医療保険では「日帰り入院からOK」とよく聞くけれど、「日帰り入院」と「通院(外来)」の違いがよく分からないと思っている人もいるのではないでしょうか。

また、「外来手術は、日帰り入院扱いにしてもらったほうが得!」だと言われますが、何がどのくらい違うのでしょうか。

今回は、「日帰り入院」で得すること・損することについて詳しくお話ししましょう。

【医療保険】「外来手術」は「日帰り入院扱い」にした方が得なのか?

日帰り入院の定義

日帰り入院とは、「入院日と退院日が同じ入院」を指します。

保険の支払い対象となる入院の定義は、

入院設備のある医療機関で、医師が必要を認めて病室に入院し、治療を行うこと

です。

しかしながら、外来扱いの治療や休憩でも病室やベッドを使用することがあります。

病室で数時間過ごしただけでは、入院かどうかは判断できません。

では、どこで判断すればよいのでしょうか。

入院かどうかの判断は領収証を確認

医療機関で精算時に発行される「領収証」を見てみましょう。

「入院料」の欄に点数記載があった場合が「入院」です。

何時間もベッドを使用していても、この欄に点数が入っていない場合は「外来」です。

領収書

日帰り入院かどうかが影響する保険

「外来」と「日帰り入院」の見分け方は分かっても、患者の立場では「その日のうちに帰る治療」であまり違いはないようにも思えます。

ところが、医療保険の支払いには大きな影響があります。

次のような保険に加入している場合に受け取れる給付金の違いを見てみましょう。

日帰り入院対応の医療保険に加入している場合の支払い例

次のような医療保険の前提で、日帰り入院と外来で受け取れる保険金額を見てみます。

前提【加入している医療保険】(日帰り入院対応)

・入院日額:5,000円

・入院一時金:5万円

・手術給付金:入院:20倍・外来:5倍

・通院給付金:3,000円

※その他の保障・特約については、割愛

※2020年6月時点の商品・法令・医療制度による

【受けた治療】

・ 内視鏡によるポリープ切除

・ 経過観察のため、手術後7日目に1回外来診察あり

※その他、支払い対象となる条件は満たしているものとする

支払われる金額:日帰り入院の場合

・ 入院給付金日額(1日分):5,000円

・ 入院一時金(1回分):5万円

・ 手術給付金(入院:20倍):10万円

・ 通院給付金(1回分):3,000円 

合計:15万8,000円

支払われる金額:外来の場合

・ 入院給付金日額:0円

・ 入院一時金:0円

・ 手術給付金(外来:5倍):2万5,000円

・ 通院給付金:0円

合計:2万5,000円

通院給付金は、「外来治療」では支払われない

医療保険で指す「通院」とは、

入院給付金を支払う入院があった場合に、同じ治療に伴う通院のこと

です。

保険会社によって「入院後の通院」や「入院前後の通院」などの違いはありますが、入院を伴わない通院(外来)に対して支払われるものはありません

損害保険で扱う「傷害保険」では「外来治療」のことを「通院」と呼び、「通院給付金・通院保険金」が支払われるため、勘違いしている人もいるかもしれません

支払い対象にならない日帰り入院もある

支払い対象にならない日帰り入院もある

領収証などで「日帰り入院」であることが確認できても、支払い対象にならない場合もあります

保険が日帰り入院非対応の場合

近年主流の入院保障は「日帰り対応」ですが、「1泊以上の入院から」としている保険会社もあります。

中には、入院保障を「5日未満:一時金・5日以上:日額」としているものなど、保険会社によってさまざまです。

手術内容が支払い対象外の場合

入院保障は「日帰り入院対応」であっても、手術内容によって支払われない場合もあります

「公的医療制度」対応の医療保険は、ほとんどの手術が支払い対象

「公的医療制度対応」とは、つまり「健康保険適用」の治療に対応しているという意味で、約1,000種類以上の手術が支払い対象です。

そのため、手術の内容を気にする必要はありません

ただし、傷の処理や抜歯などの「軽微な手術」、疾病を直接の原因としない不妊治療や美容整形など「治療を目的としない手術」は支払い対象外です。

保険会社によって術名や保険点数が決められている場合もある

「所定の手術」、「88種の術名に対応」としている医療保険では、術名によって支払われるかどうか判断されます。

また、公的医療保険制度対応ではあるものの「保険点数○点以上の手術」といった基準を設けている場合は、日帰り入院で済む程度の手術では点数不足になる可能性もあります。

日帰り入院と外来のボーダーラインは医師の判断による

「入院が必要かどうか」は、担当医師の判断によります。

たとえば、「○時間以上病室を使った場合は入院」などといった明確な基準はありません。

治療のために病室やベッドがあっても、「入院設備のない医療機関」もあります。

その場合には当然のことながら入院扱いにはなりません。

医師に頼んで「日帰り入院扱いにしてもらう」のは得なのか

前述の支払い例を見ると、確かに「日帰り入院」のほうが給付金額は多くなります。

しかしながら、「入院料」が加算される分、医療費そのものも外来より高くなっています

必ずしも得だとは言えません

医師は、治療のために、あなたの体のために「入院か、外来か」を判断しています。

給付金額を目的として変更を要求する行為はおすすめできません。

医療保険は、日帰り対応で準備万端に

外来治療をわざわざ入院に変える必要はなくても、手持ち保険を最新のものに変えておくことは重要です。

保険会社が「日帰り入院対応・公的医療保険制度対応」の保険を扱っていても、お手持ちの保障が古い契約のままではせっかくの最新装備が使えません。

こまめに確認しておきましょう。(執筆者:仲村 希)