新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言が発令され、当初5月6日までの予定だったものが延期となり、3密につながる会合の開催は自粛を求められています。

定時株主総会も12月決算企業が対象だった3月頃は、通常開催した企業もかなり目立ちました。

2月決算企業・3月決算企業は開催時期が5~6月となる上、4月以降に行う決算作業が遅れているため、決算報告を含めて延期を予定する上場企業がかなり出ています

株主総会の延期だけであればあまり気にしない個人投資家も多いでしょうが、配当・優待が予定通りもらえないとなると困ったことになります。

もらえなくなることが現実化してきているため、なぜそうなるかを理解するとともに、自分の投資先からもらえない状態になっていないかチェックした方がいいです。

配当・優待狙いで再投資が必要な事例

基準日に向けて改めて再投資が必要

3月に配当・優待狙いで株式を取得し、その後すぐに手放した企業が期末配当基準日をずらしてしまった場合、その基準日に向けて改めて再投資が必要になってきます。

2020年5月31日(日)が基準日であれば、権利付き最終売買日は5月27日(水)です。

4月末で判明している範囲であげると、5月末を配当基準日としたのが、オリンパス(証券コード:7733)・ナンシン(7399)・サンリツ(9366)です。

その他自分の投資先が該当しないか、投資先のWebサイトIR情報で確認しましょう。

ただ業績悪化が原因で無配の方向にしたうえで、株主に影響が無いように基準日をずらすことも考えられます。

例示した3社は有配の方向ですが、無配なら再投資の意味は無いので、会社の方向性はきちんと確認しましょう。

また基準日をずらすような企業は、今後の情勢変化で再度ずらすことも考えられますので、投資に値するかもよく考えたほうがいいです。

なぜこのようなことが起こるかは、定時株主総会の延期が関わってきます。

定時株主総会で報告する決算の遅れ→延期

定時株主総会の大きな目的としては、配当額の決議・役員の選任・決算報告などが挙げられます。

株主総会自体が屋内で人が密集してしまうので、新型コロナ感染を広げてはならないという状況下で開けないということもあるのですが、経済産業省は小規模であっても会場を設けるという条件でオンライン株主総会が会社法上認められるとしています。

ただオンライン総会であったとしても決算報告できないのでは、定時株主総会を開く意味があるのかという問題につながります。

基準日から3か月以内には開催する必要がある

基準日から3か月以内には開催する必要

定時株主総会の開催は、基準日から3か月以内に行わないといけません。基準日現在の株主が、3ヵ月以内に議決権を行使できるようにするためです。

基準日は事業年度末とすることが通例です。3月決算企業であれば3月31日に設定されます。

このため定時株主総会を延期するために、基準日もずらそうという発想が出てくるのです。

配当受取りには基準日に株式を保有している必要がある

ところで、配当を受け取るには基準日時点で株式を保有していなければいけません。

当初の基準日には保有していたものの売却してしまい、その後会社側が基準日変更を決めた場合、配当はもらえません

ただし(株主総会の)議決権基準日と期末配当の基準日は一致している必要はありません。
議決権基準日が変更されても、期末配当の基準日がそのままであれば、配当をもらえる権利は当初のままです。

基準日を後ろ倒しする上場企業が現れ始める

3月決算企業の株主総会招集通知は、早ければ5月には株主に送付されます。

その時期を前にして、定時株主総会の延期を決め、実際に基準日を変更する大手企業が現れています

例えば、冒頭にあげた企業のうちオリンパスは基準日を5月末に設定したうえで、定時株主総会を7月下旬に延期することにしました。

日本板硝子(5202)は、期末配当基準日を3月31日のまま議決権基準日に6月4日にしたうえで、定時株主総会を7月以降に延期することにしました。

金融庁は株主総会の2回開催も求めている

金融庁は株主総会の2回開催も求めている

最後に、日本の官庁側が企業に求めていた動きを紹介します。

期末配当基準日をずらして配当がもらえないとなると、配当期待を侵害したとして株主から訴訟を起こされるリスクもあります。

金融庁は上場企業に総会の延期だけでなく、2回の総会開催を推奨していました。

1回目は当初の予定通りに開催し、期末配当額の決議・役員選任を行います。2回目は継続会として決算報告を行います。

かつて不適切会計で問題になった東芝(6502)ですが、子会社の東芝テック(6588)は決算報告ができなかった2015年には6月に決算報告なしの定時株主総会を開き、7月の継続会で決算報告を行いました。

なお親会社の東芝は、決算報告を継続会でなく、9月の臨時株主総会で行いました。(執筆者:石谷 彰彦)