前職を退職してから就職するまでの間、一番頭を悩ませるのが生活費です。

たとえ失業保険の手続きをしても給付制限によりすぐに受給できなかったり、退職時の賃金の半分程度しか受給できなかったりと頭を抱えている人も少なくないことでしょう。

そのような焦りから希望してない会社に就職してしまうというリスクも考えられます。

本記事では、退職後の生活保障のため失業保険を受給しながら、アルバイトをする方法を解説します。

失業保険を受給しながら「最大限に収入を得る」方法

失業保険受給中でもアルバイト収入を得られる

失業保険を受給中でも、次の4つのルールをきちんと厳守すればアルバイトで収入を得ることが可能です。

【アルバイト4か条】

1. 7日間の待機期間中は絶対しない

2. 雇用保険に加入できない範囲まで

3. 1日4時間ルール

4. ハローワークへの申告を怠らない

1. 7日間の待機期間中は絶対しない

失業保険を受給する際に退職事由に拘らず7日間の待機期間があります。

待機期間は失業しているかの様子見の期間になので、アルバイトは絶対禁止です。

その間に少しでも収入があると待機期間が延長されるので注意してください。

ただし、離職してからハローワークに求職の申込みをする前の期間にアルバイトすることは差し支えありません

2. 雇用保険に加入できない範囲まで

待機期間が終了すればアルバイトをすることは可能ですが、就職とみなされない程度の就労に留めなければなりません

就職とみなされるか否かの判断はハローワークの担当者によりますが、原則は雇用保険の加入要件を満たしたかどうかで決まります。

雇用保険の加入要件

・ 1週間の所定労働時間が20時間以上

・ 同一の事業主に継続して31日以上雇用される場合

以上の条件を満たすと雇用保険に加入しなければならないので、失業保険が停止されてしまいます。

契約締結前に雇用契約書の労働時間と雇用期間を必ずチェックするようにしましょう。

3. 1日4時間ルール

1日の労働時間によって就労か内職かに区別されます。

その労働時間の境目が4時間です。

4時間未満を内職、4時間以上が就労として扱われます

内職の場合は、前職の収入や1日のアルバイト代によって失業保険が全額支給されるか、減額か不支給かが決まります

詳しい計算方法については「一番得するアルバイトの仕方」で例題に沿って解説します。

ハローワークに申告する際にも就労と内職した日をそれぞれ申告する必要があります。

失業認定報告書

≪画像元:厚生労働省職業安定局「失業認定報告書(pdf)」≫

また、4時間以上の場合には金額に拘らず先送りになりますが、不支給になるわけではありません。

原則的には離職した日の翌日から1年以内が失業保険の受給期間です。

その期間内にハローワークから失業認定を受けた日に繰り越されて、支給されることになります。

4. ハローワークへの申告を怠らない

アルバイトをする場合には、ハローワークへの申告が必要です。

申告しないとペナルティを課せられることもあります。

無申告が発覚するというのはあまり聞いたことがありませんが可能性は十分にあります。

雇用保険の被保険者はハローワークで把握できるので、雇用保険に加入した時点で分かるのです。

また、失業保険をもらいながらアルバイトをしていることを友人やバイト先で話すと密告されるケースがあります。

このような身内からの密告によって発覚するケースは意外にも多いようです。

週に何日アルバイトをしてよいのかは、ハローワークの判断に任されています。

アルバイトをする際には、事前にハローワークの窓口へ相談するようにしてください。

雇用保険に加入した時点で分かる

基本手当の金額と計算方法

ここからは失業保険(正式には基本手当という)について解説します。

失業保険の金額

失業保険は、「ハローワークが失業と認定した日」の分が日額で支払われます。

計算式は次のとおりです。

【失業保険(基本手当)の計算式】

(a) 失業保険の日額 = (b)賃金日額 × (c)給付率

(b) 賃金日額は、退職前6か月間の給与の総額 ÷ 180(30日 × 6か月)

(c) 給付率は50~80%(60~64歳は45~80%)賃金日額が高いほど給付率は低くなる

失業保険金額計算の事例

次のような前提で失業保険の金額を計算してみましょう。

【前提】

離職時の年齢:32歳

退職事由:自己都合による退職

退職前6か月間の給与総額:270万円

【失業保険(基本手当)日額の算出】

(b)賃金日額 = 270万円 ÷ 180日 = 1万5,000円

(a)失業保険の日額 = 15,000円 × (c)給付率50% = 7,500円

※給付率の算出方法は、厚生労働省/基本手当日額計算方法を参照してください。

雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

≪画像元:厚生労働省「雇用保険法改正リーフレット(pdf)」≫

自己都合と会社都合退職でのバイト可能期間

自己都合・会社都合退職ともに待機期間以外はアルバイトできます。

念のためにアルバイト可能期間を見てみましょう。

退職理由によるアルバイトの可否

失業保険受給中に最大限に収入を得る方法

失業中の生活を考えると誰しもができるだけ多くの収入を得たいと思うものです。

次は、失業保険を受給しながら最大限に収入を得る方法について解説します。

1番得するアルバイトの仕方

先ほど述べたように失業保険を受給中は、1日の労働時間によってアルバイト(就労)か内職かに区別されます。

労働時間によってアルバイトか内職かに区別

つまり失業中に収入を得る場合には、

・ アルバイトをしながら時間をかけて失業保険をもらいきる

もしくは

・ 内職した日に収入額を気にしながら失業保険を受給する

の2パターンになるというわけです。

前職の賃金日額が1万5,000円以上(基本手当についての例題)の方は、失業保険を全額受給できる範囲内で労働時間を4時間未満に抑えることをおすすめします。

失業保険と収入額を最大限にする方法

前職が高収入だった方は、失業保険を受給しながら月に10万円以上の収入を得られる可能性があります。

では、前職の賃金日額が1万5,000円以上の方は、失業保険が減額されない収入限度額がいくらなのかを見ていきましょう。

前提条件

(a) 基本手当日額 = 1万5,000円(賃金日額)× 給付率(50%) = 7,500円

(b) 前職の賃金日額の8割 = 1万2,000円(減額されない限度)

(c) 控除額 = 1306円(令和元年8月現在)

【最大収入日額 =((b) – (a))+ (c)】

(1万2,000 – 7,500) + 1,306 = 5,806円

もしハローワークから許可がおりて、月20日間働ければ最大11万6,120円(5,806円 × 20日)の収入を得ることが可能です。

その際には改めて次のことを忘れないでください。

・ 1日の労働時間は4時間未満に抑えること

・ 雇用保険被保険者の要件を満たさないこと

・ 事前に週何日働いていいかをハローワークに確認しておくこと

不正受給には注意

失業保険受給中のアルバイトは、気を付けないと不正受給として扱われるケースもあります。

もし、申告漏れや虚偽の申告などをした場合には、不正行為があった日以降、失業保険を一切受給できず、不正に受け取った金額を返還しなければなりません

さらに悪質だと判断されれば、それに加えて不正受給した額の2倍の額の納付を命ぜられることもあります。

これが噂の3倍返しと言われるものです。

「ルールをきちんと守る」、「虚偽の申告をしない」というのは当たり前のことです。

決して厳しい決まりではありませんので、ルールの範囲内で生活費を稼ぐようにしましょう。

次のキャリアに繋げるための知識

これからの社会情勢によっては、失業してから転職するまでが長期戦になることも考えられます。

そうなると生活費が底をつき、焦ってブラック企業に就職してしまうといったリスクもあります。

失業保険をもらいながら最大限に収入を得るための知識は必要不可欠です。

本記事が1人でも多くの方の生活維持とキャリアの向上に繋がることを願っています。(執筆者:社会保険労務士 須藤 直也)