サヤ取りの利点

サヤ取りの大きな利点の1つは、リスクの低さにあります。

2つの銘柄に対し、一方を買い、一方を売りで仕掛けるため、突発的な要因によって市場全体が暴落した場合にも損失のリスクが低いのです。

今回のコロナショックのような局面でも、

買っている銘柄で大きな含み損が発生しますが、売っている銘柄で大きな含み益が発生し、損失を打ち消せる

のです。

サヤ取りもノーリスクではない

サヤ取りもノーリスクではない

そうは言っても、サヤ取りもノーリスクではありません。

サヤ取りを仕掛けた銘柄のうち、どちらか一方が何らかの材料によって大きく動き、サヤがおかしな動きを見せることがあります

例えば、サヤが0円~200円で動いている銘柄A・銘柄Bにおいて、

銘柄A:1,000円
銘柄B:1,200円
サヤ:200円

となっている際には、銘柄Aを買い、銘柄Bを売り、サヤの縮小によって利益を取ります

しかし、仕掛けた後に銘柄Aで悪材料が出たことで、

銘柄A:800円
銘柄B:1,200円
サヤ:400円

というように、縮小を取るはずのサヤが大きく開いてしまうことがあります。

サヤ取りにおける危機回避

この場合の対処として、まずは「損切り」が考えられます。

この時点で損切りすれば200円の損失になるのですが、急変した株価は荒っぽい値動きになることが多いため、いったん損切りして様子を見るのが安全です。

もう1つの対処法に、「つなぎ」があります。

つなぎ」とは、既に仕掛けているポジションとは逆のポジションを取ることです。

「つなぎ」はさまざまな目的で使われる手法ですが、ここでは

「損失の限定」が目的であり、サヤ取りにおける危機回避で大変に有効な対処法

です。

つなぎ、つなぎ売りとは

≪画像元:SMBC日興証券

「つなぎ」による危機回避の具体例

前述の例によって、「つなぎ」による危機回避を具体的に見てみましょう。

まず、

銘柄A:1,000円
銘柄B:1,200円
サヤ:200円

の時に、銘柄Aを100株の買い、銘柄Bを100株の売り、サヤの縮小によって利益を取ろうとしたところ、銘柄Aで悪材料が出たことにより、

銘柄A:800円
銘柄B:1,200円
サヤ:400円

となりました。

ここでは、買いで仕掛けた銘柄Aに対処するので、銘柄Aを「つなぎ」で売ることによって危機回避を図ります。

これにより、仕掛けているポジションは、

銘柄Aを1,000円で100株の買い

銘柄Aを800円で100株の売り

銘柄Bを1,200円で100株の売り

ます。

この時点で、銘柄Aで200円の含み損が出ています。

しかし、800円で100株の「つなぎ売り」をしたことにより、これ以降は銘柄Aがどのように動いても含み損が200円から動くことはありません

銘柄Aの下落が止まらずに600円になっても、1,000円・100株買いのポジションで400円の含み損、800円・100株売りのポジションで200円の含み益が発生し、含み損は200円のままです。

「つなぎ売り」を入れたことで、銘柄Aの損益を固定できる

のです。

一方、銘柄Bは銘柄Aの悪材料とは関係なく、サヤの縮小に向かって値を下げていきます。

その結果、

銘柄A:600円
銘柄B:1,000円
サヤ:400円

となったタイミングで両銘柄を同時に決済すれば、

銘柄Aの1,000円・100株の買いで400円の損失

銘柄Aの800円・100株の売りで200円の利益

銘柄Bの1,200円・100株の売りで200円の利益

となり、全体での損益は±0円です。

急変した銘柄Aを「つなぎ」で売ったことにより、損失を回避できました。

「つなぎ」をマスターして、サヤ取りのリスクをさらに下げる

サヤ取りもノーリスクではなく、仕掛けた銘柄が急変することもあります。

この際に、「つなぎ」による危機回避が非常に役立ちます。

本稿を読んだだけでは理解しづらいかもしれませんが、実際にやってみると「つなぎ」の効果を実感できると思います。

「つなぎ」をマスターして、サヤ取りのリスクをさらに下げていきましょう。(執筆者:兼山 艮)