3月は旅立ちの時期です。

学校を卒業して社会人になる人もいれば、新たな職場や環境を求めて転職する人もいるでしょう。

今回は、社会人が退職をする際に気を付けたい「退職理由」についてご説明します。

会社の辞める時の 「退職理由」に注意

一般的な退職理由は「自己都合」

「退職理由」と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは「自己都合」だと思います。

これは、自らの都合(転職、結婚等)で退職をする場合を指します

自己都合退職は、民法上の「労働契約の解除」に当たるため、文書、口頭いずれも有効です。

しかし「退職証明書」や「離職票」の発行が必要な場合は、「退職届」の形で、退職理由と退職年月日を記載した書面を届け出ることが一般的です。

平成27年転職者実態調査の概況p20

≪画像元:厚生労働省(pdf)≫

厚生労働省が調査した転職者の実態調査の結果ですが、ここでも、自己都合での退職が75.5%と、圧倒的に多いことが分かります。

しかし、もしかすると、この「自己都合」と回答している人の中で、本当は「会社都合」だった人がいるかもしれません

話し合いの結果「自己都合」退職になった

私の顧問先に転職してきたAさんは、前職の会社から「辞めてくれないか」と、好条件で退職の話しをされたため、それに応じたそうです。

転職先で雇用保険加入手続きをするのに、前職で発行された「離職票」を確認させてもらったところ、「自己都合退職」にチェックが付いていました

前職の退職から約3か月後、ハローワークでの求職活動をへて入社しましたが、その間、失業給付(基本手当)の支給はありませんでした

「退職勧奨」という辞めさせ方

退職勧奨」は、会社から「辞めてほしい」、「辞めてくれないか」などと退職を勧められることです。

「解雇予告」とはまったく違います。

解雇予告は、会社が一方的に、労働者の意志とは関係なく、労働契約の解除を通告することです。

退職勧奨の場合、会社から労働契約の解除の申し入れをされた結果、退職をするかどうかは、労働者の自由な意思によって決定できます。

そして、退職勧奨に応じて退職した場合には、自己都合ではなく「会社都合」による退職です。

参考元:厚生労働省

「失業給付(基本手当)」受給のタイミング

自己都合退職と会社都合退職は、ハローワークで申請する「失業給付(基本手当)」に大きく影響してきます

自己都合の場合… 給付制限期間といって「3か月経過してから」の受給開始

会社都合の場合… 給付制限期間がなく3か月待たずに受給開始

参考元:厚生労働省

失業給付がもらえる期間(日数)も違う

退職理由による、基本手当がもらえる期間の一覧です。

会社都合退職の場合、雇用保険の被保険者期間が1年以上あると、年齢によっては180日も基本手当が受給できます。

【自己都合退職の基本手当がもらえる期間】

自己都合退職の基本手当

【会社都合退職の基本手当がもらえる期間】

会社都合退職の基本手当

退職理由に納得いかないときは、ハローワークで異議申し立てを

先ほどのAさんは、前職で発行された離職票に「自己都合退職」とされたため、退職後すぐに「失業給付(基本手当)」を受給できず、3か月後には就職したため、結果として「失業給付(基本手当)」は全く受給しませんでした。

しかしAさんは「退職勧奨」で辞めたので会社都合退職扱いです。

離職票を受け取った後に気づいた場合は、「ハローワークで相談(異議申し立て)」ができます。

ハローワークで相談(異議申し立て)

求職活動中の失業期間に「失業給付(基本手当)」を受給するためには、まず、管轄のハローワークへ離職票を提出します。

この時、ハローワークの職員に「退職理由が自己都合ではないのに、自己都合になっている」ことを説明し、正しい退職理由に訂正してもらいます

客観的な資料を元に判断されるので、退職届のコピーを保管しておくことは有効です。

退職届はきちんと書きましょう

もらい損ねた失業給付

これらのことを知っていれば、Aさんは自己都合ではなく、会社都合(退職勧奨)の退職のため、給付制限期間(3か月)が不要となり、すぐに基本手当の受給ができました

そして約3か月の求職活動をへて転職したため、その間ずっと基本手当の受給が可能でした(およそ、給与の50%~80%で数十万円)。

基本手当は非課税ですし、返す必要のないお金です。

退職の際は必ず、実際の退職理由を記載しましょう

退職届には「本当の理由」を書きましょう

よく、ひな形を丸写しした退職届を目にしますが、絶対にやめましょう

深く考えずに「自己都合により退職」などと書かれていますが、実際に自己都合ではない場合が多々あります

もし会社から「自己都合と書いてほしい」と言われた場合は、その旨も職員に説明し、実際の退職理由に訂正してもらいましょう。(執筆者:特定社会保険労務士、AFP 浦辺 里香)