マネー教育は、学校で教えてもらえない教育の代表格といえます。

生きるためにこれほど大切なテーマはないのですが、各家庭にゆだねられているのが現状です。

今回は、マネー教育の初期段階にかならずと言ってよいほど出てくお悩みに、筆者の経験をふまえて対処法を紹介します。

「それやると、いくらくれるの?」

お小遣い制を始めるとでる悩み

マネー教育の一環として、「おだちん制・お小遣い制」を導入し始めるとかならず出てくるのがこの悩みです。

たとえば、「ポストの郵便物をとってきてくれたら、20円」というおだちん制を始めたとします。

最初は、意気揚々とお手伝いをしてくれて、「ありがとう!はい20円ね」と渡すと「やったー!」と喜び、順調にスタートします。

そこで、「ちょっと、ついでに玄関の靴をそろえてきてよ」というと、

「えー。それじゃあ、30円にしてくれるのー?」

と追加要求をするようになる子もいます。

対応1:マネー教育のチャンスと考える

日本ではあまりお金の話をするのを推奨しない文化があるのかもしれません。

しかし、マネーに関心を持ち、「働きによって給料が異なる」ことを知るのは非常に重要です。

子どもが「お金」の発言をするのは、「お金があれば何でも買える」と知っている証で発達の過程においては、当然の成り行きです。

そのため叱ったり否定したりせず、うまく話し合い子どもの成長につなげるのがおすすめです。

子どもが大人になり自立するためには、「やれるようになった方がいいこと」がたくさんあります。

洗濯・掃除・料理などの家事は、学校では習いませんが自立には必要です。

多岐にわたる家事の数々を、高いモチベーションで仕込んでいくのに、おだちん制はピッタリです。

子どもが「いくらくれるの?」と言ったらチャンス!と考え、一緒にお手伝い表を作ってみます。

・ ポストに郵便物を取りに行く:20円

・ 家族全員の靴をきれいにそろえる:追加5円

・ みんなの洗濯物を干す:30円

・ 干してあった洗濯物を取り入れてたたむ:追加20円

・ 大人が手伝ってやる:減額10円

など、それぞれの家庭に合ったお手伝いを加えます。

その結果、子どものできることが増え、家族も助かり、子どももお小遣いがたまるという「三方よし」が実現できます。

わが家の実践結果

小2と年中の男の子ふたり兄弟にとって、「自分にできそう × 親が助かるお手伝い」がマッチしたとき、お手伝いが増える結果が得られました。

掃除やるよーと声をかけると、長男が「えー、やったらいくらくれる?」と言ってきました。

「それじゃあ、(掃除機をかける手順説明)これをキレイに2人で出来たら、20円ね。」と説明すると、ふたりは「よっしゃー!」と、取り掛かり掃除がお手伝いリストに加わりました。

工夫した点は、「キレイに」というのがどんな感じかを知ってもらうため最初は横で見ながら、ほめたり指摘したりした部分です。

完了後、パパに「今日は子どもたちが掃除したよー!」と伝えて家族でテンションを上げました。

こうして現在は、洗濯干し・洗濯たたみ・部屋と階段の掃除機・お米洗いがお手伝い項目になっています。

親が手伝うと減額にしており2人でやるのが原則です。

疲れている日やなにかに夢中になっているときは頼みません。そのあたりのさじ加減は家庭の方針によります。

できることが増えていく

対応2:反対の立場を考えさせる

子どもが「いくらくれるの?」といったら、「じゃあ、ママがご飯作ったらいくらくれるの?」と返します。

親が家族として、無償でやっていることは無数にあります。

この作戦は、家族が助け合うのは当たり前のことだと伝えるのにとても役立ちます。

「ママもそうするわね」作戦は、成長したわが子に、親も子も同じ人間であることを知らせるチャンスとも言えます。

子どもは「自分の用事」と「他人の用事」の区別がついていません

たとえば、「脱いだ衣類を洗濯カゴに入れとくのよ」といったときに、「いくらくれるの?」と子どもが言うのは、区別がついていないためと考えられます。

ここではシンプルに

「それは誰の用事?」

と聞くのがおすすめです。

それだけで、「これは自分のことだから、おだちんとは関係ないのだな」と理解し、いそいそと取り組むでしょう。

どんな立派なことも、子ども自身のことはおだちん制に含めないのか鉄則です。

「テストで100点を取ったら100円ね。」はナシということです。

なぜなら、テストや学習、運動など子ども自身のことは、取り組みによって知識や体力がつくなどのメリットがそれぞれ別にあります。

そのため、マネー教育とは切り離して考えるのが賢明です。

わが家の実践結果

お手伝いリストに含めないものについて「お金は?」と言ってきたら使います。

「えー、いくらくれるの?」に対して、すぐに「じゃあ、ママがあなたにお茶を入れてあげたら、いくらくれるの?」と返しました。

すると息子は「あ、そうか」と言い、頼んだことを実行しました。

その後、家族や周りを助け合うのは生活するうえで大切で、親はいつもそれをやっていることを話し合いました。

それからは、1回きりの頼みごとのときは何も言わなくなりました。

小さな頼みごとひとつに対し、とても時間がかかりましたが、ここは逃してはならないと思って向き合いました。

子どものマネー感覚を育てる

子どものマネー教育において、働きにより給与がもらえる・内容により給与が異なることを知るのは大切です。

そして同時に、お金と関係なく「助け合って生きるために自分ができることを進んでやる」ことも教えるチャンスです。

子どものお金に関する自由な発言は、そのどちらが育つ貴重な機会です。

小さいうちに正しい感覚が身につけば、大きくなってからとても役立ちます。

ぜひ、ふたつの対応を使い分け、子どものマネー教育にお役立てください。(執筆者:安藤 環)