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【自己都合退職者の方必見】優遇される「公共職業訓練」受講について

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【自己都合退職者の方必見】優遇される「公共職業訓練」受講について
「やりたい仕事があるけど、未経験だと心配」

「正社員の就職先を探しているけど、見つからない」

ということもあります。

そのような時は、雇用保険の加入期間などの要件を満たして、離職した場合、無料で就職につながる職業訓練を受けられます

しかも失業保険を受給しながら受講できる可能性もあります

自己都合退職者の方へ

公共職業訓練の概要

公共職業訓練の概要を詳しく解説いたします。

職業訓練について

職業訓練は、失業保険の受給者を対象とする公共職業訓練」と失業保険の対象ではないまたは受け終わった者を対象とする求職者支援訓練」の2つに分けられます。

この2つを総称して「ハロートレーニング」と呼んだりします。

さらに公共職業訓練は、

「離職者訓練」
「学卒者訓練」
「在職者訓練」

の3つに分けられ、本記事では主に、公共職業訓練の「離職者訓練」について解説していきます。

公共職業訓練の種類

公共職業訓練は、年間約30万人の方が受講しています。

訓練の種類別にそれぞれ概要を見ていきましょう。

訓練の種類別の表

「離職者訓練」は、原則無料で受講できます。

受講者数を見ると、「離職者訓練」が1番多いですが、「在職者訓練」も訓練期間が2~5日と短いこともあり、年間10万人近くの方が受講しているという状況です。

公共職業訓練の対象者

「離職者訓練」の受講希望者は、ハローワークから「受講指示」を受ける必要があります

原則、受講指示を受けるためには、次の要件を満たす必要があります

1. 雇用保険の所定給付日数の2/3に相当する日数分(※)の基本手当の支給を受け終わる日以前に、受講が開始されること

2. 雇用保険の加入期間が1年以上あること

3. 以前に公共職業訓練を受講したことがある場合は、前回の訓練修了から1年以上空いていること

※所定給付日数が90日の場合は90日分、120日または150日の場合は120日分、240日以上の場合は150日分を受け終わる日までに、受講を開始すること。


訓練中の手当

公共職業訓練を受講している間は、失業保険だけでなく「受講手当、通所手当、寄宿手当」を受給できます。

受講手当

受講手当は、求職者が公共職業訓練を受けた日(基本手当の支給対象日に限る)について、日額500円を最大40日分(2万円まで)受給できます。 

通所手当

公共職業訓練を行う施設までの交通費を上限4万2,500円まで受け取れます。

訓練校まで片道2キロ以上あれば、電車、バス代、自転車、自家用車いずれも受給できます。

寄宿手当

公共職業訓練を受けるため、家族と別居して生活している場合、月額1万700円について受給できます。

訓練内容一覧

職業訓練の一覧

職業訓練のコースはさまざまで、東京都民間委託訓練だけでも200以上のコースがあります

自分に合った訓練を見つけられるように、主なコースを紹介したいと思います。

主なコース種類

・ パソコン・オフィス系
・ IT・WEB制作系
・ 介護福祉士課程
・ 保育士課程
・ 調理・美容などの専門系
・ 宅建・不動産系
・ 医療事務関係

人気のコース

人気のコースは、IT・WEB制作、宅建・不動産などのコースでしょう。

WEBサイト制作などのコースは、いまの時代に合った特に人気のあるコースです。

年によっては、倍率が10倍を超えるコースもあるので、応募する前に過去の倍率など情報を集めておく必要がありそうです。

就職につながりやすいコース

専門的な資格が取れるコースや人手不足の業界と精通している訓練は、就職につながりやすいコースと言えるでしょう。

特に介護や保育士と言った人手不足が深刻な資格は、コース数も多く応募者が分散されるので、倍率が低くなる傾向があるのでオススメです。

前年の倍率が高いコースはねらい目

人気のあるコースでも昨年の倍率が高いと、意外と人が集まらず入りやすいこともあります

次の表は、2019年の倍率1.6倍以上あるコースを、2020年の同コースの倍率と比較したものです(参考は東京都の委託訓練応募状況の4.5月の資料)

倍率と比較の表<br />

≪画像元:TOKYOはたらくネット

6コース中4コースの倍率が下がっていることがわかります。

コースによって差はありますが、前年の倍率が高いと、敬遠される傾向にありそうです。

参考にしてみてください。

ただ、コース選びの際は、人気や倍率に捉われすぎるのも良くありません。

大事なのは、自分に向いているのは何か、どのコースなら続きそうかということです。

自己分析をしっかりして、訓練を選定するようにしてください

またコースは「ハローワーク・インターネットサービス」で検索できます。

参照:ハローワーク・インターネットサービス

受講者のメリット

受講者のメリット

公共職業訓練を受講すると、就職につながるスキルや資格を取得できたり、同じ境遇の仲間と出会えたりすることもあるかもしれません。

ただ、受講するメリットはそれだけではありません。

離職者のほとんどの人が知らないメリットを3つご紹介したいと思います。

3大メリット

1. 給付制限が解除される

2. 訓練終了まで失業保険が延長される

3. 毎月1回ハローワークに行く必要がなくなる

1. 給付制限が解除される

解雇などの会社都合により退職した場合は、手続きを済ませればすぐに失業保険を受給できます

しかし、一身上の都合により自己都合で前職を退職した場合、3か月間は失業保険を受給できません。

これを「給付制限」といいます。

これは職を転々としながら失業保険をもらうことを防止するための制度です。

ただ、ハローワークの紹介による公共職業訓練を受講すると、3か月の給付制限は解除されることになっているのです。

この制度を知っている方はほとんどいないと思います。

ただし、退職してから訓練が開始するまでの間は、給付制限がかけられることは覚えておきましょう

給付制限をなるべくカットするには、事前準備が必要です。

退職日を決める前に、受講したい訓練コースにめぼしをつけて、それに合わせて退職届を提出すべきです。

職業訓練の申し込みは、訓練開始までに退職することが確定していれば、在職中でも受け付けてくれます。

退職後の手続きなどもあるので、退職日から2週間後ぐらいに開始される訓練があるとベストです。

2. 訓練終了まで失業保険が延長される

ハローワークの紹介により公共職業訓練を受講している場合、途中で失業保険の所定給付日数の残日数が切れたとしても、訓練終了まで(最大2年間)延長される仕組みになっています。

公共職業訓練は、ほぼ3か月か6か月のコースになるので、所定給付日数が90日の自己都合退職者は、最大180日か270日分の失業保険が受けられることになります。

だたし、これには2/3ルールというものがあり、具体的には一部例外の除き、所定給付日数の2/3の手当を受け終えるまでに、訓練を開始しなさい、というルールのことです。

必要な残日数は、以下の表で確認するようにしてください。

必要な残日数の表

3. 毎月1回ハローワークに行く必要がなくなる

失業保険を受給すためには、月に1回ハローワークに行って、失業認定を受けなくてはなりません。

訓練期間中であっても、同様です。

しかし、訓練期間中は訓練校が失業保険の受給手続きを代行してくれるため、失業認定日にハローワークに行く手間を省け、時間を有効活用できます。
 

注意点と申請方法

申請までの流れ

注意点と申請方法を詳しく解説いたします。

肝に銘じるべき3か条

公共職業訓練を受講する前に次のことを肝に銘じてください。

1. 絶対受講できると思うべからず

公共職業訓練は、無料で受講できるということもあり、受講したくてもできない人がいるのも現状です。

そしてほとんどの訓練校では試験が行われ、訓練に付いてこられるか、訓練を受講することが就職の促進につながるのかを筆記試験と面接によって判断されます。

ある程度、勉強をしておくことと訓練を志望した理由などを答えられるよう、事前の準備も必要となります。

2. 訓練に専念すべし

職業訓練は原則、平日の9時から17時まで行われるため、就職するのと同じぐらいハードです。

「興味はないけど、とりあえず受講するか」などの生半可な気持ちでは、続けることはまず無理でしょう。

1番大切なのは、自分が何に興味があって、何だったら続けられそうか、訓練受講後、就職している自分がイメージできるかです。

身につけたことは一生ものです。

こうありたいという自分をイメージしながら、訓練に励んでください。

3. 就職は長期戦と思うべし

当然、訓練が終了するまでは就職はできません

職業訓練を受講するということは、就職が遠のくということです。

失業保険を受給できても、家庭がある方はそれだけで生活するのは難しいと思います。

ある程度の貯蓄も必要となります。

訓練を受けるか就活をするかは、家族とよく相談してから決めるべきでしょう。

申請までの流れ

申請までを6ステップで解説します。

ステップ1:求職の申込み・職業相談

・ 退職後、離職票を持って、ハローワークに求職の申込みに行きます。

・ 訓練の説明を受けたり、パンフレットをもらうなどしてコースを決定しましょう。

・ 希望の訓練が決定したら、説明会や見学会に参加しましょう

面接の際、参加の有無を聞かれることもあるので、必須と言えます

ステップ2:受講申込み

訓練受講申込書を記入して、ハローワーク経由で受講の申込みをします。

ハローワークが訓練を受ける必要性、受講するための能力の有無を判断し、場合によっては受講指示が下りないこともあります

※退職日が確定している場合は、在職中でも事前に申込みができます。

その際はステップ1と前後することもあります。

ステップ3:筆記・面接試験の受講

筆記と面接試験をするところがほとんどです。

特に面接が重視される傾向にあるので、志望動機などの想定できる質問の対策はしておきましょう

当日の服装は、社会人としてスーツで行くのが常識でしょう。

ステップ4:選考結果通知

選考結果通知が届きます。

通過後はステップ5へ続きます。

ステップ5:訓練の受講あっせん

通過後は、ハローワーク経由で手続きをします

手続きが遅れると、受講できなくなる場合がありますので、余裕も持って行うようにしてください。

ステップ6:公共職業訓練の受講開始

そしてめでたく受講開始となります。

キャリアアップを目指しましょう

本記事を最後まで読んでいただいた方は、退職後にすぐ就職するだけではなく、公共職業訓練を受講することも、選択肢の1つであることを理解していただけたのではないでしょうか。
 
ただ数か月間何か1つのことを継続するのは、決して容易なことではありません。

その訓練に本気で向き合う覚悟が必要です。

そして何より自分と向き合ってほしいと思います。

苦労の先にキャリアアップがあります。(執筆者:社会保険労務士 須藤 直也)

《須藤 直也》
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須藤 直也

須藤 直也

大学卒業後、専門商社で7年間営業を経験し、その後現職である運送会社の総務部に転職。そこで労務管理や労働保険・社会保険の手続きなどの実務を経験しながら、社会保険労務士試験に合格。これまでの経験を生かして、生活に欠かせないお金や社会保障に関する正確な情報を発信していきます。 【保有資格】社会保険労務士 寄稿者にメッセージを送る

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