※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

【奨学金】「返済の苦労で困らないために」親子ですべき「6つのこと」と万一の際の「3つの制度」

ライフ 子育て
【奨学金】「返済の苦労で困らないために」親子ですべき「6つのこと」と万一の際の「3つの制度」

日本学生支援機構の奨学金を利用した人は、平成29年度では129万人、学生の2.7人に1人といいます。

奨学金事業

≪画像元:日本学生支援機構(pdf)

一方で奨学金の助けを借りて夢への道を歩き始めても、返還を3か月以上遅延している人は15万7,000人もいます。

借りたものは返さねばなりません。

そこで今回は実際のデータを基に、奨学金の返済で困らないために、ぜひ親子で行っていただきたいことを紹介します。

1. 書類作成は本人が作成する

社会人になるまでは、お金のこと特に大金がかかわるような契約は、親が行うことがほとんどだと思います。

しかし、奨学金に関しては、必ず本人を交えて取り組むように心がけてください

奨学金の返還を3か月以上延滞している人は、申請時の書類作成を全体の56.5%しか本人が関わっておらず、10.7%の人は「督促されるようになって初めて、返還義務をしった」と答えています。(平成29年度奨学金の返還者に関する属性調査結果)

返還義務をしった時期

≪画像元:日本学生支援機構(pdf)

「心配させたくない」という親心から本人には詳しく伝えていないのかもしれませんが、

返還は貸与終了後の7か月目、3月まで借りていたら10月から申請した口座より引き落とされるため、忘れず入金

しておかねばなりません。

2. 必要最低限の金額を算出する

日本学生支援機構の奨学金は「月額いくら」という申し込み方をするため、トータルの返済額がわかりにくいという一面があります。

例えば有利子の第二種奨学金で月8万円を4年間貸与してもらうと、元金384万円に利息11万9円を加えた総額は395万9円となり、1万6,458円を20年間返していかねばなりません(利率固定方式0.27%、平成30年3月貸与終了者の場合)。

第二種奨学金

≪画像元:日本学生支援機構(pdf)

400万円近い大金を20年という長期間にわたり、新社会人となった我が子が返してかねばならないのです。

親が返済していくつもりだとしても、先の延滞者への調査結果では、20%以上が親の経済困窮を、約16%が家族の病気を延滞が継続している理由にあげています。

まずは

どれだけ必要か、いくらくらいなら無理なく返していけるか、最低限の必要経費を親子でしっかり話し合う

ことが重要です。

3. どのタイプに該当するかをシミュレーションする

現在日本学生支援機構の奨学金には、利子のかからない第一種奨学金と利子がかかる第二種奨学金、返済不要の給付型の3つの種類があり、学生本人の成績や保護者の収入により申請可能な奨学金が決まります

下記のシミュレーションを使えば、どの奨学金の対象となるのか調べることができます。

進学資金シミュレーション

≪画像元:日本学生支援機構

また同ホームページ上にある「学生生活費シミュレーション」では、学生の生活費の平均的な数値が一緒に表示されるので、個人的なアルバイトの収入予測などを入力することにより、より現実的な教育費の不足資金を導き出すことができるでしょう。

4. 利率や返済方法を検討する

3か月以上返還できていない人に聞いた延滞が始まったきっかけは、「家計の収入が減った」ことが67.8%を占めており、想定していた通りの暮らしができていないことが窺えます。

延滞が始まった理由

≪画像元:日本学生支援機構(pdf)

そこで検討したいのが、返還月額が前年度の所得に連動がする「所得連動返還方式」です。

期間保証制度を利用している第一種奨学生に限られた返還方法ですが、返還金額は課税対象金額の9% ÷ 12となり、年収400万円では月額1万3,500円であった返済額が年収200万円になったら4,700円、というように軽減できます

平成29年度以降の奨学生ならば、申込時に定額返還方式を選択していても所得連動返還方式に変更することが可能です。

所得連動変換方式

≪画像元:日本学生支援機構(pdf)

また有利子の第二種奨学金では、「利率固定方式」と「利率見直し方式」のうちどちらかを申込時に選択しますが、貸与期間が終了する年度の一定時期までなら変更できます

参照元:日本学生支援機構

在学中や返還期限猶予中は利息はかかりませんが、返済期間は長期間にわたることが多く、元金が高額です。

低金利とはいえ、もらさずチェックしてください。

5. いざという時のため3つのセーフティーネットを理解しておく

奨学金には「返せない」ときのための救済制度があります

3か月以上返済できていない人は、この制度の存在を「延滞督促を受けてから知った」人が半数以上(51.8%)と高い割合を占めています。

(1) 減額返還制度

第一種奨学金の所得連動返還方式を選択している場合は利用できませんが、月々の返済額を1/2または1/3に減額申請できます。(参考元:日本学生支援機構

1回につき適用される期間は12か月ですが、最長15年まで延長が可能です。

返還する期間は長くなるとはいえ、例えば1万2,000円の返済が6,000円または、4,000円になるとしたら負担はかなり軽くなります

ただしこの制度は、災害や傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が難しい人のうち、減額すれば返還可能である人を対象にしています。

(2) 返還期限猶予制度

災害、傷病、経済困難、失業などにより、申請し審査、承認されれば、一定期間返還を猶予してもらえます

毎年申請が必要で、通算10年が限度です。

しかし、傷病、災害、生活保護受給中、産休・育休、在学中、海外留学などの場合には制限年数はありません

なお、減額返還制度や返還期限猶予制度を経済的な理由から利用するとき、給与所得者は年間収入が300万円、それ以外の方は200万円以下が目安とされています。

扶養者がいる場合には控除額が設定されていたり、医療費を収入から差し引きして計算できることがあります

配偶者と子ども2人を扶養しているようなケースでは、給与所得者は、年間収入が439万円以下であれば減額返還、414万円以下であれば返還期限猶予が申請できます

さらに両制度ともに、第二種奨学金の場合、利息がさらに加わるようなことはありません

採用基準がそれぞれ設けられているので、詳細をご確認ください。(参考元:日本学生支援機構(pdf)

(3) 死亡・心身障害による返還免除制度

本人の死亡や精神・身体障害により労働能力を喪失する、もしくは高度な制限受け返還ができなくなったとき、願い出て審査を受けることにより返還未済額の全てまたは一部の返還が免除されます。

近年の教育費の動き

ここ数年、幸いなことに教育費の負担を減らす流れがさまざまに見られます。

第一種奨学金では、平成29年入学者からこれまで評定平均値3.5以上としていた成績基準を、低所得世帯については実質撤廃、貸与金額は平成29年度は24年度と比較すると24.4%増額しています。

貸与金額

≪画像元:日本学生支援機構(pdf)

大学院では「特に優れた業績による返還免除制度」により、第一種奨学金の貸与を受けた学生に奨学金の全額または半額を返還免除、平成29年度は8,096人がその恩恵をうけています。

加えて2020年4月からは、授業料・入学料の減免と給付奨学金の大幅拡充による就学支援新制度がはじまります。

6. 最新の情報に更新して、奨学金で苦労しない生活を

近年頻発する自然災害ばかりか、最近では新型コロナウイルスの影響から打撃を受けている企業がニュースになっています。

保護者の収入が著しく減少し、授業料や生活費の支払いに困っているときには、緊急採用・応急採用があります。

参照元:日本学生支援機構

本人の勤務先の業績悪化による減収や失業、内定取り消しに伴う奨学金の返済が難しくなったときには減額返還や返還期限猶予が利用できます。

いずれの制度を利用するにも本人の申請が不可欠であり、経済的な負担を軽くするには最新の情報収集が必須です。

子どもの夢がかなうように、親子で頑張りましょう。(執筆者:吉田 りょう)

《吉田 りょう》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

吉田 りょう

執筆者:FP2級 吉田 りょう 吉田 りょう

働くシングルマザーです。息子二人を大学卒業させるため、さまざまに工夫をこらし勉強しました。節約は勉強したものだけに与えられるご褒美です。リアルな情報、実際に使える情報にこだわってお届けしたいと思います。 <保有資格> 登録販売者、日文コンサルタント協会 着付1級講師 FP2級 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集