開業届と青色申告の関係

仕事柄個人事業主さんの過去の確定申告書類を確認することがあります。

今年は新型コロナ禍に関する補助金手続関係もありその機会が多かったのですが、全員青色申告をされていました。

ところがその中で「開業届を出していない」という方が複数おられました。そこで、改めて青色申告と開業届の関係を調べてみました。

開業届を出さなくても「青色申告」できる

青色申告のメリット

ご存知の通り給与以外の所得がある人は「青色」「白色」のいずれかを選択して確定申告をしなければなりませんが、事業を営んだり、定期的にまとまった不動産収入がある人はたいてい青色申告(以下「青色」)を選択しています。

青色と白色申告(以下「白色」)の一番大きな違いは控除額の差です。

白色では所得から基礎控除額の38万円しか控除されませんが、青色では最大65万円の特別控除額があります。

さらに、青色の場合赤字を翌年に繰り越せます。

起業時はどうしても経費がかさみしばらく赤字決算になることは多いですし、今回のコロナ禍や災害のような予想外の出来事で赤字となることもあり得ます。

その赤字額を翌年以降3年間で発生した黒字額と相殺できるのは非常に助かります。

また、白色ではパソコンなど10万円以上の備品は減価償却でしか経費に計上できませんが、青色では30万円未満の備品購入をその年の経費として計上できる特例が使えます。

新たに事業を始める人には青色以外の選択肢がないくらい様々な恩恵がありますね。

青色申告のデメリット

少々手間がかかります

最大のデメリットは、帳簿づけ、提出書類の種類など会計業務の手間が白色より多いことです。

簿記の知識や帳簿づけの経験がない個人事業主で、自分で申告を行う人がぶつかる壁でもあります。

とはいえ、白色でも帳簿づけ自体は必要ですので、少し面倒でも複式簿記をものにして青色申告にするのがお勧めです。

もう一つ、来年度の申告から青色の特別控除額が65万円から55万円に減額になります。

一定の要件を充たせば65万円の控除は可能なのですが、その要件が電磁的記録の保存や電子申告などですので、ハードルが高いと感じる人もいるでしょう。

青色申告と開業届の関係

個人が事業を開始した場合、税務署に開業届を出す必要があります(所得税法第229条)。

義務規定ですが出さなくとも罰則はありません。そこでそのような条項を知らず開業届を出していない事業主もいると思われます。

一方、青色申告をするための承認申請には前提として開業届の提出が必要とされています。

ここで当初の疑問、「開業届なしで青色申告?」となるのです。

既知の税理士さんが担当した中には開業届を出さないまま10年近く青色申告をしてきた方がいます。(ちなみに今年必要があり開業届を提出したところ、開業年はちゃんと青色申告開始年と記載されていました。)最初に書いた私の経験からも、実際には開業届を出していなくても青色申告は可能なのだと思います。

しかし、法律上必要な届出であることには違いなく、今回の支援金のように「開業届を出した年」を記載が求められる手続きが今後もないとは言えません。

開業届を出した記憶のない方は、是非この機会に届出されることをお勧めします。(執筆者:行政書士 橋本 玲子)