本記事の最新更新日時:2020年4月7日

※令和2年(2020年)4月6日更新:4月16日の申告期限を過ぎた場合でも、「新型コロナウィルスによる申告・納付期限延長申請」と記載することで、個別に4月17日以降の延長を行うことが可能になりました。

書面申告書の場合は第一表の余白、e-taxにおいては電子送信前の「特記事項」欄に記載してください。

参照(国税庁HP):確定申告期限の柔軟な取扱いについて(4月17日(金)以降も申告が可能です)
申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の個別指定による期限延⻑手続に関するFAQ

4月17日以降の確定申告により納税する場合、もしくは本記事で説明する期限内申告・申請の特例を受ける場合は、上記延長申請の記載を忘れずに行いましょう。

また、関連記事:【4/16期限延長】「確定申告書3/17以降提出」で住民税や国保などへの反映遅れが起こる理由を解説しますで説明した住民税等への影響にはご注意ください。

青色申告65万円控除が典型

確定申告で納税されることの多いフリーランスで申告期限に気を付けなければならないものの典型は、青色申告で65万円の特別控除を受ける場合です。

会計ソフトがあれば簡易な手続きでできるようになってきましたが、複式簿記の原理で記帳し、青色申告決算書は貸借対照表まで作成しないといけません

10万円控除に比べ相応の手間がかかるため、今回申告期限が延長されたことで猶予期間はできました。

フリーランスでも収入から源泉徴収される業種であれば還付申告となるケースもありますが、65万円控除を受けるのであれば期限までに申告してください。期限後申告の青色申告特別控除は貸借対照表を作成していようと、最高10万円です。

なお令和2年分以降はe-taxで青色申告決算書を送信するか、電子帳簿保存法の承認を受けるかいずれかを行わないと、65万円の控除は55万円に減額されます。

e-taxによる決算書作成は次回以降の税制優遇にもつながる

≪e-taxによる決算書作成は次回以降の税制優遇にもつながる≫

新型コロナ感染リスクも考え、申告期限延長を機に今回から「確定申告書作成コーナー」でe-taxにチャレンジしてみるのも良いかもしれません。

3/17以降提出では住民税や国保への影響に注意

青色申告特別控除は、住民税や国民健康保険料の賦課対象所得を引き下げる効果もあります。

ただ一部自治体では、3月17日以降(いわゆる当初の法定申告期限を過ぎた場合)に提出すると、住民税の第1期納期限(6月末)までに申告内容が反映されなくなる・納税通知が間に合わなくなることがあると公表しています。

住民税の申告期限を4月16日に延長した自治体(例:大阪市)と、3月16日期限を変えずに17日以降も受け付けるとした自治体(例:奈良県生駒市)に分かれます。

期限を延長した自治体でも、当初期限以降に申告会場の縮小・変更があったり、3月17日以降の提出で上記のように申告内容反映・納税通知が遅れたりということがありますので注意してください。

国民健康保険料も住民税の所得情報に基づいて計算するため、1回目の支払いとなる自治体が多い6月の納期限までに通知が届かない恐れもあります。

3月17日以降の提出による通知の遅れが、資金繰りに悪影響を及ぼす可能性があることは、念頭においてください。

この通知の遅れについては、関連記事にて詳しく解説しております。

【関連記事】:【4/16期限延長】「確定申告書3/17以降提出」で住民税や国保などへの反映遅れが起こる理由を解説します

来年から青色申告を受けたい場合の申請期限

すでに開業しているフリーランスが今年から青色申告を受けたい場合、適用を受ける年の3月15日までに青色申告の承認申請書を提出しなければなりません。

この申請期限も延長されるとはアナウンスされておらず、延長しないのではという専門家の懸念もあったのですが、3月6日に国税庁告示が公表されるとともに、申請期限が4月16日に延長されることが明確になりました。

国税庁HP:期限延長の対象となる主な手続について

その他住宅特例も期限内申告要件あり

住宅特例も期限内申告要件あり

フリーランス以外の現役世代の方でも、いわゆる住宅特例を受ける場合は、所得税と贈与税の両方に言えますが、期限内申告を求められるのが数多くあります。

損失を繰り越せるマイホームの譲渡

住宅ローンがあった方がマイホームを売る際に出た譲渡損失を給与所得などと損益通算したうえで、残額を最大3年間繰り越してさらに相殺できる特例があります。

住宅特例を受ける際に不動産会社から説明を受けることがありますが、下記の特例を受ける場合は期限内申告が必要です。

・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41条の5)

・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41条の5の2)

サラリーマンが上記の損失申告を行う場合は、還付申告になることが多いので気をつけたいところです。

「還付申告だから5年間大丈夫」のケースに当てはまりませんし、繰越損失もできないとなると今後3年間の還付金にも影響が出ます。

登記事項証明書など用意する書類が多いですが、延長された申告期間内に準備して申告したいところです。

贈与税の住宅取得等資金非課税特例

父母・祖父母など直系尊属から住宅取得用の資金を得た際に、通常贈与税の課税対象となるものが一定の要件を満たすと非課税になる特例があります。

消費税10%増税対策として、下記のように非課税の枠が大幅に拡大されています。

新築等で消費税10%取得:省エネ住宅3,000万円、一般住宅2,500万円

上記以外(令和2年3月31日まで):省エネ住宅1,200万円、一般住宅700万円

ただし特例の非課税は、「非課税だから申告しなくていい」というわけではありません。むしろ期限後申告すら許されない厳しい制約もあります。

例えば2,500万円もの住宅資金を贈与して期限内申告を行わなかった場合、110万円の基礎控除を差し引いて特例税率(差引2,390万円に対しては最高45%)を適用したとしても、約810万円の本税に加算税・延滞税がかかります。

こちらの住宅特例も用意する書類が多いですが、延長された期限までに準備して申告しましょう。

なお「贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。」など、非課税を受ける要件の期限延長告知まではされていない点に注意してください。

贈与税の相続時精算課税

こちらも贈与税ですが、贈与した財産を相続税申告時の財産として加算する代わりに、2,500万円まで特別控除額がある「相続時精算課税」も、期限内申告が必要な特例です。

住宅以外の相続・贈与にも適用されますが、2,500万円と巨額の枠があるため、不動産の贈与で活用されることが多い特例です。

こちらも期限後申告になると、最大非課税枠の2,500万円で贈与した場合は、住宅取得資金非課税特例のところで説明したように、多額の納税を覚悟しないといけません。(執筆者:AFP、2級FP技能士 石谷 彰彦)