8月25日に金融庁より、国内の投資信託5,500本の運用成績に関する調査報告書が公表されました。

今回は、その内容から投資信託選びのヒントになる事項について記載いたします。

参照:金融庁

調査結果のポイント

調査結果では、投資信託が年を追うごとに低コストになってきている旨が記載されており、日本経済新聞においても概要が報道されています。

調査結果から重要だと思われる点を抜粋してまとめると次の通りです。

・ 2019年度末時点の全ファンドの信託報酬平均値は、インデックス型がアクティブ型の1/3程度であること。

市場平均以上の運用成績を積極的に狙うアクティブファンド:1.45%

市場平均に沿った運用成績を目指すインデックスファンド:0.4%

・「インデックス型」、「確定拠出年金専用」、「つみたてNISA対象」ファンドは分類によらず信託報酬の低さが鮮明であること。

・ アクティブファンドでは、全体的に運用コストと運用パフォーマンスとの間に統計的にマイナス相関があること。

参照:日本経済新聞「投信のコスト6年連続低下 つみたてNISAけん引

投資信託の最大のコストは

投資信託には主に3つのコストがあります。

それは、

・ 購入時にかかる「購入手数料」

・ 保有時に毎年かかる「信託報酬」

・ 売却時にかかる「信託財産留保額」

です。

購入手数料は今や無料のものが増えてきていて、信託財産留保額も無料のものがあります。

その意味でも最大のコストは信託報酬です。

1年では大した金額ではありませんが、長く保有すればトータルで無視できない金額になるうえに運用効率にも影響を与えます。

従って、調査結果に記載されている信託報酬に着目することは、投資信託選びをするうえで非常に重要です。

調査結果から考えられる投資信託選びのコツ

前述の通り、現在はこの信託報酬が年々低下する傾向にあります。

中には信託報酬が無料の投資信託(野村スリーゼロ先進国株式投信)までもが登場しています。

一方で、高コストであるファンドの運用成績は奮いません。

ここから言えることは、

投資信託選びの基本は「インデックスファンド」である

ということです。

そして、このインデックスファンドの中でも低コスト化が進んでいますので、インデックスファンド間のコストの差も意識することが重要です。

調査結果には、アクティブ運用を主体とする独立系運用会社の一部も健闘しているとの記載もあります。

しかし、インデックスファンドの方が選択の幅が広い投資ができるのです。

アクティブファンドを検討する場合でも、まずはインデックスファンドでの資産運用を検討した方がよいことでしょう。

投資信託選びのコツ

より低コストのインデックスファンドが出た場合の対応

このような傾向から今後もさらに低コストの新しいインデックスファンドが登場してくることが予想されます。

これから資産運用を始めようとする方の中には「低コストの新しいインデックスファンドが登場するまでに始めないでおいたほうがよいのか」気になるかもしれません。

一方で投資をすでに始められてる方は、既に投資している商品と同種の「より低コストのインデックスファンドが登場した場合にどうしたらよいのか」悩む方もいらっしゃることでしょう。

これから投資を始める場合

これから投資を始める方であれば、先は気にせずにご自身のタイミングで選べるインデックスファンドから選べばよいと考えます。

資産運用には複利の力がありますので、先に運用を開始してより長い期間で運用した方が運用パフォーマンスはよくなる場合が多いからです。

既に投資をしている場合

投資を開始してから同種のより低コスト商品が出た場合には、投資を始める段階である程度の低コスト商品を選んでいれば、基本的には今のファンドでの運用を継続で問題ないと考えます。

最初の時点で低コスト商品を選んでいれば、その後にさらに安い商品が出たとしても、その差はわずかなことが多いと考えられるからです。

また、

・ 過去の実績のない新ファンドが運用方針通りに運用されていく保証はない

・ 売却して乗り換える場合には、信託財産留保額や購入時手数料等がかかる場合がある

ということを考慮すると、乗り換える方がかえってコスト高になる可能性があることも理由です。

公的機関の統計からも投資信託選びのポイントが見える

一般的にアクティブファンドよりインデックスファンドの方が運用成績がよいと言われていますが、今回のデータでも改めてそれが立証された結果となりました。

また、同じインデックスファンドの中でも低コスト化が進んでいることもまたわかります。

こういった公的機関が作成する統計からも投資信託を選ぶポイントが見えてきますので、関心のある方はぜひ目を通してください。(執筆者:元証券会社勤務 佐藤 彰)