保険は「ナマモノ」

width=

・ 医療技術の発展や、景気などの「社会的要素」

・ 契約者様の年齢や生活環境の変化、または家族構成の変化などの「個人的要素」

このような2つの要素によって「その時々で必要な保障」が変わってくるので保険は「ナマモノ」と言われます。

そのため、保険を契約した後でも定期的な「見直し」が必要となります。

しかしながら、営業職員の言うなりに見直しをしてしまうと、「思っていたものと違う結果」や「損をしてしまう」可能性もあります。

見直し契約は成立後「元に戻す」ことができません

「見直しをする必要性」や「見直すポイント」は、他の記事でも述べられているので、今回は「見直しをする際に注意・警戒すべき点」に絞ってお話したいと思います。

見直し設計が、元契約よりも必ず高くなる理由

大前提として「見直し後の保険料は、見直し前よりも必ず高くなる」ということを覚えておいてください。

理由1:年齢があがっている

年齢があがることで、特定の病気リスクや死亡リスクも上昇していく傾向にあります。

理由2:保険商品が良くなっている

保険商品の改良は、主に「支払い項目の拡大」や「支払い条件の緩和」など「加入者が受け取るタイミングを増やす」方向で進められています。

保険とは、「受け取る可能性が高い保障ほど、保険料も高い」ものです。

「どのくらい高くなるか」ということについては、ある程度の調整をすることが可能です。

見直しにおける新旧契約の保険料差額を調整

生活環境の変化などで「高額保障が不要になった」タイミングでの見直し、あるいは「元々不要なものが多かったので整理した」見直しなどを行ったとします。

これらは、「高額保障の部分解約・減額」が含まれているため、新旧契約の差額を小さくすることや、元契約よりも安く契約することが可能です。

「見直しで増える分、どこかを減らす」ことで、差額の調整ができます。

良くなった部分が大きいならば、その分、何かを減らしたり捨てたりしなくてはなりません

もしも、「すごく良くなったのに、差額を安くできた」と保険の営業マンから連絡があったとしたら、警戒してください。

良くなっているだけなら、決して「安く」はできません。その分、何かがなくなっています。

警戒! 貯蓄を消滅させる保険見直しプラン

貯蓄が消滅するパターン

「保障+貯蓄(10年後に〇万円ボーナス・年金など)」の保険を見直す場合は、必ず

「見直し後の保障内容」のボーナス・年金部分の有無、及び金額

を確認してください。

多くの場合、「保障部分」は掛け捨てです。

加入時から見直しまでの期間で、「貯まっているもの」はありません。

「貯蓄部分」は毎月の保険料をコツコツと積み立てています。

新規契約から3年経っているため、「約9万円の貯蓄」ができています。

見直しプランを見てみましょう。

【例】
50歳時:新規契約
保険料:9,500円
保障部分:7,000円+貯蓄部分2,500円(10年後にボーナス)
53歳時:見直し検討

保険見直しプランA:「そこそこ良くなるプラン」保障部分差額1,000円

このままなら、保険料は「保障8,000円 + 貯蓄2,500円 = 1万500円」のはずです。

ここに「貯まっていた9万円」を使ってみましょう。

保険商品にもよりますが、保険契約期間は10年間を一区切りとしているものが多いです。

貯まった9万円を、10年間(120か月)で割ると750円になります。

「保障8,000円 + 貯蓄2,500円 – 750円 = 9,750円 差額250円」

つまり、「10年間の保険料を、9万円分だけ前払い」したかたちになります。

警戒ポイント

月々の差額が250円で、保障が良くなったように見えます。

本来は差額1,000円分の保障です。

250円で見直せるなら魅力的な内容かもしれませんが、60歳時に受け取るはずだったボーナス額が、約9万円減っているはずです。

保険見直しプランB:「とても良くなるプラン」保障部分差額3,500円

このままなら、保険料は「保障1万500円+貯蓄2,500円=1万3,000円」のはずです。

プランAと同様に、「9万円分前払い」をしてみましょう。

「保障1万500円 + 貯蓄2,500円 -7 50円 = 1万2,250円 差額2,750円」

さらに、見直し後契約から貯蓄部分を消滅させると、

「保障1万500円+貯蓄0円-750円=9,750円 差額250円」

警戒ポイント

プランAと同じように保障がよくなり250円の差額が出たら、よくなったように見えます。

しかし今まで貯めていた分も、60歳時に受け取れるはずだったボーナスも、なにもかも0になっています。

保険見直しプランC:「良くなったのに、保険料が変わらないプラン」保障部分差額1,000円

これは、保障プランとしてはAと同じです。

保障部分差額が1,000円発生しているのだから、当然「保障 + 貯蓄 = 1万500円」のはずです。

先ほどは、「9万円分の貯蓄」を均等に前払いしましたが、「差額分に重点的に充当」することも可能です。

つまり、「貯蓄9万円 ÷ 差額1,000円 = 90か月(7年半)」を前払いします

見直し後の保険料は、

53歳時から7年半 「保障8,000円 + 貯蓄2,500円 – 前払い1,000円 = 9,500円 差額0円」

警戒ポイント

保険料は変わらず、保障がよくなったけど、7年後に保険料が上がります。

7年後は60歳で、最初の契約から10年経っていて、貯蓄部分が約21万円分も貯まっていることを意味します。

そこでまた貯蓄を利用すれば、実質「保険期間満了まで差額0円」になり、貯蓄部分を減らしたりなくしたりすることで、もっと安くすることも可能です。

または、貯まった部分を使って「もう1度見直し」もできます。

保険料が変わらずに、良い保険を持ち続けられても、いつまで経っても本来受け取れるはずだった貯蓄は貯まりません

利用するために「保障+貯蓄」に加入

このように貯蓄を利用する方法は、違法なわけではありません。

契約者・被保険者の「正しい理解と同意」を得ているのなら、1つの手段として認められています。

実際に、この仕組みを利用して保険料をコントロールして、

「見直し時に使うお金を、保険の中で貯蓄している」

「差額が大きいと困るから、その分を先に払っている」

と、割り切っている人もいます。

そのため、見直し設計を行う際は「貯蓄を使わないプラン」と「貯蓄を使うプラン」の両方とも作っておきます

2つのパターンを比較

「貯蓄部分を楽しみにしている人」は、まさか貯蓄が消滅する可能性があるなんてことは想定していないため、「安い方のプラン」を選んでしまうかもしれません。

保険見直し契約は、成立後「元に戻す」ことができません

見直し設計プランは、必ず紙で受け取って「見直し後の保障内容」を確認してください。

「そんなつもりじゃなかった」ことを防ぐために、貯蓄を使う場合があるということを覚えておいてください。(執筆者:仲村 希)