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「会社倒産!給料未払いで連絡つかず」そんな時には「未払賃金の立替払制度」を利用 適用条件・対象期間と金額・手続き方法

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「会社倒産!給料未払いで連絡つかず」そんな時には「未払賃金の立替払制度」を利用 適用条件・対象期間と金額・手続き方法

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、自宅待機や休業を余儀なくされている労働者は多いと思います。

会社から休業を命ぜられた場合には、給与日額の60/100が休業手当として支払われますが、この財源は当然ながら会社の売上からくるものです。

営業停止になると、融資や助成金を受けたとしてもいずれは限界が来ます。

ある日、会社が倒産したとしたら…。

実は、このように働いた分の給与について、会社が支払えない場合に「国」が立て替えてくれる制度があります

会社が倒産、給料未払いで連絡もつかない

未払賃金の立替払制度

独立行政法人労働者健康安全機構(以降、「機構」と呼びます)では、労働者の福祉の増進のため「未払賃金立替払事業」を行っています

ほかにも過労死関連疾患、アスベスト、メンタルヘルスなと、労働者の健康および安全の確保を図る目的でさまざまな活動をしています。

労働者を雇用する事業主が、毎年納付する労働保険料の一部が、これら「社会復帰促進等事業」に充てられており、賃金の未払により、労働者とその家族の「生活の安全」が脅かされることを防止するための事業です。

つまり、未払賃金の立替払制度は、労働者の最終的なセーフティネットの役割を果たしているのです。

どのような人が立替払を受けられるのか

未払賃金の立替払を受けられるのは、次の要件を満たしている人です。

(1) 労災保険の適用事業所に1年以上雇用され、会社の倒産に伴い賃金が支払われないまま退職した労働者

(2)(法律上の倒産の場合)裁判所への破産手続開始等の申立日、または、(事実上の倒産の場合)労働基準監督署長に対する事実上の倒産の認定申請日の、6か月前から2年の間に、(1)の会社を退職した人(図1)

図1未払賃金の立替払事業

≪画像元:独立行政法人労働者健康安全機構

(3) 未払賃金額等について、破産管財人等(法律上の倒産の場合)の証明、または、労働基準監督署長の認定(事実上の倒産の場合)を受けた人

立替払の請求ができる期間と対象となる未払賃金

立替払の請求ができる期間は、法律上の倒産の場合は「裁判所の破産手続の開始等の決定日または命令日の翌日から起算して2年以内」、事実上の倒産の場合は「労働基準監督署長が倒産の認定をした日の翌日から起算して2年以内」に、未払賃金の立替払請求書を機構に提出しなければなりません(図2)。

 図2未払賃金の立替払事業

≪画像元:独立行政法人労働者健康安全機構

そして、立替払の対象となる未払賃金は

退職日の6か月前の日から機構に対する立替払請求の日の前日までに支払期日が到来している賃金(毎月定期的に支払われる賃金)と退職手当

です。

ただし、未払賃金総額が「2万円未満」の場合や「ボーナス」、「臨時的に支払われる賃金」、「交通費」については、立替払の対象外です。

立替払される金額について

立替払いされる金額は、未払賃金総額の80/100です。

ただし、退職日の年齢によって限度額が設定されているため、限度額を超える額の未払賃金があるときには、限度額の80/100となります(図3)。

図3 未払賃金の立替払事業

≪画像元:独立行政法人労働者健康安全機構

たとえば、退職日の年齢が48歳、未払賃金総額400万円(賃金150万円、退職手当250万円)の場合、45歳以上の限度額370万円を超えているので、立替払額は296万円となります。

立替払の請求手続きについて

倒産には2種類あり、「法律上の倒産の場合」と「事実上の倒産の場合」があります

このいずれかによって手続きが異なりますので、実際に請求する際には必ず、事前に労働基準監督署等へ確認してください。

法律上の倒産の場合の手続き

法律上の倒産の場合には、破産管財人等に「証明書」を発行してもらい、その証明書(一部が未払賃金の立替払請求書)に必要事項を記入し、機構に提出することで手続きは終了です(図4)。

図4 未払賃金の立替払事業

≪画像元:独立行政法人労働者健康安全機構

事実上の倒産の場合の手続き

事実上の倒産の場合には、請求の工程が増えます。

まずは、倒産した会社を管轄する労働基準監督署で「認定申請」を行います

その後、労働基準監督署は当該会社が倒産しているかどうかを調査し、「事実上の倒産」の状態が認められると請求者に対して「認定通知書」を交付します。

次に、請求者は「確認申請書」に未払賃金額や退職日などを記入し、労働基準監督署へ提出し、「確認通知書」の交付を受けます。

そして、交付された「確認通知書(一部が未払賃金の立替払請求書)」に必要事項を記入し、機構に提出することで手続きは終了です(図5)。

図5未払賃金の立替払事業

≪画像元:独立行政法人労働者健康安全機構

提出された請求書をもとに機構が審査をし、法律上の要件を満たしている場合には、請求者の口座に立替払金が振り込まれます

機構 or 管轄の労働基準監督署に事前に相談

事業主も労働者も、先の見えない不安のなかで毎日を過ごしています。

労使一丸となって前進したいところですが、万が一、勤務先が倒産してしまった場合、かつ、給与が未払で音信不通の状態であれば、今回紹介した「未払賃金立替払制度」をぜひともご利用ください

個々によって状況が異なるため、必ず、事前に機構または会社を管轄する労働基準監督署へご相談ください。(執筆者:特定社会保険労務士、AFP 浦辺 里香)

《浦辺 里香》
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浦辺 里香

浦辺 里香

早稲田大学卒業後、日本財団、東京中日スポーツ新聞の勤務を経て、社労士事務所を開業。ブラジリアン柔術紫帯(ヨーロピアン選手権2020青帯フェザー級、無差別級ダブルゴールド) 、クレー射撃スキート元日本代表 <保有資格>特定社会保険労務士、AFP、年金アドバイザー、2級ボイラー技士、散弾銃所持許可 寄稿者にメッセージを送る

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