相続・遺言に関する民法の大改正や、新たに始まった自筆証書遺言書保管制度などにより、遺言書の作成や保管のハードルが下がりました。

遺言書の作成自体抵抗のない方も増えています。

ただし、せっかく遺言をきちんとしても、肝心の財産がどこにあるか分からなければ相続人に手間をかけさせることになってしまいます。

財産目録とは

財産目録の作り方

遺言書は形式が整っていさえすれば、「全財産を子の〇〇と△△に半分ずつ相続させる」とだけ書かれていてももちろん有効です。

しかしその場合、相続人は親(被相続人)が持っていた不動産や預貯金や株などの有価証券がどこにどれだけあるかを調べなければなりません。

相続税がかかりそうであれば申告期限の相続開始後10か月までにすべての財産を把握しなければなりません

財産目録は相続人の手間を省き、間違いなく全財産を譲るために自分の全財産を表にするなどして見やすくまとめたものです。

財産目録の作り方

財産目録の作り方のコツは2つです。

(1) 遺言書に記載する

不動産であれば所在や地番・面積などの不動産情報、預貯金なら金融機関名と口座番号、株式などの投資信託先を遺言書に書いておきます。

不動産の数が多い場合、遺言書本文に書かずに登記簿の写しを同封することが法改正で可能になり、自筆証書での作成が楽になりました。

(2) 別途作成し保管しておく

分かりやすいところに保管

遺言書とは別に自分の全財産を一覧表にしておく形です。

例えば生命保険金は死亡時の受取人が既に定められているため相続財産にはあたらず遺言書で指定することはできません。

しかし、それらも記載しておくことで相続人が実際に受け取れる額の目安ができ、手続きの助けになります

また、債務や連帯保証人になっているといった負の財産を記載しておくことも大切です。

金融機関への住宅ローンであれば、残額を保証会社が返済してくれるのが通常です。

その手続きを申込み、抵当権を抹消してもらわなければなりません。

連帯保証債務は相続されるのでその心構えが必要です。

債務額によっては相続放棄も視野に入れねばなりません

放棄の申立てができるのは相続開始後3か月間のみですから、債務の情報は相続人にとって非常に重要なものとなります。

目録はできれば(1) と(2) の併用が望ましいです。

(2) はあらかじめ相続人に渡しておくか、自身で保管することになります。

あまり分かりにくいところに保管するといざという時見つけられない恐れがありますから注意しましょう。

被相続人がインターネット上のみで取引していた金融機関や証券会社で、相続人がパスワードを知らなくても、口座番号などの個人情報と相続のための書類を送れば名義変更の手続きができます。

ただし海外取引や仮想コインなど確認が難しいものは専門家に相談することをお勧めします。(執筆者:行政書士 橋本 玲子)