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ペット保険について
ペットの健康管理は、人間と同じようにはいきません。
動物たちと、ともに幸せに生きていくために、いざという時にかかる費用のことも考えて、然るべき準備をしておきましょう。
「ペット保険」は、ペットの病気やケガを動物病院で治療した場合に、かかった費用の一部を補填する保険です。
人間の体調不良と違って、ペットはどの程度具合が悪いのか、「これくらいなら様子見で大丈夫かな」といった判断が難しいところです。
診療にいくらくらいかかるかの目安も分かりにくいため、いざ病院に駆けつけるとなると、症状の他にお金の心配もしなければなりません。
動物の医療費は公的保険の適用がない「自由診療」にあたりますので、ちょっとしたケガや病気の処置でも、費用が高額になってしまうことがあります。
ペット保険は人間の健康保険のようなもの
ペット保険には、病気やケガをして病院で治療を受けた際、費用の7割くらいを補償する機能があります。
もちろん補償割合はプランによって異なりますが、私たち人間が加入する公的な健康保険と同じような役割です。
また、入院や手術が必要な場合は、日数・回数に応じて一時金が給付されます。
こちらは民間の医療保険と同じイメージです。
加えて、ペットが他人のモノを壊したり、噛みついてケガをさせたりした場合の賠償責任や、人間と同じように先進医療の特約などをつけられます。
ペット保険は、人間社会の
・ 民間保険
・ 損害保険
を少しずつブレンドした商品と理解しましょう。
商品によって異なる「対象動物や補償」
対象になる動物は、犬・猫が中心ですが、うさぎなどの小動物や、鳥、爬虫類などを扱う保険会社もあります。
日本では、子どもの数よりもペットである犬猫の頭数の方が多くなり、飼い主のニーズも高まっています。
「ペット保険」といってもさまざまな補償タイプがあり、比較が難しいところも人間の保険と同じです。
ペット保険の特徴
プランごとに細かい違いはありますが、大まかな構造と、見るべきポイントを確認していきましょう。
ペット保険は1年更新の掛捨てタイプ
貯蓄型の生命保険などとは異なり、ペット保険は基本的に掛捨ての損害保険です。
1年ごとに契約を更新するタイプで、保険料も年々上がっていきます。
年をとるにつれて、ペットが病気になるリスクも高まるためです。
日本人の生命保険の加入率は80%を超えており、世界でも保険好きとして知られていますが、ペット保険の加入率は10%未満とさほど高くないのが現状です。
保険は必要最小限に利用することが大原則ですが、公的保険のような制度がない動物においては、自由診療のために費用がかなり高額になる場合もあるでしょう。
「いつ起きないかもしれず、起きてしまった時の負担が非常に大きい」こういったリスクに対しては、保険料が安くて万が一の補償が確保できる掛捨てタイプの保険が良い選択肢になります。
「補償割合」
ペット保険は、費用の一部を補償するタイプが多く、70%補償・80%補償など、プランごとに割合が定められています。
私たちの健康保険と同じように、2割~3割は自己負担になるイメージです。
全額補償プランもありますが、補償割合が大きくなると、保険料も高くなります。
免責金額
「免責金額」とは、保険がおりない「自己負担額」のことをいいます。
自動車保険などにもついています。
例えば、
になります。
同じ保険で、もし5万円の費用だった場合は、免責金額(10万円)の範囲内なので、保険金はおりません。
免責金額がゼロか低く設定されている場合、支払う保険料は高くなります。
保険に加入する目的は、少しの自己負担額も支払わないことではなく、「万が一とても高額な費用が発生した場合に備えること」です。
免責金額は、これくらいなら自腹で払っても大丈夫という基準とも言えます。
そのあたりを意識して、プランを検討することをおすすめします。
ペットの年齢
保険料は、ペットの年齢が若いほど安く、年をとるごとに高くなっていきます。
加入できる年齢が決まっていて、高齢になると加入・更新できない商品もあります。
「年齢が上がっても保険料が変わらない」というプランは、
・ シニア用に別の料金プランが設定されている
といった場合もあるため、説明欄の小さい文字で書いてあるところまでよく確認しましょう。
給付の内容
通院、入院、手術の3つが主な給付項目です。
通院は補償されないもの、日数制限や手術の回数が決まっているなど、プランによって差が出るところです。
「少しの通院でも保険がおりた方が助かる」と考え始めると、
・ 保険料がかさんで本当に必要な高額費用に対応できなくなる
可能性もあり注意が必要です。
迷ったら、少額の補償は必要ないと割り切りましょう。
特約の内容
設定できるオプションには、
・ 障害をおって車いすなどが必要になった時の購入費用
・ 亡くなった時の葬祭費用
などなど、人間顔負けのもあります。
ただし、「先進医療を受けられる施設がとても少ない」など、現実問題として実現できない補償もありそうです。
必要かどうかは、慎重に見極めましょう。
小さいことまで「起きたら困るかもしれない」という可能性にとらわれると、不安で際限(さいげん)がなくなってしまいます。
保険には、必ず保険料というコストと制限がついてくることを念頭におき、
という視点で検討してみることをおすすめします。(執筆者:工藤 恵子)
お詫びと訂正 5月9日
コストと保障のバランスをよく考えて万一に備える 段落を削除