医療保険は、病気やケガなどの治療をともなう入院や手術に備える保険です。

掛け捨てで保障が一生涯というタイプが一般的です。

その保障内容の1つに、「」というのがあります。

これは、1回の入院につき保障してもらえる日数の限度のことです。

そして、多くの方が「60日型」に加入されているのが現状でしょう

・ 保険料が120日型や180日型などに比べ割安

・「近年は入院日数が短くなっている」という認識がある

といった理由から「60日型」を選ばれているのではないかと思います。

しかし、ここに1つ落とし穴があるのです

医療保険の「180日ルール」とは

聴診器とカレンダー

いきなり本題に入りますが、医療保険の型には180日ルールというものが存在します

保険に加入するときに渡される約款に記載されています。

具体例

1回の入院日数が短くなってきている時代ですから、「60日型」の医療保険に加入されているとしましょう。

以下で具体的な事例をみていきます。

・ 医療保険:1入院60日型 

・ 入院給付金:日額5,000円

・ 手術給付金:5万円

・ 入院の内容:糖尿病で30日入院し、退院3か月後に人工透析と糖尿病が原因で心臓のバイパス手術を行い40日入院した

このケースの場合、入院給付金はいくらもらえるでしょうか。

答えは、

・ 5,000円 × 60日分 = 30万円

・ 手術給付金 5万円

で、合計35万円です

糖尿病30日 + バイパス手術40日 = 合計70日の入院をしましたが、入院給付金は60日が限度です

なぜ60日しかもらえないのか

「1回の入院で60日」が限度ですので、一般的な認識であれば、先ほどのケースでは2回入院しているため70日分もらえると考えてしまうと思います。

では、なぜ60日分しかもらえないのかというと、医療保険の約款には以下のような意味の内容が記載されているためです。

「同じ病気や医学的に関連した病気については、複数回入院したとしても1回とみなす」

ですから例のケースですと、退院後3か月しか空いていなかったこともあり、2回の入院は「通算して70日の1回の入院」とみなされてしまったのです。

2回目の入院でも給付金をもらうには

病室の看護師と患者

糖尿病の後の入院が、骨折など、まったく因果関係のない入院であれば2回目の入院とみなされていたでしょう。

では同じ病気や関連した病気の場合には、どういうときに2回目の入院が2回目と判定されるのかというと、1回目の入院と2回目の入院の間が180日間空いている必要があるのです

これが、医療保険の180日ルールです。

ただし中にはまったく別の病気でも、入院と入院の間が180日空いていないとすべて1回とみなされる商品も存在するのでご注意ください

60日型の医療保険に加入するリスク

60日型の医療保険に加入されているあなたは、以下のような病気にかかった場合はリスクが高いことを理解しなければなりません。

・ 1回の入院日数は短くとも、入退院を繰り返すような病気

・ 1回の入院日数が長い病気

・ 合併症などの可能性がある病気

不安に感じた方は、120日型以上の医療保険に入りなおすことも検討したほうがいいかもしれません。

なぜなら保険は、「低リスクで頻繁に起こること」よりも、「めったに起こらないが、起こった場合に甚大な被害をもたらすもの」に備えるのが理想だからです。

「型」を意識して自分に適した保険を選ぼう

低リスクなものは、保険料を支払うよりも預貯金などでカバーできるかもしれません。

医療機関も診療報酬の改定などにより、14日以上の入院をされるよりも新しい患者さんを受け入れて回転させたほうが利益が上がるというような事情もあるかもしれません。

あなたにとって万が一の時に役立つ医療保険とはどういうものか、もう1度考えていただくきっかけになれば幸いです。(執筆者:永島 隆)