「自由診療」というものがあります。

先進医療は、

「これから保険診療の1つとして認めるかどうかの候補生のような新しい治療」

とも言えます。

先進医療はずっとそのままというわけにはいかず、

・ 安全性や有効性が認められて保険適用される

あるいは

・ 先進医療から外れる

といういずれかの道をたどります。

「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が先進医療から外れる

上記でご説明しました先進医療から「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が外れる見込みとなりました。

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術とは

多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術とは加齢とともに罹患率が増える白内障に対して行う治療で同時に老眼に対しても効果がある治療です。

2008年7月1日から先進医療の対象になりました。

費用は平均約66万円で、実施している医療施設は675施設にのぼります。

いずれ見直しされる先進医療なのにどうしてこれを話題にするのかといいますと、それは先進医療実績内に占める「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の割合が非常に高いからです。

例えば、2018年7月から2019年6月までの先進医療の実績資料によれば、先進医療の全実施件数3万8,271件のうち、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は3万3,868件と、じつに88%強も占めているのです。

「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」以外は1,000件程度にとどまっていますから、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が外れる影響の大きさが伺えます。

「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は今後どうなる

選定療養も保険外併用療養に分類される

「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」は今後、患者さんが自由に選べる「選定療養」となります。

疾病に対する治療としては認められないが、患者さんのQOL(生活の質)を向上させる選択肢のひとつ」という扱いです。

選定療養も保険外併用療養に分類されるもので、「保険診療分+差額代」が必要となります。

差額代は個室入院のベッド代に相当するもので、各医療機関で設定される費用です。

先進医療特約にご加入で治療をお考えの方

「多焦点眼内レンズによる白内障手術」を検討されている方は、2020年3月までに手術を受けられると費用面でかなりメリットがあります

加入されている民間保険会社から後で給付を受けることで、実質無料で手術を受けることができる

のです。

ただし、一部の保険会社では少し前からこの治療を給付対象から外したり、給付が全額ではなく一部の場合もあります

必ずご加入中の保険の保障内容をご確認するようにしてください。

反対に、先進医療特約に加入されていない方は、2020年4月以降の「多焦点眼内レンズを用いた白内障手術」を検討されたほうがよいかもしれません。

これまでは先進医療特約の対象だったことから価格が比較的高く設定されていたはずです。

しかし、先進医療から外れると価格競争が起こり価格が下がる可能性が高いからです。

今回の先進医療見直しについては、その影響の大きさを鑑みて、各保険会社も既に大々的に周知徹底に動いています。

加入中の保険会社のホームページもチェックしてみてください。(執筆者:小木曽 浩司)