中国武漢に端を発したコロナウイルスが全世界を混乱の渦に巻き込んでいます。
株価の下落もすさまじく、日経平均株価は2020年2月下旬からの約1か月で2万3,000円台から1万6,000円台と約3割も価値消失してしまいました。
「100年に1回」と言われたリーマンショックでしたが、ヒト・モノの移動が世界中で著しく制限されつつあるコロナショックの打撃はそれ以上とも危惧されています。
そのようななかで日々溶けていく資金を涙目でみながらも、「大バーゲン中!」とばかりに果敢に落ちるナイフをつかみにいく優待好きの方も少なからずいるはずです。
今回は、人気の優待株がコロナショックの中でどのような状況になっているのかを検証していきます。
目次
(1) オリックス

「オリックス(8591)」は、2月12日終値で1,950円を付けていましたが、3月19日終値では1,138円と約4割も下落しています。
これは2016年6月以来の水準です。
それに伴い、
にまで達しています。
バラエティに富んた良品がそろうカタログギフトに加え高配当で人気のオリックスですが、権利確定月は3月なので正に今「決算大バーゲン中」といった様相を呈しています。
ただし、今後、業績の悪化が見込まれる場合には減配するリスクもあるので、配当利回りは低下する恐れもあります。
(2) KDDI

「KDDI(9433)」は、2月13日終値では3,444円でしたが、3月19日終値では2,930円と15%程度下落しています。
それに伴い、
となっています。
「KDDI」の株主優待は3,000円相当の商品を頂けるグルメカタログであり、「オリックス」同様に権利確定月は3月です。
ただし、2019年の秋頃まで20万円台を付けていたので「驚くほど安値」という印象は薄いと感じます。
もう1段安くなるのか持ちこたえるのか、今後の推移が気になります。
(3) すかいらーく

「すかいらーく(3197)」は、2月13日終値で2,048円でしたが、3月19日終値では1,827円と約1割超の下落率です。
3月13日の場中に1,420円まで下落しましたが、翌週になりV字回復基調となっています。
新型コロナウイルスの影響を大きく受けるであろう外食株ですが、宅配にも力を入れている「すかいらーく」についてはまだ見通しが明るいということでしょうか。
「すかいらーく」の権利確定月は6・12月であり、保有株数に応じて店舗で利用できる優待券を頂くことができます。
3月19日現在の
です。
(4) 日本マクドナルド

「マクドナルドホールディングス(2702)」は、2月17日終値では5,280円でしたが、3月19日終値は4,870円と約8%の下落です。
3月13日の場中に4,290円の安値をつけましたが、翌週には回復基調です。
「すかいらーく」同様にテイクアウトや宅配のニーズも大きい「マクドナルド」においては、影響は限定的と予想されているのでしょうか。
2014年の異物混入事件では株価が20万円台をつけたこともあるため、今回のコロナショックにおいてはむしろ堅調な印象を受けます。
「マクドナルドホールディングス」の権利月は6・12月であり、保有株数に応じて店舗で利用できる商品引換券をいただくことができます。
こちらの商品引換券は、「バーガー類 + サイドメニュー + ドリンク」の組み合わせで好きな商品を選べるため(一部選べない商品もあります)、引き換える商品によっては優待券の価値が高くなり、年間で1万円以上の商品を優待券で購入することも可能です。
その場合、
です。
(5) クリエイト・レストランツ・ホールディングス

「クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)」は、2月13日終値で1,185円でしたが、3月19日終値では597円となんと約半額まで落ちこみ暴落の様相を呈しています。
優待人気の高い企業ですが、和洋中さまざまな形態のブッフェや都内などの繁華街に多くレストランを出店しているため、外出自粛の影響が大きいとみなされてしまっているのかもしれません。
同じく繁華街に中価格帯のレストランを多く出店している「ダイナック(3387)」も2月19日終値の1,625円から3/19終値の1,139円と株価は約3割下落しています。
この点は、郊外に多く店舗を持つ「すかいらーく」や「マクドナルドホールディングス」とは異なるところでしょうか。
「クリエイトレストランツホールディングス」の権利確定月は2・8月であり、株主優待として保有株数に応じて店舗で利用できる優待券をいただけますが、
に達しています。
こちらの企業は、株数に応じて頂ける優待券の金額が細かく分かれているので、買い増しのモチベーションが上がりそうです。
株主優待改悪・廃止のリスクを注視
コロナショックにより、暴落もさることながら日々の株価の浮き沈みが激しく、個別銘柄で1日に10%以上も上下するものも少なくありません。
上記でご紹介した企業も数日で一気に状況が変わる可能性がありそうです。
業績不振による減配が憂慮される配当と比べると株主優待改悪・廃止のリスクはまだ小さいと信じたいところですが、この先一体どうなってしまうのでしょうか。
一刻も早くコロナショックが落ち着き、平時の日常生活が戻ることを願ってやみません。(執筆者:吉井 裕子)