コロナ自粛のなかで子供と過ごす時間が増え、はからずも育児休業のような状況になった男性も多いのではないでしょうか。

日本では、まだまだ男性は育児休業を取らない、あるいは取りにくい状況です。

上司に反対されるなど、取りたくても取れないという人も少なくないようです。

そんな男性の育児休業が少しでも取りやすくなるよう、サポートするための助成金があります。

それが、今回ご紹介する「出生時両立支援コース」の助成金です。

出生時両立支援コースの助成金
≪画像元:厚生労働省(pdf)≫

出生時両立支援コースとは

「出生時両立支援コース」は、雇用保険の「両立支援等助成金」のひとつとして設けられています。

男性労働者が育児休業を取りやすい職場風土をつくり、職業生活と家庭生活の両立を支援することを目的としています。

ちなみに、「育児休業等支援コース」という育児休業の取得・職場復帰のための助成金もありますが、この2つのコースは併給できませんので、ご注意ください。

出生時両立支援コースには、次のような支給要件が定められています。

育児休業取得の職場風土づくり

男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土づくりに取り組むこと。

たとえば、以下のような取り組みを指します。

・ 男性労働者の育児休業取得に関する研修を実施する

・ 男性労働者を対象にした育児休業の利用を促すための資料の配布する

育児休業の取得

男性労働者が、子の出生後8週間以内にスタートする育児休業を取得すること。

中小企業であれば連続5日以上、中小企業以外であれば連続14日以上の育児休業を取得していなくてはいけません。

育児目的休暇制度の導入

「育児目的休暇」とは、小学校就学前の子を養育する労働者(男性に限りません)が、育児に関する目的(入園式への参加など)で利用できる休暇です。

たとえば、以下のような取り組みが、出生時両立支援コースでは対象となります。

・ 育児目的休暇制度を新たに導入して、労働者へ周知する

・ 男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土づくりに取り組む

・ 男性労働者が、子の出生前6週間から出生後8週間のあいだに、育児目的休暇を取得する。

中小企業であれば合計5日以上、中小企業以外であれば合計8日以上の育児目的休暇を取得していなくてはいけません。

今のところ、育児目的休暇制度は、企業の努力義務にすぎません。

勤務している会社において設けられているかどうかは、確認が必要です。

出生時両立支援コースの支給額

出生時両立支援コースで、具体的にいくら助成金がもらえるのかを見ていきましょう。

支給の対象となる男性労働者1人につき、以下の金額が支給されます。

1人目の子について育児休業を取得した場合

中小企業:57万円

中小企業以外:28.5万円

2人目以降の子について、育児休業を取得した場合

中小企業:

5日以上 → 14.25万円
14日以上 → 23.75万円
1か月以上 → 33.25万円

中小企業以外:

14日以上 → 14.25万円
1か月以上 → 23.75万円
2か月以上 → 33.25万円

育児目的休暇制度を導入・取得した場合

中小企業:28.5万円
中小企業以外:14.25万円

なお、一定の生産性要件を満たす場合は、支給額が増額されます。

詳細については、厚生労働省のホームページにてご確認ください。

令和2年度、個別支援加算が新設された

令和2年度には、出生時両立支援コースに「個別支援加算」が新たに設けられました。

前項の支給額に、さらに加算が行われるのです。

ただし、育児休業取得の職場風土づくり、および育児休業取得だけでは、個別支援加算は支給されません

育児休業の対象となる男性労働者に対して、取得を後押しする取り組みを積極的に行った場合に、個別支援加算は支給されます。

たとえば、男性労働者に育児休業取得を促すための個別面談を行う、などの取り組みを指します。

個別支援加算の支給額は、以下のとおりです。

1人目の子について育児休業を取得した場合

中小企業:10万円
中小企業以外:5万円

2人目以降の子について育児休業を取得した場合

中小企業:5万円
中小企業以外:2.5万円

こちらも、一定の生産性要件を満たす場合は、支給額が増額されます。

男性も育児休業を自由に取れるように

男性の育児休業取得は、法的な義務ではありません。

「育休より、仕事をして子育ての資金を稼ぐ」というのも、ひとつの考え方です。

ただ、育休を取るにせよ取らないにせよ、それは男性労働者の自由な意思決定の結果であるべきないでしょうか。

出生時両立支援コースには「子育てパパ支援助成金」という別名もあるくらいです。

男性がもっと自由に育児休業を取れるよう、制度が、つまり社会が変化しつつあると言えるのでしょう。(執筆者:社会保険労務士 嵯峨 朝子)