コロナ禍によって新しい生活様式が提唱され、身の回りを見直す時期にきていると感じます。
ここでは、住宅ローンについて考えてみたいと思います。
金利を下げる方法として「借換」がありますが、今回紹介するのは
です。
そのようなことができるのでしょうか。
大事なのは金利を「下げてもらう」ではなく「下げさせる」ことです。
言葉は少し違うだけですが、そこにはものすごい違いがあるのです。

目次
銀行が金利を下げる時
銀行で住宅ローンの金利が下がるのは、主に以下の場合が考えられます。
・ 変動金利型ローンで、基準となる金利(「基準金利」、「規定金利」など)の低下に連動してローン金利が自動的に下がる場合
・ 銀行に金利を下げさせる場合
変動金利型が自動的に変わるとき以外には、こちらが黙っている限り住宅ローンの金利は下がりません。
「下げさせる」には、交渉や駆け引きが必要です。
銀行員の立場で交渉された経験から秘訣を教えます。
秘訣1:「借り換えするかも?」と匂わせる
借り換えを匂わせるには、金利への不満を訴えるだけでよいのです。
と、切り出すだけです。
これだけで十分な事情は、銀行員の人事評価に関係があります。
銀行員の人事評価には、融資実行額や新規融資獲得などのノルマ以外に「管理項目」というものがあります。
管理とは、
・ ローンや融資を肩代わりされないよう防衛すること
です。
ノルマ至上主義の弊害が問題になったことも影響していますが、最近の銀行は、営業成績以外の管理項目でも人事評価するようになって来ました。
従って、「自分の実績にはならないから」という事情で金利について取り合ってくれないといったケースも減ってきたようです。
・ 防衛できれば自分の評価も上がる
といった背景から、銀行員には金利の不満を訴えるだけで効果があるのです。
「金利高くない?」と言われると、銀行員はこう考える

1. 顧客は金利への不満を訴えている
2. 他の銀行と自分で比較して、借り換えを考えないだろうか
3. いや、もうすでに他行から借り換えを提案されているかもしれない
4. このまま放っておいたら防衛できない
5. 借り換えされるとまずい
6. じゃあ金利を下げよう
瞬時にここまで考えます。
そして「では、金利についてご相談しましょう」となります。
秘訣2:「損はしない」と思わせる
住宅ローンの金利を引き下げれば、当然ですが銀行の金利収入は減ります。
たとえば3,000万円の住宅ローン金利を2%から1%に引き下げれば、引き下げた1%分の金利収入が減ることになるのです。
金利収入が減る銀行は、その顧客がどれだけ「儲けさせてくれるのか?」を考えます、これが取引振りです。
取引振りがカギを握る
取引振りとは
ということです。
いろいろと取引をしていれば、金利も頑張って引き下げようとします。
たとえば、住宅ローン以外には何も取引がない顧客と、公共料金や定期預金、投資信託、クレジットカードなどを利用している顧客なら、間違いなく後者のほうが金利はより引き下げられます。
銀行員と金利交渉すると積立預金やクレジットカードなどを勧誘されるのは、こう言った「お土産」を求めているからです。
裏を返せば、銀行員の勧誘を断ると、金利交渉はうまく進まない可能性があるということです。
向こうも商売ですから、ここは注意してください。

秘訣3:「誠実さ」をアピール
これは秘訣というより注意事項ですが、延滞は絶対にダメです。
延滞とはローンの返済が遅れることで、1日でも延滞があれば金利引き下げは難しくなります。
延滞がある人は、
と見られてしまうからです。
延滞があれば新しいローンを組むのは難しいのです。
本当に返済が苦しいのであれば、それは家計が苦しい、つまり収入が十分ではないことを表しています。
借換といっても、借り換えるローンを新規に借りるので、当然その銀行で審査があるわけです。
現在の返済が苦しい人は、新しいローンの借入も難しいと思われます。
また、単にルーズで延滞しているのであれば、性格面で新規のローンは難しいことでしょう。
こうしたことから、延滞がある人の住宅ローン金利は下げてもらえませんので注意が必要です。
銀行員の本音
銀行員に話を切り出すことに躊躇しているなら、銀行員である私の本音をお話ししますので参考にしてください。
本音2:1番怖いのは、黙って借り換えされてしまうこと
本音3:他の銀行から住宅ローン残高と同額の振り込みがあり「借り換えしたから」と言われたら、もう終わり
本音4:「金利が高いから下げてよ」と言ってくれたら、すぐに対処するのに

私はこのような経験を何度もしています。
銀行員は金利交渉を敬遠しません。
むしろ金利への不満を教えてもらい、自分の人事評価を考えて、内心は感謝していることでしょう。
遠慮せず金利への不満を訴えて欲しい、本当にそう思っています。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)