今回は、コロナ感染拡大が再度意識されている相場の状態と夏枯れ相場を控えた注意点について解説していきたいと思います。

コロナ感染拡大で 「第二波懸念」

米国と中国が株式相場を牽引

世界各国でコロナ感染者数が急増している中、株式市場は各国中銀による過去最大規模の金融緩和により上昇を続けています

特に上昇が目立つのが、米国と中国株式市場であり、コロナ感染拡大に伴うEC市場の急拡大、半導体需要の増加が株高に大きく寄与しています。

中国においては、米中貿易戦争によるハイテク覇権争いを背景に、半導体関連企業に政府系ファンドを中心に手厚い支援を行っており、7月5日時点では2.2兆円の資本調達額となっています。

これは、19年度の調達額(1兆円弱)をすでに上回っており、今後さらなる急増が期待されています。

これを受け、中国株式市場は半導体関連株を中心に株価が急上昇し、これに追随する形で米国NASDAQ指数は過去最高値を更新しました

米国株式市場の動向

米国株式市場では、ハイテク関連株を中心に株高が継続しています。

特に目を引くのが、電気自動車の製造・販売を手掛けるテスラモーターズの動向であり、その株価は年初から約3倍まで急上昇、時価総額でトヨタ自動車を追い越し業界トップとなりました。  

また、半導体では米エヌビディアがゲームセンターの需要を取り込み米インテルを追随し、動画配信サービスを手掛けるネットフリックスの株価も上昇が続いています。

これは、コロナショックでの業界再編への期待からの上昇に加え、勝ち馬に早く乗らなければ今回の上昇に乗り遅れるという市場心理が働いているため、予想以上の株価上昇局面入りとなりました

ここで注意しなければいけないのが後者であり、上昇に焦って買いを入れている投資家がいるということには注意が必要です。 

こういった場合、過去の経験則から機関投資家は慎重に売り崩す機会を狙っている可能性が高くなります。

しかし、今年は例年とは異なる様相を呈していることから、過度な警戒は利益獲得機会を逃してしまう可能性がありますので、シグナルが点灯するまではこの上昇の流れに追随しておいた方がいいでしょう。

日本株式市場の動向

日本株式市場は、米国株高につられる形で2万2,000円台での推移が続いています

米国株式市場同様、ハイテク関連銘柄を中心に上昇は継続しており、半導体大手の東京エレクトロンや、欠陥検査装置で世界シェア1位のレーザーテック「クラウドサイン」を手掛ける弁護士ドットコムなどの上昇が注目を集めています。

これら銘柄群は、前述の米国半導体大手の株価上昇及び、米国でクラウドサインを手掛けるドキュサインの大幅高と連想される形で株価が上昇しています。

しかし、東京都では、コロナ感染者が過去最高の水準まで増加しており、油断できない状態が継続しています。

国や都は、財政的面で再度緊急事態宣言を発令する余裕はなく、8月上旬を予定していた「Go to トラベル」事業を前倒しで7月22日から実施することを決定するなど、コロナ抑制よりも経済再開に向けた動きに舵を切っています

このような情勢下では、各企業のコロナ対策としてのIT化がさらに勢いを増す可能性があり、コロナ関連銘柄への物色は継続する可能性が高くなっています

夏枯れ相場の注意点

夏枯れ相場には注意

例年、夏の長期休暇が近づくにつれ海外投資家は保有していたポジションを一部解消し、市場参加者が少なくなるため閑散相場となり日柄調整が入りやすくなる傾向にあります

通常であれば、夏枯れ相場時に株式を買い、海外投資家が戻ってきた段階での上昇を期待することができました。

特に、今年は米国大統領選が11月に控えていることから、年末高が市場関係者の間では期待されています。

しかし、今回のマーケット環境は大きく異なり、株式市場は高値を付けていることに注意が必要です。

現在の相場環境は、米国主導での上昇局面であり、金融市場にヘリコプターマネーが飛び交っているからとはいえ、機関投資家による楽観相場を狙った売り仕掛けが入る可能性に十分に留意する必要があります

それを予測する上で重要となってくるのが、前述に挙げた米テスラモーターズなどの急上昇中の銘柄の動向であり、テクニカル的に夏季休暇前に調整局面入りしそうな値動きをしてきた段階では注意が必要かもしれません。

例年にない株価上昇局面のため注意が必要

以上より、現在の世界株式市場は、米国と中国の巨額の金融緩和および各企業の勢力分布の大幅な変化により非常に強い相場環境となっています。

しかし、例年にない株価上昇局面であることから、機関投資家は「夏の長期休暇前に大幅な利益確定をし、気持ちよく休暇を過ごそうとしている」可能性には最大限注意となっています。

特にポイントとなってくるのが、現在のマーケットをけん引している企業の株価動向であり、その値動きの変化は常に注意しておいた方がいいでしょう。(執筆者:現役の証券マン 白鳥 翔一)