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【障害厚生年金】は「障害等級3級」でも受給可能 受給要件と金額「障害者特例」について解説

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【障害厚生年金】は「障害等級3級」でも受給可能 受給要件と金額「障害者特例」について解説

年金相談を受けていると

「医者から障害等級3級では、障害年金は受給できないと言われた」

このような話しを耳にすることがあります。

さて、このお医者さんの言っていることは正しいのでしょうか。

今回は、年金の中でも特に知る機会の少ない、障害厚生年金を説明します。

【障害厚生年金】「障害等級3級」 でも受給可能

障害年金の仕組み

障害を認定された場合に受給できる年金には、

・ 国民年金から支給される「障害基礎年金」

・ 厚生年金を納めていた場合に支給される「障害厚生年金」

の2種類があります。

「障害基礎年金」は障害等級1級2級が対象ですが、「障害厚生年金」は障害等級1級2級、そして3級であっても対象です

従って、お医者さんが「障害等級3級では障害年金は受給不可」と言っているのは誤りだということになります。

「障害厚生年金であれば受給可能だ」とアドバイスをくれればよいのですが、恐らく年金の仕組みを分かっていないのかもしれません。

障害基礎年金「障害等級表」

≪画像元:厚生労働省

障害厚生年金「障害等級」

≪画像元:日本年金機構

「障害厚生年金3級」の受給要件と金額

「障害厚生年金3級」の内容を見ていきましょう。

受給対象者

次の3つの要件を満たし、「障害等級3級」と認定され、障害手帳の交付を受けると受給対象です。

1. 厚生年金加入期間中に、障害の原因となった病気やケガについて医師の診療を受けた日がある(これを初診日と呼びます)。

2. 一定の障害状態が続いている。

3. 初診日において65歳未満であり、過去1年間に年金の未納がない。

受給額

厚生年金の加入期間によって金額が変わってきます。

最低保証額が定められており、最低でも年間58万6,300円が支給されます。

また、「障害厚生年金3級」は在職中であっても受給可能です。

障害厚生年金「年金額」

≪画像元:日本年金機構

このケースは「受給可能か?」相談を受けた実例

実際に「障害厚生年金3級」で受給できたケースと、できなかったケースを見てみましょう。

【ケース1】

「10年前に脳出血をやってしまい、右手麻痺が残り障害等級3級と認定された。以後10年間、障害厚生年金は受給していない」

→ このケースは受給可能、後述しますが年を遡っての請求も可能です。

【ケース2】

「交通事故により足指に若干の後遺障害あり、障害認定の手続きはしていない」

障害認定を受け、障害手帳を申請しなければ「障害厚生年金」は受給できません

手帳を持っていると割引やサービスを受けられるので、早急に申請することをおすすめします

【ケース3】

「うつ病により精神障害3級と認定された」

→ 最も難しいケースです。

近年は精神障害による障害年金の申請許可が通りにくくなっており、周囲と同じように仕事をしていると申請は通らず受給できない可能性が高いのです。

しかし、症状が重く、解雇されるほど仕事にも影響を及ぼし、医師の診断書にも明記されていれば受給できる可能性はあります。

診断書(精神の障害用)

≪画像元:日本年金機構「診断書(精神の障害用)(pdf)」≫

記載要領(精神の障害用)

≪画像元:日本年金機構「記載要領(精神の障害用)(pdf)」≫

遡っての請求はできるのか

【ケース1】の場合、過去10年間は「障害厚生年金」を受給していないことになります。

過去10年分を遡っての請求は可能なのでしょうか。

残念なことに過去10年分を遡っての請求はできません

しかし、過去5年分であれば遡っての請求は可能です。

このケースでは過去5年分を請求し、300万円程の受給に成功しました。

障害者特例も受けられる

年金を60歳から受給してしまうと、65歳から受給する場合に比べて年金受給金額が70%ほどに減額されてしまいます。

一方、障害年金受給者の場合には、60歳から年金を受給したとしても65歳と変わらず満額が支給されるのです。

これを「障害者特例」と呼びます。

「障害厚生年金3級」であっても、「障害者特例」は同じように受けられます。

厚生年金保険障害者特例・繰上げ調整額請求書

≪画像元:日本年金機構「厚生年金保険障害者特例・繰上げ調整額請求書(pdf)」≫

障害年金の申請はどうすればよいのか

社会保険労務士に一任してしまうと、作業手数料として10万円ほどの費用が発生します。

おすすめは地元の日本年金機構に相談することです。

書類を自分で作成することにはなりますが、書類作成のアドバイスはしてもらえますし、お金が掛からないのは大きいことでしょう。

「障害者特例の恩恵は大きい」該当するなら申請を

「障害厚生年金」を受給できる立場に居ながら、受給していない人を多く見かけます。

年金制度は複雑ゆえに知る機会が少ないのも原因の1つなのかもしれません。

障害年金は非課税で、受給しても会社にばれてしまうこともありません。

障害者特例の恩恵も大きいので、受給要件を満たしているのなら必ず申請するようにしましょう。(執筆者:1級FP技能士 高橋 隼人)

《高橋 隼人》
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高橋 隼人

高橋 隼人

青山学院大学国際経済学部卒業後、都市銀行に就職。銀行での業務を通じて長期的な資産管理の重要性を肌で感じ、ファイナンシャルプランナーを目指す。以後、銀行内のFP部門にて10年強に渡り個別年金相談、資産運用相談、住宅ローンの提案、セミナー活動などの業務を行い、実践の中でFPとしての経験を積む。2018年に独立。現在はFP業務として幅広い分野のライフプランの相談や、金融機関での講師活動を行っている。 <保有資格>AFP・1級ファイナンシャルプランナー・年金アドバイザー・第1種証券外務員 寄稿者にメッセージを送る

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