想定外の事態により、多くのイベント・コンサート・公演などが中止になっています

美術館・博物館などでも、臨時休館を発表するところが増えてきました。

今後どのような収束を見せるのかは、専門家に任せておき、今回は「チケット払い戻しについて」お話したいと思います。(便宜上、全て「イベント」と称します)

想定外のイベント中止について

イベント中止保険とは

イベント主催者は、多くの場合「興行中止保険」というものに加入しています

各損害保険会社が法人向けに扱っている商品のひとつで、その名の通り「興業(イベント)が中止になった場合に保険金が下りる保険」です。

イベントの収支計画を基に綿密な計算を行い、それぞれのイベントごとに契約をするオーダーメイド保険です。

イベント中止保険の補償対象となる「原因」

補償される原因については、おおむね以下の通りです。

1. 悪天候、またはそのおそれ

台風や大雪など、またそれによる公共交通網のマヒなど

2. 偶然の災害

イベント会場の火災など

3. 出演者の「役割遂行不能」

メインアーティストの急病など

「オーダーメイド保険」のため、補償対象「原因」についても、契約ごとにカスタマイズができます

しかしながら、損害保険そのものが定める「お支払いできない場合」を覆すことはできません

損害保険が、支払われない場合(法人・個人共通)

損害保険全般が、損害の原因が以下の場合は支払われません。

【被保険者の過失によるもの】

この場合被保険者とは、イベント主催者・関係者・出演者などです。

・ 被保険者による故意・重過失・法令違反・逮捕などによるもの
・ 被保険者の解散・破産・資金不足・顧客不足などによるもの

【予想の範囲を超えた異変によるもの】

・ 政変・国交断絶・通貨不安・戦争・暴動など
・ 地震・噴火・津波など

そして

・ 感染症の発生、または発生するおそれに起因する損害

保険契約によっては、特定の感染症を補償対象としている保険もあります

ただし、契約時に明記されている必要があり、新しく知られた感染症が補償対象になることは、原則としてはありえないと言えるでしょう。

それでも、支払われる可能性はゼロではない

しかしながら、本来は対象外であった大震災での補償など、状況に応じて対応する保険会社も出てくる可能性はあります

3.11東日本大震災の時も、本来は対象外である「地震による損害」を補償するために、いくつもの保険会社が立ち上がりました。

その場合、やはり強いのは余力のある大手保険会社です。

本来は支払う必要のないものを補償することは、保険会社にとっては「赤字」対応です。

それでも支払うのは、もちろん社会的影響や広告効果などもありますが、そもそも支払えるだけの資産を確保しているからできることなのです。

余力のない保険会社では、支払いたくても支払えないのです。

保険が支払われたとしても、イベント主催者は赤字

運営側は保険が出ても大赤字

仮に、「イベント中止保険」が支払われたとします。

それでも、損害分の全額が支払われるわけではなく、支払限度額(損害額 ×90%以下)の範囲内での支払いとなります

もともとイベントの開催には「多額の費用・長い時間・想い」が投資されています。

開催できればリターンもありますが、中止の場合は「ただ消費しただけ」になってしまうのです。

「払い戻し」対応になったチケット、払い戻さなかったらどうなる?

中には、主催者のためだと思って「主催者・出演者に使ってもらいたいから、あえて払い戻しはしません」と言っている人たちもいます。

しかしながら、「本来、返金すべきチケット代」は、経理上「負債」として処理されるべき金額です。

返金することになった経緯や、興行中止保険の有無、それぞれの主催者の事情などによって、どのように処理されるか断定はできませんが、いったんは返金処理を行って公式グッズなどを購入した方がダイレクトに「利益」となる可能性が高いのではないでしょうか。

完全中止・延期などの対応は、それぞれのイベント主催者によって異なります。

また、払い戻し方法や返金方法もチケット取扱会社によって異なります。

ただ、ひとつだけ言えるのは、確実に払い戻しされるのは正規ルートで購入したチケットに限られるということです。

譲渡や転売で入手したチケットには、払い戻しなどの補償がありません。

「もしものときのために」かけておくのが保険

正規ルートでチケットを購入することも、ある意味ひとつの保険だということをあらためて実感しています。

みなさんも、「保険」と上手につきあいましょう。(執筆者:仲村 希)

お詫びと訂正(3月15日):チケット払い戻しをしない場合のチケット代についての記述を全面的に修正いたしました。