今回は、安倍首相が電撃的に辞任を表明したことがマーケットに与える影響および注意点について解説していきたいと思います。

安倍首相の電撃辞任 次期首相と米国大統領が今後のマーケットに与える影響

安倍首相の辞意表明で日経平均一時600円超下落

2020年8月27日、安倍首相が辞意を表明したことにより、日経平均は14時頃に一時600円超急落しました。

安倍首相の健康に関しては問題がないと今まで報道されてきただけに、このネガティブサプライズに市場は動揺し、先物を中心にリスク回避の売りが先行したのです。

これにより、8月の閑散相場の中で売買代金は2兆円の大台を突破し、3兆円に迫る勢いで売りが急速に膨らんだのです。

日経平均は一時600円超急落しましたが、その後は米国株が堅調な値動きをしていたこともあって買い戻し優勢となり、最終的には300円安まで買い戻されたのです。

ここで重要なのが、株式市場の主軸はあくまでも米国株式市場であるということです。

目先はいきなりのネガティブサプライズによって急落しましたが、主戦場である米国株式市場はハイテク株を中心にかつてないほどの上昇トレンドを継続していて、且つ大量の緩和マネーが世界中を飛び交っているというのが現況です。

このようなマーケット環境下においては急落局面は買い向かう主体が多いため、今回の下落を絶好のチャンスと捉えた投資家が多かったのです。

しかし、次期首相が誰になるのか、それに伴う政治リスクが将来的に発生する可能性がありますので、その点においては注意が必要です。

次期首相候補とマーケットの関係とは

今回の安倍首相の辞任を受けて内閣総辞職となるこが決定しました。

次期首相候補としてノミネートされているのが、現在は菅官房長官、岸田政調会長、石破元幹事長の3名に絞られています。

しかし、次期首相が誰になるかによって株式市場が上下に振れる可能性が高いという点には最大限に注目しておく必要があります。

特に、石破元幹事長が次期首相に就任した場合には注意が必要です。

以前から安倍首相とは目指す路線が異なっていたため、その距離は大きく離れていました。

アベノミクス相場においても「株式を保有している投資家は金持ちになったが、保有していない多くの労働者はベースアップの恩恵を受けておらず、格差が広がった」とコメントしているのです。

従って、石破元幹事長が次期首相に就任してしまうと、今まで安倍首相が築いてきたアベノミクス相場が終了してしまう可能性があるのです。

もちろん、現在のコロナショック下での急激な方向転換は考えづらいのですが、将来的にその路線を変更してくる可能性は十分に考えられます。

しかし、現時点では党内7派閥の内5派閥から支持を受けている菅官房長官が優勢、石破元幹事長や岸田政調会長は劣勢となっています。

仮に、

菅官房長官が次期首相に選任されるとアベノミクス継続となりますので、市場関係者はこのメインシナリオに期待している

のです。

長期政権後には短期政権になりやすい

第2次安倍内閣が始まってから7年8か月間続いた長期政権下では、非常に安定したマーケット環境が継続していました。

政府と日銀との協調政策である金融緩和もその成果を存分に発揮し、株式市場はV字回復したのです。

しかし、ここで注意しなければいけないのが、長期政権後は短期政権になりやすい傾向にあるという点です。

過去には、小泉政権以降の政治が不安定化を増し、1年ほどの短期政権が何度も続いて市場が混乱したという事例があります。

この当時は、リーマンショックというかつてない危機が到来したことも背景の1つにあり、現在のコロナショックも同じ状況と言えるのです。

もし仮に、次期首相での政権がコロナショック下で同じような事態になるとしたら株式市場に与える影響は計り知れないため、このリスクには最大限注意しておく必要があります。

日米関係の変化に注意

日米関係の変化に注意

現在の安倍政権下における日米間の関係は非常に良好であり、米トランプ大統領も安倍首相とファーストネームで呼び合うほどの関係を築いています。
 
次期首相がトランプ大統領とのこの関係を継続できるかどうかが、今後の日米関係のポイントの1つです。

トランプ大統領の性格を考えると容易なことではなく、次期首相にとっては困難な道のりとなる可能性もあります。

さらに、11月には米大統領選が控えています。

トランプ大統領が再選されてこれまでに構築した日米関係の維持を継続となればよいのですが、仮にバイデン氏が勝利した場合には一から関係構築を図らねばならないので政治的に難しい局面となることにも注意しておいた方がよいと言えます。

米国株式市場が堅調であれば日本市場も上昇トレンド継続

安倍首相の電撃辞意表明は日本株式市場においてはネガティブサプライズとなり、次期候補が誰になるかによって流れが大きく変わるリスクがあります。

さらに、日米関係が難しい状況になる可能性も秘めているため、その動向には引き続き注意しておきましょう。

しかし、マーケットの主軸はあくまでも米国株式市場であり、ここが堅調な値動きを継続していれば日本株式市場も上昇トレンドを継続するものと考えられるので、この考え方は押さえておいた方がよいことでしょう。(執筆者:現役証券マン 白鳥 翔一)