「結婚して、専業主婦になるのが夢!」などというのは一昔前の話です。

今は夫婦共働きで、しかも奥さんの方がバリバリのキャリアウーマンといったケースも珍しくはありません。

この場合、妻の婚前のキャリアを生かすために入籍はせずに事実婚という形をとることがあります。

確かに、名字が変わると社内でも取引先でも、その都度、結婚の報告をしなければならなかったり、いろいろな登録事項の変更が必要だったりと、予想以上に手間がかかります。

「生涯シングルがいい」という人も多いなか法律上の婚姻を選択せず、パートナーとの関係性を重視したライフスタイルというのも珍しくないご時世です。

事実、厚生労働省が毎年公表している下記データ(人口動動態月報年計)からも、婚姻(法定婚)の件数・率ともに低下していることが伺えます(図1)。


反対に、離婚件数・率は15年前をピークに減少していますが、それでも、婚姻後25%近くは離婚をする計算です(図2)。


いろいろな原因はあると思いますが、多大な労力や時間、お金を費やして夫婦になることを選択した後に別々の道を歩むことになるくらいならば、最初から法定婚ではなく事実婚でよいのではないかと考えるのも理解できます。

この場合、法律上の婚姻ではないにせよ「結婚」をしたことは事実です。

その後、妻が仕事を辞めた、または収入が減って「扶養に入れる」状態になった場合、入籍していなければ社会保険上の「被扶養者」にはなれないのでしょうか。

事実婚でも社会保険の扶養に入れる

内縁関係の妻でも社会保険の「被扶養者」になれる

被扶養者の範囲図

日本年金機構保険組合は、被扶養者の範囲について以下のように記しています。

【被扶養者の範囲】

1. 被保険者と同居している必要がない者

・ 配偶者

・ 子、孫および兄弟姉妹

・ 父母、祖父母などの直系尊属

2. 被保険者と同居していることが必要な者

・ 上記1.以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)

・ 内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

ポイントは「配偶者」です。

この配偶者は、法律上の婚姻関係にある者だけではなく、内縁関係にある相手方についても認めています

つまり、事実婚の場合でも、

収入要件(主な要件:年間収入130万円未満、かつ、収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、等)を満たせば、扶養家族として

・ 国民年金第3号被保険者

・ 全国健康保険協会管掌健康保険

の保険証を取得することが可能

なのです。

具体的に「絶対に必要な書類」とは

通常の配偶者であれば、配偶者であることを戸籍で確認がきますが、事実婚の場合には戸籍上の記載はありません。

では、どうやって「事実婚」であることを証明するのでしょうか。

実は、「住民票」で証明するのです。

住民票上の「続柄」記載欄に、「妻または夫(未届)」という記載がなされていれば、問題ありません(図3)。
     

住民票上の「続柄」記載欄

私の社会保険労務士としての経験上、この住民票を添付することで事実婚の配偶者が被扶養者として認められなかったことはありません

しかし、住民票が別で、続柄の記載が「妻または夫(未届)」でない場合、よほどの理由がない限りは被扶養者としての認定は困難です。

別居のカップルの事実婚を証明しようと、事実婚状態を証明する資料や第3者による証明書など住民票以外のものをいくつも用意して手続きをしたことがありますが、その時には認定に至りませんでした。

行政側としても簡単に被扶養者認定をしてしまうわけにはいかないので当然といえば当然ですが、事実婚の状態で社会保険の被扶養者となる場合にはこの辺りに注意してください。

国は「実態」を重視する

今回は、被保険者・被扶養者における事実婚のケースを紹介しましたが、年金を受給する際にもこの関係性は重視されます。

ひと口に事実婚と言っても未婚者同士の事実婚だけではなく、重婚的内縁関係にある場合の事実婚も考えられます。

反倫理的な内縁関係である場合には当然のことながら認定されません

あくまで、「社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること」が要件です。

これらはナーバスな問題であり、個々のケースによって必要書類等が異なります。

該当される方は、お近くの年金事務所でご相談ください。(執筆者:特定社会保険労務士、AFP 浦辺 里香)