会社から休業指示を受けた場合の休業手当に関するお話は整理しておくべき大事なものですが、自分で申請するなどして生活を守るお金を得られるものではありません。

今回は、自分で申請して利用できる制度を中心にご紹介したいと思います。

新型コロナウィルス感染が疑われた場合

コロナの症状が疑われ休業

新型コロナウィルス感染が疑われる場合、その前後を通じて自宅待機となりますが、雇用形態によっては自宅待機中に給与が支払われないことがあり問題となります。

感染が疑われる症状(相談の目安)

1. 風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)

2. 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある

このような場合には、健康保険「傷病手当金」を受給できます。

支給される金額は、原則として、実額給与を基に算定した「標準報酬月額」の直近12か月平均の3分の2相当となります。

「傷病手当金」は最長1年6か月受給できますので、新型コロナ感染により休業した期間をカバーできます。

【例】標準報酬月額の直近12か月平均が「30万円」の人が、5月いっぱい休んだ

30万円 ÷ 30日 × 3分の2 =6,667円(1円未満四捨五入)

6,667円 × 31日 =20万6,677円支給

標準報酬月額の算定方法については、以下の記事をご参照ください。

この「傷病手当金」は、業務外の理由によるケガや病気のために仕事に就けないときに申請できますが、新型コロナウィルス感染症に関しては「感染の疑いがある」段階での自宅待機も対象となります。

「傷病手当金」が支給される場合

・ 検査結果が陰性または陽性のいずれであっても、感染症が疑われる症状により自宅待機していた場合

・ 検査結果が陽性で、入院などの措置をとった場合

・ 検査結果が陽性だが、無症状で自宅待機をしていた場合

※ 体調悪化等やむを得ない理由により、医療機関を受診出来なかった場合も含む。

「傷病手当金」の注意点

・ 「家族が感染した」、「濃厚接触者になった」ことを理由として、本人の意思で休業した場合は支給対象とならないこと

・ 申請後、希望の振込口座に振り込まれるまでに2か月近くかかること

・ 子供の世話の為に自らの判断で休業したら、どうなるのか

子供の世話:自主的に保育所への登園を自粛した場合

「現在育児休業中であるか」がポイントです。

育児休業をすることで雇用保険「育児休業給付金」を受給できますが、現在育児休業中であれば、理由を問わず最長1歳まで休業期間を繰り下げられます(繰り下げた期間分も給付金が支給されます)。

子供の世話の為に自らの判断で休業

子供の世話:小学校等の臨時休校に伴い自主的に休暇を取得した場合

「会社が(年次有給休暇とは別の)特別の有給休暇を認めているか」がポイントです。

会社がこのような有給休暇を設定している場合、国から会社へ「小学校休業等対応助成金」が支給されることになっているため※1、積極的な活用が求められています。

このような有給休暇がない場合は自身の年次有給休暇を使用することになりますが、従業員代表を通じて特別有給休暇制度を設けてもらうことを会社側に提案してみるとよいでしょう※2。

もし、会社が遡って年次有給休暇を特別の有給休暇に振り替えてくれれば、その分だけ不測の事態に備えて年次有給休暇を温存できます。

※1 助成金という仕組みによる問題点は、前編「4.休業計画について労使協定を締結し、休業手当が支払われるか」をご参照ください。

※2 「小学校休業等対応助成金」は、2/27~6/30までの臨時休校等により小学生以下の子供の世話の為に特別有給休暇を付与した事業主に支給されます。

通常の年次有給休暇で処理していた部分も、現時点から遡って特別有給休暇扱いに切り替えることで会社に助成金が支給され、会社にとってもメリットがある制度であるため、労使協議により導入しやすい制度といえます。

育児休業給付金

原則として休業前賃金の67%相当額(育児休業開始から6か月経過後は50%を支給されます。

一方で、「保育所への登園自粛を要請された場合」と異なり、子どもが1歳6か月または2歳までの育児休業延長中の期間については繰り下げが法的には認められていない為、育児休業期間の繰り下げによる対応と給付金の繰り下げができません

例えば、当初1歳3か月までの育児休業延長を申請していた人が、「登園自粛を要請された場合」には、1歳6か月または2歳までの延長期間と給付金の受給期間の繰り下げが可能ですが、「自主的に休暇を取得した場合」には、延長期間の繰り下げは法的に認められていない為、給付金の受給期間は繰り下げられません

家族の介護等の為に自らの判断で休業

介護の為に休業した場合、生活を守るために得られるお金は、現在のところ雇用保険「介護休業給付金」があります。

こちらは、一定の介護が必要な状態にある対象家族を介護するために休業した場合に支給されます。

介護休業給付金

・ 原則として休業前賃金の67%相当額を支給

・ 最長93日間の介護休業について支給

・ 介護休業は、93日を最大3回まで分割して取得できる

介護は何年も続くケースがほとんどなので、介護休業の制度だけでの対応は難しい部分があります。

そのため、介護保険から受けられるサービスと併用して、例えば1か月ずつ3回に分けて休業を取るなど休業取得のタイミングをよく考えることが必要です。

特に現状は、新型コロナ感染者が発生したために介護施設が閉鎖されたり、自治体の要請でやむなく休業となっているところもあります。

こうした中では在宅介護の負担が高まっていますので、お住まいの自治体や地域包括支援センターに利用可能な支援制度について十分に相談しましょう。

例えば、(自治体により内容は異なりますが)自宅介護のために介護用具を購入したり、紙おむつなどの負担の大きい消耗品について助成金を受けられる制度があります。

コロナ支援は変化する

コロナ支援は変化するのでしっかりチェック

新型コロナ感染症に関する社会保障制度は、利用者の利便性の観点から、増設あるいは要件緩和されるなど刻々と変化しています。

一方で、そうした増設や要件緩和が「案」の段階からどんどん先出しされていくことで情報が錯綜し、自分で考えて判断するために必要な「正確な情報へのアクセス」が困難になってきていることも感じます。

最新情報を取り込み、必要な支援をしっかり受けてください。(執筆者:社会保険労務士 今坂 啓)